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7・ポテト・ウォー
第19話 フライドポテトの誕生
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夜遅くに揚げ物を揚げるべきではない。
僕たちはベッドに戻って寝た。
泥のように寝た。
そして朝。
パッと目覚めた僕は、農夫たちに呼びかける。
「芋をいただきたい!!」
農夫たちは、僕のただならぬ雰囲気に気づき、深く頷いた。
「うちの芋は、どうやっても美味いぜ。芋泥棒を捕まえてくれたあんたのためだ。いくらだって芋をくれてやるよ!」
「ありがとう。僕がこれから行う調理は、恐らく似たような形ではこの世界で何度も行われてきたものだろう。だが……全く同じ物はこの世界に未だ誕生してはいまい……。なぜなら、油を潤沢に使った揚げ物は贅沢なものであり、芋に対して使うようなものではないからだ!」
「お、おおお……!!」
どよめく農夫たち。
こういう賑やかなやり取りをしていると、安楽椅子冒険者も起きてくる。
「ナザル、これはあれだね。私のこの目覚めたばかりな鈍い頭脳でも分かるよ。君は芋を使い、素晴らしい揚げ物を作る気なんだな……!!」
「さすがの洞察力だ」
僕は感嘆した。
芋を揚げるという行為を舐めていない。
先入観にとらわれぬ発想がリップルにはある。
彼女は近場の椅子に腰掛けると、「はよ! はよ!」と催促を開始した。
任せて欲しい。
僕は大鍋を用意してもらう。
そして、火元。
鍋には油を作り出してたっぷりと……。
熱された油から、泡が浮かび上がってくる。
僕は油に指を入れた。
「あっ!」
農夫の一人が思わず叫ぶ。
「あんた、熱くないのか……!?」
「僕は油が発するあらゆる災禍を受け付けないんだ。どれほど高熱の油も、僕に火傷を負わせることはできない。うん、およそ160℃か。ここで、あらかじめ小麦粉を振って細切りにしたポテトをイン!!」
芋がふわりと鍋の中に広がる。
じゅわーっと言う素晴らしい音が響き渡った。
ごくり、農夫の一人が唾を飲む。
「な……なんて音させるんだ……。たっぷりの油で揚げるってのは、こんなことになるのかよ……」
「わ、私の推理によると、これは美味しいぞ」
空腹で頭がへっぽこになってるぞリップル!
数分揚げたところで油を回収。
熱を保ったまま魔力の中で循環させ……。
カンカンに熱された鍋からポテトだけを取り出し、再び油をイン!
ぐつぐつと煮立つ油。
この高温油に……ポテトを投下!
表面がカリッとするまでサッと揚げて……!
「完成だ!!」
表面にガッツリ塩を振る。
これが、僕が現代世界のハンバーガーショップなどで食べてきた、外はカリカリ、中はほっくりの細切りフライドポテトである。
「召し上がれ!」
僕の宣言とともに、リップルが「うおおおおお」と駆け込んできた。
そしてポテトを一本手に取ると、カリッと食べて目を丸くした。
「この歯ごたえ! そして中身はほっくほくで……あっあっ、強めの塩味がちょうどいい……。うっまあぁぁぁぁ」
「な、なんだって!?」
「俺たちも、俺たちにも揚げ芋をくれ!!」
群がる農夫たち!
どんどん無くなっていくフライドポテト!
僕も慌てて揚げたてを食べた。
いやあ、美味いこと美味いこと!
カリッとかじってほっくほく。
塩味が効いてて美味い。
ああ、ビールが欲しくなる……。
結局、その後も次々に芋が差し出されてきて、みんな農作業そっちのけで芋を食い続けたのだった。
さすがに腹が膨れたのが昼近く。
やっと農夫たちは仕事に赴いていった。
いつの間にか、農場主まで輪に加わり、フライトポテトを貪り食っていた。
「うっ、胸焼けが……」
「一応揚げ物だからね……」
僕は農場主の背中を擦ってやった。
「だが、悪魔的な美味しさだった……。頼む、金は払う! レシピを置いていってくれ!」
こうして僕は、農場主から依頼の達成料の他、フライドポテトのレシピ代を得たのだった。
なんなら、報酬よりもレシピ代の方が倍くらい高かった。
やはり、食……!!
