おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき

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スローライフから逃げられると思うな編

第61話 キャロルの服と、空に向かう準備

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「ははあ、元植物のお嬢さん? ちょっと兄やん! 兄やん!」

「うん……?」

 ポタルとキャロルを連れて彩色洋品店を訪れたら、サンが騒がしく出迎えてきた。
 で、キャロルがなんか蔦を纏ってるだけの格好だから、服を作りたいと言ったらば……。

「ふむ、背中から蔦が生えているんだよね……? 面白い」

 イチのメガネがキラーンと光った。
 彩色洋品店の服を全て採寸、デザイン、縫製までやっている男である。
 多分店主に当たるんだろうが、人との会話が苦手らしい。

 こう見えて外なる神である。
 なので作る衣服も、実は破壊不能オブジェクトだったりするのだ。

『あたしの服を? そんなの考えたこともなかったわ。だって男を誘惑して沼に誘い込むのに、服なんか必要なかったもの。その後ごちそうとして食べちゃうだけだし』

「深い意味が無い方の食べちゃう発言だ」

 人喰い植物だったわけだもんな。

「何か好みの衣装はありますか?」

 京都弁っぽいイントネーションでサンが尋ねてきたのだが、キャロルは首を傾げるばかり。

『無いわ。服なんてイメージないもの。適当にやってよ』

「困ったなあ」

 サンが頭を掻いて、イチがメガネを光らせた。
 あれは好き勝手に趣味でデザインを始めるムーブだな!!

「ディアンドルで頼む」

「……ディアンドルですか。お目が高い」

 イチがメガネをくいっとさせた。
 ポタルとサンがきょとんとする。

「ディアンドル? なあにそれ」

「ぼくも知らんなあ」

「うむ。俺の世界のオクトーバーフェストとかで女性が身につける民族衣装でな。とてもかわゆい」

「えーっ、いいないいなー! 私も着たい!」

「ポタルは細いからなあ。むちっとした人の方が似合うと思うのだ」

 ディアンドルは胸元が大きく開いたブラウスと、袖なしの胴衣、そこにロングスカートを加えた衣装なのだ。
 キャロルは足が根っこになるから、ロングスカートタイプの方がやりやすかろう。

「キャロルの活動しやすさも考えてある。背中の蔦が生えているところは展開できるようにしておこう」

『へえ! タマルって頭がいいのねえ! あたしの動きやすさまで考えてくれるなんて』

 キャロルが感心した。
 ふふふ、もっと感心してくれたまえよ。
 ちなみにディアンドルにしたのは俺の趣味だぞ。

「明日、完成します」

「相変わらず仕事が速い。頼むぞ……」

 イチと固い握手を交わす。

「ずーるーいー! 私も新しい服欲しいー!」

「ポタルのもお願いします」

 おねだりされたら断れない俺である。
 ハハハ、二人分でポイント全部溶けちゃったなー。

 ピンク色のワイドパンツに袖が展開して羽を出せる白いブラウスを注文してきたぞ。
 ポタルの場合、スカートだと実は飛ぶ時に邪魔になるのだ!

 新しい服が注文されたということで、ポタルはごきげんである。
 ふんふん鼻歌など歌いながら俺と腕組みして歩いている。

 腕組み……!?
 最近距離が近くないですかね?
 おっと、これは俺もモテモテくんの仲間入りですかね!!

「はっはっはっはっは」

『何いきなり笑い出したの!? 怖いんだけど!』

 キャロルに引かれてしまった。
 ポタルは俺の奇行に慣れているので動じない。

『おっ、その顔は、キャロルの衣装を注文に行ってオーダーメイドして会心のできになりそうな予感がありつつも、ポタルにおねだりされて思わず予算オーバーの注文をして、しかし腕組みして密着されたので気分が良くなって万事解決という気分になっている顔ですな?』

「やめろラムザー、俺の心を的確に読むな!」

『ハハハ、付き合いが長いですからなあ』

 戻ってきたら、仲間たちは村の野原で転がっているではないか。
 我々は馬車で寝起きしているので、村には店とかしかないのだ。

 つまり、戻ってきても俺たちの宿泊できるところは馬車のまま変わらない。
 フランクリンが野原の上で、ごろごろと転がっていく。
 それを押しているのはポルポルである。

 二人とも平和を謳歌している。

「では、飛空艇も完成したし、そろそろ空の迷宮に行ってみようと思う」

『賛成ですぞ』

『また飛ぶの!?』

「そもそも空の迷宮に行くために世界を巡って浮遊石を集めていたんだ。その途中でキャロルを勧誘したんだぞ」

『あたしは別に勧誘されなくても良かったんだけど』

「空にはきっと空のごちそうが」

『行くわ』

 食が行動の原動力となる女、キャロル!
 ここに来てからも、ワカサギモドキの唐揚げを『うっま』とか言ってサクサク食べていたのだ。
 彼女の行動は美味しいご飯でコントロールできる。

「じゃあ賛成が満場一致ということで空の迷宮に行くわけだが、すっかり忘れてたけど、廻天将軍という魔人侯があそこを拠点にしてるんだろ?」

『そうでしたな。他の魔人侯たちすら太刀打ちできない強力な相手だとか。自由に空を飛んでくるならば、確かに手のつけようがありませんな』

「私、また飛べない感じ? ヘルズテーブルの空危なすぎるー!」

「ポタル自身には魔曲しか自衛手段がないからなあ」

『ドラゴン相手に会戦を避けましたが、廻天将軍相手は厳しくありませんかな?』

「そこだよな。ミスリルで強化もしてあるから、簡単に落ちることは無いと思うんだが……検証して飛空艇が落ちたら悲しいよな」

『軽く実験をしてみますかな』

「そうするか」

 そういうことになったのだった。
 飛空艇の頑丈さテストだぞ。

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