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シクスゼクス帝国編
第74話 バレバレの策謀とお迎えの準備
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窓からハアハアしながら覗いている村人の肩を、チョイチョイっとつついた。
訝しげに振り返る彼に、「こんにちは」と告げたら、「ヒャアーッ!!」とものすごく驚いて逃げ去ってしまった。
あれは驚き半分、ハアハア覗いてたのを見つかった恥ずかしさ半分だな。
「よーし、戻ってくるまでに色々やりたいことがある。具体的には、夜のチュートリアルをやってだな。あいつらが突入してくるところで、ウルフズベインの罠に引っ掛かるようにしたい」
「家を罠だらけにするのですね。了解です。マスターらしい案だと思います」
「っていうことは、本番だとまた何もしなくていいんですか? やったー! わたし、楽するの大好きなんです!」
ルミイよ、あまりダラダラし過ぎているといい加減に太るぞ……!
むちむちしている彼女は大好きだが、余計なお肉がつかぬよう、動かさねばならぬ。
遠くないうちにただならぬ関係になるために、俺はルミイのコンディションを最良に保っておく義務があるのだ!
「マナビさんが決意に燃えてますね! これはなんとなく、いいことを考えてる気がしますねー」
「そうですか? 当機能より、ルミイの方がマスターには詳しいですからね……」
ちょっと待っていたら、カオルンも戻ってきたのだった。
「どうだった?」
「悪巧みしてたのだ! カオルンは屋根裏に潜り込んで調査したのだ。あそこで全員やっつけても良かったのだなー」
「それでもいいけど、派手にやるとこの国の連中が見てるかも知れないだろ。あくまで、コダルコダール村のゲームに則ったように見せかけて暴れたい。その方が注目されないから、行動しやすい」
「そうなのだな! マナビは色々考えてるのだなあ。カオルンも潜入調査してた時は、目立たないようにしてたのだ!」
カオルンが語る、悪巧みとはこういうものだった。
・新たな旅人はなんかヤバい。
・ゲームの進行が初日でぶっ壊れた。
・今回のゲームはなかったことにしよう。
・とりあえず今夜、旅人を全員で襲って殺して、やりなおそう。
うん、完全に予想通り。
「じゃあ、想定内で状況が収まるみたいなんで、チュートリアル行ってみよう。みんな集まれー」
女子たちを集めて、作業スタート。
「あっ、いきなり夜になりました!」
ルミイが驚く。
うむ、俺は最近、チュートリアル機能は直前の状態ばかりではなく、時間の指定が可能であることに気付いたのだ。
ただ、あくまで12時間後くらいまで。
それにあまりにも時間が離れすぎていると、チュートリアルしたことを忘れてしまう。
なので、使い方が難しいのだ。
「とりあえず、連中が襲ってくるかなという一番念話が強まる時間帯だ。どうかな?」
「外にいっぱい来てるのだ! みんな獣人に変身してるのだなー」
「やる気ですね。かなりの数です。村人総出で来たようですね」
「じゃあ、思ったよりも襲撃の規模はでかいんだな。これはしっかり罠を仕掛けないといけないぞ。どこから連中が襲撃してくるか、みんなきっちりチェックしよう」
「はあい!」「分かったのだー!」「了解です」
「では、チュートリアルスタート! 時間が流れるよー」
村人たちが叫びながら襲ってくる。
窓を破って飛び込み、扉を蹴破り、屋根を破壊して降りてくる。