食は全てを制する……!
「ナザル……。私は君を常々只者ではないと思っていたが、その思いを強くしたよ」
「どうしたんだリップル、改まって」
「君が新しい揚げ物を作りそうな時は絶対に私を呼んでくれ……! 揚げ物大好き」
ジャンク大好きハーフエルフめ!
だけど、食べてくれる人間がいるというのはやる気になるな。
「分かった。君を僕の料理の第一試食係に任命しよう」
「ありがたき幸せ~!」
プラチナ級冒険者がカッパー級冒険者に深々と頭を下げるという、不思議な光景がここに展開した。
さて、こうしてフライドポテトを物にした僕だが……。
やっぱり、これは我が最大の理解者にして料理の先生たるドロテアさんにも食べさせないとな。
「奥さーん!! ドロテアさーん! ナザルです! お芋好きでしょー! フライドポテトを食べませんかー!!」
僕はギルマスの家を訪れ、永遠に若いギルマス婦人ことドロテアさんに、揚げたてフライドポテトを振る舞ったのである。
「まあ、美味しい……! お芋って、こんなに美味しくなるものなのね……! 昔、揚げたお芋の料理はあったのよ。だけど、こんなカリカリほっくりじゃなかったわ。もっとしっとりしてて、じめっとしてた……」
「揚げ物は揚げたてが最強ですからね。その点僕は、常に揚げたてを用意できます……! ドロテアさん、今後も真っ先に美味しいお料理を食べさせてあげますからね」
「まあ嬉しい! だけど……主人がいない時にしてね? あの人、嫉妬しちゃうから」
ギルマスに嫉妬されたら命が危ない。
気をつけることにしよう……。
僕たちはベッドに戻って寝た。
泥のように寝た。
そして朝。
パッと目覚めた僕は、農夫たちに呼びかける。
「芋をいただきたい!!」
農夫たちは、僕のただならぬ雰囲気に気づき、深く頷いた。
「うちの芋は、どうやっても美味いぜ。芋泥棒を捕まえてくれたあんたのためだ。いくらだって芋をくれてやるよ!」
「ありがとう。僕がこれから行う調理は、恐らく似たような形ではこの世界で何度も行われてきたものだろう。だが……全く同じ物はこの世界に未だ誕生してはいまい……。なぜなら、油を潤沢に使った揚げ物は贅沢なものであり、芋に対して使うようなものではないからだ!」
「お、おおお……!!」
どよめく農夫たち。
こういう賑やかなやり取りをしていると、安楽椅子冒険者も起きてくる。
「ナザル、これはあれだね。私のこの目覚めたばかりな鈍い頭脳でも分かるよ。君は芋を使い、素晴らしい揚げ物を作る気なんだな……!!」
「さすがの洞察力だ」
僕は感嘆した。
芋を揚げるという行為を舐めていない。
先入観にとらわれぬ発想がリップルにはある。
彼女は近場の椅子に腰掛けると、「はよ! はよ!」と催促を開始した。
任せて欲しい。
僕は大鍋を用意してもらう。
そして、火元。
鍋には油を作り出してたっぷりと……。
熱された油から、泡が浮かび上がってくる。
僕は油に指を入れた。
「あっ!」
農夫の一人が思わず叫ぶ。
「あんた、熱くないのか……!?」
「僕は油が発するあらゆる災禍を受け付けないんだ。どれほど高熱の油も、僕に火傷を負わせることはできない。うん、およそ160℃か。ここで、あらかじめ小麦粉を振って細切りにしたポテトをイン!!」
芋がふわりと鍋の中に広がる。
じゅわーっと言う素晴らしい音が響き渡った。
ごくり、農夫の一人が唾を飲む。
「な……なんて音させるんだ……。たっぷりの油で揚げるってのは、こんなことになるのかよ……」
「わ、私の推理によると、これは美味しいぞ」
空腹で頭がへっぽこになってるぞリップル!
