ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

文字の大きさ
392 / 517
年度末私のイベントもりもり編

第393話 アバターお披露目ママ満足伝説

しおりを挟む
 野中さんのイベントの準備も終わり、私は学校から帰ってすぐにスタンバイ。
 レンタルスタジオでのオフコラボなのであります。

 私が制服姿で「こ、こんにちはー」と入ってくると、初めて見るスタッフさんが不思議そうな顔をした。

「どうしてここに高校生が……?」

「あっ、すみませんすみません。私です」

 パッとアバターを被る。
 そうしたらスタッフさんが一瞬硬直した後、目と鼻の穴と口をガーッと開いて、「は、は、は、はづきっちー!!」と叫んで腰を抜かした。
 もしやお前らなのでは……?

「こ、こんきらー」

「こんきらー!! うおおおおお! 本物!! いや、イベントだから本物が来るのは分かってたんですけど、スミマセン、シツレイをしてしまって……!! どうぞ! はづきっち、どうぞ! きら星はづきさん入りまーす!!」

「う、うわーっ、そんな大声でえ」

 スタジオにどよめき走る……!!
 今回は十人くらいのスタッフさんを使ってやるイベントで、個人のデビューとしてはかなり大きい規模なんじゃ?

 馴染みのあるスタッフさん以外に、七人くらいが初対面で、みんな私を見て興奮している。
 なんだなんだ……!
 落ち着いてくれ!

「私はどこにでもいる普通のひとなのでそこまで騒ぐほどではありません……」

「このありえない謙遜!」

「自分の偉大さを全く分かってない物言い!」

「ほ、本物のはづきっちだ! 偽物では出せない味!!」

 あひー!!
 なんだこの人達ー!!

「やあママ。これは仕方がないことだよ。君の人気は世界規模なんだ。石を投げたら君のファンに当たる」

「マイ・サン!」

 現在のスレイヤーVさんは大京さんの姿ですねえ。
 彼はママ繋がりで、今回はお祝いに駆けつけています。

 奥で精神集中していた野中さんも、バタバタ走って駆けつけてきた。

「うわおー! 待ってたよはづきちゃーん!! もうね、緊張して大変なことに……! 本番はいつも緊張するからねえ……ハグさせていただいても」

「あっあっ、どうぞどうぞ」

 野中さんが私に抱きついて、なんか目がイッちゃってるんですが。
 まあ、すっかり緊張はほぐれたみたい。

「じゃあ段取りどおりにそろそろ……」

 スタッフさんが言うと、野中さんが急にキリッとして頷いた。

 イベントが始まる~!

 生身のまま登場した野中さんが、「実は私にはもう一つの姿が~!」と言いながらくるくるっと回ると、アバターに早変わりする。
 おおーっ、私の描いたアバター、画面映えもバッチリ。
 これ、おこのみにも手伝ってもらったんだよね。

※『うおおおおおおお』『野中さんかわいい!』『あれ? このタッチどこかで見たことが……!?』

 私だ!!
 なお、私の最初期のアバターも私製なので、あの頃のと比べてもらうと成長の跡がうかがえると思う。
 エメラクさんの画風を学び、レベルアップしたのだ!

 今の私のアバターはエメラクさん謹製です。
 彼も今や、もの凄い人気絵師になっておられますねえ。
 その中でも、精力的に私の新衣装を発表しているのはさすが。

 今度フィギュアになる私の宇宙服衣装も、エメラクさんがすごい速度で描き下ろしていたのだった。

 なので……。
 今や私の絵は、他の配信者さんのために存在するものになっているのだ!

「こんにちはー! 月読さといもでーす!」

 おおーっ!
 彼女がやってるインターネット、ラジオマンデイをぶっ飛ばせ! から月、声優さんという職業から読、そしてさとなさんの名前と……いも……?
 なぜに、いも?

 謎だ……。

 私が首をひねっていると、なぜか野中さん改め、さといもさんがウインクしてくるのだった。
 これ、リスナーさんからするとスクショタイムだ! となるみたいで。

 コメントは大いに盛り上がっている。
 その後、さといもさんの歌が始まった。

 一曲歌い、その次は野中さんの同僚の声優さんがワイプで出てきて、解説役。
 ミニゲームが始まる……。

 ここで私とスレイヤーVさんが素知らぬ顔で登場するのだ!
 まるで通りかかりましたー、みたいな感じで。

「あれっ!? 背景に見覚えのある人が……! あっ、あなたはどこか私と似たタッチのアバター……! スレイヤーVさん!」

「さといもさん、アバターデビューおめでとうございます! 同じママを持つ配信者として、お祝いに参りました!」

「ということは……あなたは、私の兄さん……!?」

「妹よ……!」

 なんだこの小芝居!!
 私が出づらくなって、画面の端に突っ立っていると、当然のようにリスナーさんが気付く。

※『画面端ではづきっち見切れてるって!』『ピンクのジャージめっちゃ目立つのよw!!』『はづきっちー!!』

「皆さん、目ざとい! そうです! 私とスレイヤーVさんのアバターを作ってくださったママであり、この間も世界を救った英雄! さらに1月度世界トップセールスの歌手である彼女! きら星はづきちゃんに来てもらってます!」

 うおおおおーっと爆発するコメント欄。
 私はペコペコしながら出てきた。

「あっあっ、どうも、どうも……! きら星はづきと申します。あ、こんきらー!」

※『こんきらー!』『こんきらー!!』『こんきらーっ!』

「皆さん大変元気なご様子で……」

「ママは緊張すると腰が低くなるんだ」

「そうねえ。でもそこがはづきちゃんのいいところだわ」

 年上の息子と娘に挟まれてますよ!!
 で、そんな私達が参加するミニゲームがスタートするのだった。

 もう大変な混乱の予感しかしない!
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...