家の周囲も、どの辺りを踏みつけてやって来るのか。こういった部分をきちんと観察する。
ぶっちゃけ、このチュートリアルは今までとは違う。
襲撃において、村人がどういうルートを通ってくるかを知るためのものなのだ。
「だいたい分かった? じゃあチュートリアルストップ! 次は毒の罠を仕掛けるポイントをチェックしながらやっていこうか」
「ヘルプ機能との併用をおすすめします。チュートリアルによる予知と組み合わせることで、罠のポイントを表示可能です」
「サンキューアカネル! じゃあそれで。スタート!」
時間が戻り、再び襲撃のチュートリアル。
なるほど、村人たちがどこに移動し、どこが罠を仕掛けるには最適であるかが明確に分かる。
そういうポイントに赤い丸が付けられて見えるのだ。
「今回は便利ですねえー。いっつもこうだったら楽なんですけど」
「最近ルミイは楽することばっかり考えてるのだ? 動かないとぷくぷくに太っちゃうのだ」
「そうだぞ、カオルンの言う通りだぞ」
「あー。太っちゃうとママに嫌味言われちゃうからやだなあ……」
和気あいあいとチュートリアルは終了した。
戻ってきた俺たちは、昼間の家の中である。
「ウルフズベインの精製に掛かります。猛毒ですから触れないで下さい」
アカネルに作業してもらっている間に、みんなで罠を作る。
と言っても単純なもので、先が尖った木の棒とか、窓枠も割れやすいように亀裂を入れておくとか、ドアノブに小さな針を仕掛けておくとか。
これで十分だ。
ちょっぴり傷がつけばそれで勝利確定。
尖った場所全部にウルフズベインが塗ってあるのだ。
さらに、村人たちは獣化すると、衣類や靴を脱ぐから、露出が増えるのだ。
「皮膚の頑丈さを考えるに、釘みたいなのを仕込んでおいた方がいいか。ヘルプ機能、獣化したライカンスロープに傷をつける程度の、罠の強度」
「表示します」
作業しながら、アカネルが空間に文字を浮かべる。
よし、大体分かった。
木製の罠でも、砕けた窓の枠でも刺さるらしい。
人間と動物の半々くらいの丈夫さなんだな。
やはり、魔族としてはあまり強くない。
舐めプでお相手してあげるのがちょうど良かろう。
「マナビさん、サラサラした砂に毒を混ぜてですね、わたしが風で飛ばすのはどうですか」
「ルミイ、なんという悪魔的考え! それ採用」
「じゃあカオルンもやるのだ! えーと、カオルンはこの小石に毒を塗ってばらまくのだ! カオルンには毒は通じないのだー」
「採用採用」
素晴らしい速度で、ライカンスロープ迎撃の準備が整っていくぞ。
今から夜が楽しみである。
訝しげに振り返る彼に、「こんにちは」と告げたら、「ヒャアーッ!!」とものすごく驚いて逃げ去ってしまった。
あれは驚き半分、ハアハア覗いてたのを見つかった恥ずかしさ半分だな。
「よーし、戻ってくるまでに色々やりたいことがある。具体的には、夜のチュートリアルをやってだな。あいつらが突入してくるところで、ウルフズベインの罠に引っ掛かるようにしたい」
「家を罠だらけにするのですね。了解です。マスターらしい案だと思います」
「っていうことは、本番だとまた何もしなくていいんですか? やったー! わたし、楽するの大好きなんです!」
ルミイよ、あまりダラダラし過ぎているといい加減に太るぞ……!
むちむちしている彼女は大好きだが、余計なお肉がつかぬよう、動かさねばならぬ。
遠くないうちにただならぬ関係になるために、俺はルミイのコンディションを最良に保っておく義務があるのだ!
