俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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22・国交樹立!

第66話 寒天料理をいただく

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 めでたく、国交が樹立したところで。
 歓迎の宴が始まった。
 女王バルバラと第二王子を中心として、たくさんの人が集まり、歌って踊って大いに騒ぐ。

 何かお祭りができる機会を見つけては騒ぐのが、ファイブショーナンという国なのだ。
 国が持つパワーがすごいんだよな。
 第二王子も目を回しているぞ。

 さて、僕だが……。
 なぜか、バルバラのすぐ横に席を設けられた。

「女王陛下。コゲタ用のご飯があるのはありがたいんですが、なぜ僕をこんな目立つ場所に……」

「そなたはわらわの友だからじゃ! そなたのお陰で、わが国はあのサクサクの天ぷらを食べられるようになる。そなたはわらわの永き生に彩りを与えてくれた恩人。ないがしろにはできまい」

「いや、目立つとですね、好き勝手にスローな冒険者ライフを送れなくなる……」

「そんなもの、注目されようが好き勝手に生きれば良い! わらわのように国を持っているわけでもないのじゃからな」

 あ、言われてみればそうかあ!
 どんなに注目されても、僕が好き勝手に生きるのはそれはそれでありだった。

 盲点だったなあ……。

「よし、じゃあ僕はまた好きに生きるぞ。人の目はあまり気にしないことにする。なあコゲタ」

「わん?」

 フレーク状になった魚をむしゃむしゃ食べていたコゲタが、首を傾げた。
 食事中に呼んでごめんな!

 さて、ここで女王がにんまりと笑った。

「さあさ、出るぞ。そなたのお目当ての料理じゃ。我が国ではちょっとしたおやつみたいなものなのじゃが……。まあ、ファイブショーナンは魚と果実とココナッツだけで暮らしておるようなものじゃからな」

 おやつだろうが主食となりえるということだろうか。
 出てきたのは、美しく透き通った丸いお菓子だった。
 盆の上でプルプル震えている。

「な、な、なんだこれは!!」

 第二王子が驚愕して叫んだ。
 見たこと無いよな。

 見た目は、赤い果汁を丸いプルプルに閉じ込めた不思議なお菓子だ。

「ファイブショーナン名物の寒天菓子じゃ。召し上がれ。甘さと酸味でさっぱりとするぞ」

「寒天……菓子……!」

 第二王子はごくりとつばを飲んだ。
 普段は、毒見役がいる状況で冷めたものばかり食っているような人だ。
 今回の会食は、あらかじめ解毒薬を飲んでから挑んでいるようだが。

 言うなれば、王族というのは食の冒険をすることがありえない。
 既知の料理しか出てこず、彼らにとって食事とは楽しみになりえないのだ。

 だから、見たことも聞いたこともないものが目の前に出現した時、第二王子のようにフリーズする。

「殿下、僕が食べてみましょう。見ててください」

「お、おお……!」

 第二王子が助かった! という顔をした。
 僕が毒見役を買って出たわけだからな。

 で、僕は率先して寒天料理が食えるというわけだ!
 偉い人が匙をつけるまで食べられない、みたいなのは御免だからね。

「じゃあ、いただきます」

「いただきます?」

 バルバラが首を傾げた。
 分からなくてよろしい。

 木製の素朴なスプーンを果汁の寒天に突き刺すと、この弾力が楽しい。
 すくい上げた上で、赤く鮮やかな半透明がぷるぷると揺れる。
 これは堪らん。

 寒天はわりとかっちりしてるイメージがあったけど、この世界の寒天はゼリーみたいになっているんだな。
 さっきまで水で冷やされていたから、口に運ぶと冷たさを感じる。
 こりゃあ甘い。

 冷たいと甘みは感じにくくなるらしいが、それでもなお甘いと感じる。
 つまりかなり甘味を足しているということだ。

「気づいたかや、ナザル。そなたらが持ってきた砂糖というものを、たっぷり加えておいたのじゃ!」

「そりゃあ甘いはずだあ! これ、美味しいよ! いやあ、美味い! 匙が止まらない!」

 僕は歓声をあげながら、ぱくぱくと寒天を食べた。
 その様子を見ていた第二王子が、ゴクリと喉を鳴らした。
 今度のは緊張からの動作ではないな。

 彼は匙を手に取ると、何か決心した目で寒天を見て。

「いざ!」

 まるで戦に臨むみたいな声を出したかと思ったら、寒天をすくって口に運んだ。
 一噛みで、第二王子の目が見開かれたのが分かる。

「お、おお……これは……!! なんというみずみずしい菓子なのか……!! 果汁をこのように固められるのか……!? なんと、なんと不可思議なものが世界にはあるのだろう!!」

 あっ、めちゃくちゃ感動してる!
 
 見たことある冷めた料理しか出てこない生活で、食事は作業だった第二王子。
 気づいたか。
 食はエンターテイメントなのだ。

 この人も、兄である第一王子は死ぬほど健康で、このままだと絶対に王位継承権が巡ってこない状況だ。
 結婚はしてるが、男子が生まれると政争のもとになると言うので、片っ端から神殿に預けられ、手元には女子しかいないとか。
 色々大変な人なのだ。

「帰ったら寒天料理を作らせよう……。冷めてても、いや、冷めているからこそこれは美味い……」

 なんかぶつぶつ言ってる。
 僕がアーランに寒天を導入するに当たって、これは大きなバックができてしまったかも知れないな……。

「殿下、実は僕は寒天の可能性を広げようと思っていまして」

「なにっ!? 寒天の可能性を!?」

「甘いだけではない寒天。そして揚げ物にも合う寒天というのをそのうちお見せしましょう……」

「なんだと!? そ、それを食べさせてくれ! 私は寒天を使った新しい料理を食べたい! 資金提供はする! 私のために開発してくれ!」

「かしこまりました」

 資金源ゲット!!
 好き勝手に料理ができるぞ!

「……そなたはなんというか、たくましいのう……!!」

 バルバラが感心半分、呆れ半分なのだった。


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