数分揚げたところで油を回収。
熱を保ったまま魔力の中で循環させ……。
カンカンに熱された鍋からポテトだけを取り出し、再び油をイン!
ぐつぐつと煮立つ油。
この高温油に……ポテトを投下!
表面がカリッとするまでサッと揚げて……!
「完成だ!!」
表面にガッツリ塩を振る。
これが、僕が現代世界のハンバーガーショップなどで食べてきた、外はカリカリ、中はほっくりの細切りフライドポテトである。
「召し上がれ!」
僕の宣言とともに、リップルが「うおおおおお」と駆け込んできた。
そしてポテトを一本手に取ると、カリッと食べて目を丸くした。
「この歯ごたえ! そして中身はほっくほくで……あっあっ、強めの塩味がちょうどいい……。うっまあぁぁぁぁ」
「な、なんだって!?」
「俺たちも、俺たちにも揚げ芋をくれ!!」
群がる農夫たち!
どんどん無くなっていくフライドポテト!
僕も慌てて揚げたてを食べた。
いやあ、美味いこと美味いこと!
カリッとかじってほっくほく。
塩味が効いてて美味い。
ああ、ビールが欲しくなる……。
結局、その後も次々に芋が差し出されてきて、みんな農作業そっちのけで芋を食い続けたのだった。
さすがに腹が膨れたのが昼近く。
やっと農夫たちは仕事に赴いていった。
いつの間にか、農場主まで輪に加わり、フライトポテトを貪り食っていた。
「うっ、胸焼けが……」
「一応揚げ物だからね……」
僕は農場主の背中を擦ってやった。
「だが、悪魔的な美味しさだった……。頼む、金は払う! レシピを置いていってくれ!」
こうして僕は、農場主から依頼の達成料の他、フライドポテトのレシピ代を得たのだった。
なんなら、報酬よりもレシピ代の方が倍くらい高かった。
やはり、食……!!
食は全てを制する……!
「ナザル……。私は君を常々只者ではないと思っていたが、その思いを強くしたよ」
「どうしたんだリップル、改まって」
「君が新しい揚げ物を作りそうな時は絶対に私を呼んでくれ……! 揚げ物大好き」
ジャンク大好きハーフエルフめ!
だけど、食べてくれる人間がいるというのはやる気になるな。
「分かった。君を僕の料理の第一試食係に任命しよう」
「ありがたき幸せ~!」
プラチナ級冒険者がカッパー級冒険者に深々と頭を下げるという、不思議な光景がここに展開した。
さて、こうしてフライドポテトを物にした僕だが……。
やっぱり、これは我が最大の理解者にして料理の先生たるドロテアさんにも食べさせないとな。
「奥さーん!! ドロテアさーん! ナザルです! お芋好きでしょー! フライドポテトを食べませんかー!!」
僕はギルマスの家を訪れ、永遠に若いギルマス婦人ことドロテアさんに、揚げたてフライドポテトを振る舞ったのである。
「まあ、美味しい……! お芋って、こんなに美味しくなるものなのね……! 昔、揚げたお芋の料理はあったのよ。だけど、こんなカリカリほっくりじゃなかったわ。もっとしっとりしてて、じめっとしてた……」
「揚げ物は揚げたてが最強ですからね。その点僕は、常に揚げたてを用意できます……! ドロテアさん、今後も真っ先に美味しいお料理を食べさせてあげますからね」
「まあ嬉しい! だけど……主人がいない時にしてね? あの人、嫉妬しちゃうから」
ギルマスに嫉妬されたら命が危ない。
気をつけることにしよう……。
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