ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

文字の大きさ
353 / 517
年末私の大感謝祭編

第353話 その頃地の大魔将対策は?伝説

しおりを挟む
 イカルガが大感謝祭準備でバタバタしつつ盛り上がってる頃。
 巷では、色濃くなってくる地の大魔将の影響が問題になっていた。

 なんか朝のニュースで、強力になるダンジョンが増えてるっていうのが流れていた。
 ダンジョンボスが地の大魔将の加護を受けて、パワーアップしてるんですと。

「はえー、肩とか頭にトゲが増えてる」

「この配信者、リーダーの歌みたをエンドレスリピートしながら戦ってたからなんとか勝てたみたいね」

「いやはやお恥ずかしい……」

「私も見たわ! もー。娘の成長した歌声がアワチューブで聞けるなんて思わなかった!」

 あひー!
 母が聞いていた!
 いや、まあ全世界に向けて発信したんだから聞かれるのも当たり前なんだけど。

 そんなこんなで、12月に突入です。
 大感謝祭の準備はいよいよ大詰め。
 イカルガはもうドタバタと朝から晩まで忙しい。

 そして世の中では、じわじわと侵食してくる地の大魔将への不安感が高まっていたらしい。
 不安が高まってないのは、大感謝祭を楽しみにしているイカルガエンタのファンの人達かな……。

 その他、太陽風の影響で人工衛星が幾つも不調になり始めてて、カーナビが働かないことが増えてきたとかなんとか。
 地図アプリや地図検索も時間が掛かるようになってきた。

「何が起こってるんだろうねえ」

 不思議に思いつつ、私は朝食を終えたのだった。
 ご飯を食べる時は、ベルっちと分離していると二人分食べてしまう。
 ここは一人分で行こう……。

「リーダー、朝食はそんなにたくさん食べないわよね。いや、大きいお茶碗で二杯食べてるけど」

「朝は胃がそんなに活発じゃないので……」

「たくさん食べてもいいんだぞ……」

 なんか父が心配してくれている。
 ありがたいけど、朝のこれは我慢しているんじゃないから大丈夫!

 ということで、本日も朝のルーチン。
 父のお弁当を詰めます。

「うおー、愛情たっぷりのほうれん草ソテーを喰らえ!」

 味濃いめに炒めた、ベーコンとほうれん草のソテー。
 冷めても美味しいし、味が濃いめなのでご飯も食べられちゃう……。

 後は冷食のミートボールとかひじきとか入れる。

 父がお弁当を受け取り、ホクホク顔になった。

「今日も一日頑張れるよ! 行ってくる!」

「「「『いってらっしゃ~い』」」」

 おっ、ベルっちも私の胸元から顔を出して父を見送った。

『空の衛星が調子おかしいんでしょ? 一斉におかしいならあれじゃない? 宇宙から大魔将来るんじゃない?』

「あー、そのパターン!!」

 学校に行く前に、ベルっちから貴重な意見が聞けたのだ。

『残ってるの地と火の大魔将でしょ? 火の大魔将はきっと燃える隕石みたいな姿で宇宙から来る……。ラノベのパターンだとこう』

「あるあるー」

 自分同士で盛り上がってしまった。
 その後、登校しながら、歌みたの原曲の歌手さんから感謝のツブヤキが来てたので返信したりする。

「こちらこそ、歌をお借りしましたー。最高の曲ですー、と」

『元のアニメの動画も再生回数凄いみたいだね』

「そうかあー。凄い経済効果だ……」

『私は凄いのかも知れない』

「うん、そろそろ自覚するか……」

 ベルっちと同化してても、向こうが意識を分離してると会話ができるのは便利。
 一人でお喋りしつつ歩いていると、私を追い抜いていった同じ学校の女子が振り返り、不思議そうな顔をした。

「あれ? 二人分の声が聞こえてたけど」

 いかーん。
 私とベルっちは静かになった。

 私がきら星はづきだと知られてしまうところだった。
 いや、そうでなくても二人に分離できると知られたら、学校生活が色々大変になりそうだからね。

 あと一年、バレないように頑張ろう。

 教室に入ると、なんか委員長がメガネをクイッと持ち上げながら近づいてきた。

「ねえねえはづ……じゃない、歌ってみた動画凄く良かった……じゃなくて、あの動画見た?」

「あっあっ、み、み、見た見た。良かったよねー」

 うひー、自分の動画を良かったよねーなんて背中がかゆくなる~!
 委員長は興奮気味なんだけど、妙に会話をしづらそうで、何か言いかけてから慌てて言い直すみたいなのが続く。

 周りにだんだんクラスメイトが増えてきて、みんなも興奮気味なのだが、どうも喋る言葉がストレートに出てこない。
 何だこの状況は!

「ほんとにこのクラスで良かった! いや、別に、なんか深い意味じゃなくて」「直接本人に会えるもんねえ……。あ、そうじゃなくて」

 なんだろう、この歯にものが挟まったような感覚!
 ベルっちも私の中でしきりに首を傾げております!

 なお、後から登校してきたぼたんちゃんは、遠くからなんか生暖かい表情でこちらを眺めているのだった。
 な、何か知っているのかー!

 とりあえず、クラスメイトがみんな私の歌みた動画を見てくれたことは良く分かった。
 凄く広まっている……。

「この歌みた動画で、配信者の人たちも助かってるみたいだし」「そうそう! ダンジョンが怖くなったけど、動画を流しながらなら戦えてるって! どうなっちゃうんだろうねえ……」

 なんか、今世の中の感覚的に問題なのは地の大魔将で、人工衛星がおかしくなってる方は魔将方面と結びついてない感じかな?
 いっぺんに来てしまう気がする……。
 こういうのはパターンとしてよくあるんだ。

 私はそういうフィクションをマンガ、ラノベ、アニメでたくさん摂取しているので詳しい……。

 とりあえず、来るならば大感謝祭前に来てくれないかなーなんて思う私なのだった。
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...