「マナビさんが決意に燃えてますね! これはなんとなく、いいことを考えてる気がしますねー」
「そうですか? 当機能より、ルミイの方がマスターには詳しいですからね……」
ちょっと待っていたら、カオルンも戻ってきたのだった。
「どうだった?」
「悪巧みしてたのだ! カオルンは屋根裏に潜り込んで調査したのだ。あそこで全員やっつけても良かったのだなー」
「それでもいいけど、派手にやるとこの国の連中が見てるかも知れないだろ。あくまで、コダルコダール村のゲームに則ったように見せかけて暴れたい。その方が注目されないから、行動しやすい」
「そうなのだな! マナビは色々考えてるのだなあ。カオルンも潜入調査してた時は、目立たないようにしてたのだ!」
カオルンが語る、悪巧みとはこういうものだった。
・新たな旅人はなんかヤバい。
・ゲームの進行が初日でぶっ壊れた。
・今回のゲームはなかったことにしよう。
・とりあえず今夜、旅人を全員で襲って殺して、やりなおそう。
うん、完全に予想通り。
「じゃあ、想定内で状況が収まるみたいなんで、チュートリアル行ってみよう。みんな集まれー」
女子たちを集めて、作業スタート。
「あっ、いきなり夜になりました!」
ルミイが驚く。
うむ、俺は最近、チュートリアル機能は直前の状態ばかりではなく、時間の指定が可能であることに気付いたのだ。
ただ、あくまで12時間後くらいまで。
それにあまりにも時間が離れすぎていると、チュートリアルしたことを忘れてしまう。
なので、使い方が難しいのだ。
「とりあえず、連中が襲ってくるかなという一番念話が強まる時間帯だ。どうかな?」
「外にいっぱい来てるのだ! みんな獣人に変身してるのだなー」
「やる気ですね。かなりの数です。村人総出で来たようですね」
「じゃあ、思ったよりも襲撃の規模はでかいんだな。これはしっかり罠を仕掛けないといけないぞ。どこから連中が襲撃してくるか、みんなきっちりチェックしよう」
「はあい!」「分かったのだー!」「了解です」
「では、チュートリアルスタート! 時間が流れるよー」
村人たちが叫びながら襲ってくる。
窓を破って飛び込み、扉を蹴破り、屋根を破壊して降りてくる。
家の周囲も、どの辺りを踏みつけてやって来るのか。こういった部分をきちんと観察する。
ぶっちゃけ、このチュートリアルは今までとは違う。
襲撃において、村人がどういうルートを通ってくるかを知るためのものなのだ。
「だいたい分かった? じゃあチュートリアルストップ! 次は毒の罠を仕掛けるポイントをチェックしながらやっていこうか」
「ヘルプ機能との併用をおすすめします。チュートリアルによる予知と組み合わせることで、罠のポイントを表示可能です」
「サンキューアカネル! じゃあそれで。スタート!」
時間が戻り、再び襲撃のチュートリアル。
なるほど、村人たちがどこに移動し、どこが罠を仕掛けるには最適であるかが明確に分かる。
そういうポイントに赤い丸が付けられて見えるのだ。
「今回は便利ですねえー。いっつもこうだったら楽なんですけど」
「最近ルミイは楽することばっかり考えてるのだ? 動かないとぷくぷくに太っちゃうのだ」
「そうだぞ、カオルンの言う通りだぞ」
「あー。太っちゃうとママに嫌味言われちゃうからやだなあ……」
和気あいあいとチュートリアルは終了した。
戻ってきた俺たちは、昼間の家の中である。
「ウルフズベインの精製に掛かります。猛毒ですから触れないで下さい」
アカネルに作業してもらっている間に、みんなで罠を作る。
と言っても単純なもので、先が尖った木の棒とか、窓枠も割れやすいように亀裂を入れておくとか、ドアノブに小さな針を仕掛けておくとか。
これで十分だ。
ちょっぴり傷がつけばそれで勝利確定。
尖った場所全部にウルフズベインが塗ってあるのだ。
さらに、村人たちは獣化すると、衣類や靴を脱ぐから、露出が増えるのだ。
「皮膚の頑丈さを考えるに、釘みたいなのを仕込んでおいた方がいいか。ヘルプ機能、獣化したライカンスロープに傷をつける程度の、罠の強度」
「表示します」
作業しながら、アカネルが空間に文字を浮かべる。
よし、大体分かった。
木製の罠でも、砕けた窓の枠でも刺さるらしい。
人間と動物の半々くらいの丈夫さなんだな。
やはり、魔族としてはあまり強くない。
舐めプでお相手してあげるのがちょうど良かろう。
「マナビさん、サラサラした砂に毒を混ぜてですね、わたしが風で飛ばすのはどうですか」
「ルミイ、なんという悪魔的考え! それ採用」
「じゃあカオルンもやるのだ! えーと、カオルンはこの小石に毒を塗ってばらまくのだ! カオルンには毒は通じないのだー」
「採用採用」
素晴らしい速度で、ライカンスロープ迎撃の準備が整っていくぞ。
今から夜が楽しみである。
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