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57・我、コロッケを欲す
第165話 食材が集まった
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「わっせ! わっせ!」
掛け声も勇ましく、芋を掘るコゲタ。
コボルドだから犬っぽく手で掘ってもいいけど、コゲタは文明圏に生きるコボルドなのでちゃんとスコップを使うのだ。
上手上手。
「とりゃー!」
芋を引っ張る!
だがなかなか芋は抜けません!
ここで僕とリップルが協力することになる。
スコップで芋の土を払い落とし、もうちょっと深いところまで掘り……。
「よっしゃ、引っ張れコゲタ!」
「わん! よいしょー!!」
すぽぽぽぽーん!と抜けてくる数々の芋。
たくさんのじゃがいもが生っていたなあ……!
こんな要領で、何箇所かの芋を掘り返したのだった。
たくさん採っても食べ切れないからね。
それに、オーナーが考えている芋掘り企画は、掘った芋の量によって料金が発生する。
ある程度の量まで一定料金で、それを超えたら追加でお金が必要なわけね。
「ここまでが一定料金の範囲内だ。三人で食べるにはちょっと多いくらいだな」
「そうだね。かなり太っ腹な話だよ。まあ、ここにバンキンみたいなのが何人も来たら追加料金なしじゃ足りないだろうけどね」
そこはリップルの言う通り。
その他、豆をいただいた。
揃いに揃ったこの食材。
さあ、これを使ってお料理していきます。
農園の人々からすると、これこそが本題だったらしい。
オーナー他、農夫たちがワイワイと集まってくる。
「何を作るんだろうな」「楽しみだなあ」「絶対美味いやつだぜ」「俺はずっと揚げ芋だけでも良かったんだけどなあ……」
そんな話を聞きながら、僕は芋を蒸かすのだ。
集まってきても、料理にはしばらくかかるぞ……?
よし、コロッケの準備ができる前に、別の料理を用意しておこう。
「集めてもらった豆をちょうどいい大きさに刻んで……。思ったよりもでかいからね」
「ほうほう、一体どうするんだい?」
「粉と卵を混ぜてタネを作ってですね」
「卵を!? 粉に? ケーキを作るつもりかい?」
「いやいや、甘くない立派な食事だよ」
リップルの相槌が大変的確だ。
僕が語らんとするところを先回りして、疑問形で口にしてくれる。
さて、ではやっていこう。
砕いた豆をこのタネの中にたっぷりと入れて……。
これを熱した油(能力で用意したものです)にドーン!!
シュワーっと油が弾ける音がした。
おおーっとどよめくギャラリーたち。
ドロっとしていたタネが褐色のパリパリした衣になり、緑色の豆があちこちから顔を出している。
そう、これは……枝豆フライ!!
それっぽいやつ!
たくさんの枝豆フライが出来上がり、どんどん更に並べられていく。
「ワオ! こいつはとんでもないものが出てきたぞ! 使ったのはなんだ? 粉と? 卵と? 我が畑の豆だ! こりゃあ、明日にでも俺達が作れるぞ!」
「ええ。難しい手順なんか全く踏んでないですからね。質の良い油も手に入りやすくなってるし、ここでも作れるでしょう」
「油使いのナザル。この料理の名前を教えてもらえないかね?」
実に嬉しそうなオーナーに、僕はちょっともったいぶった。
そうだな……。
枝豆フライってのはそのままだけど、ニュアンスが伝わらないよな。
じゃあ、豆を砕いて揚げたかき揚げだから……。
「げんこつ揚げだ」
「げんこつ!? ああ、確かにこの豆がごちゃごちゃ固まった姿がげんこつみたいに見えるな! なるほどなあー!!」
農夫たちもやんややんやと盛り上がる。
そして、みんな魚醤やシロップを取り出す。
シロップ!?
いや、何も言うまい……。
味の好みは個性だ。
それに、素材だけ考えたら粉と卵。
ケーキと同じだ。
「ナザル、私達もいただいていいかい?」
「おなかへった!」
「どうぞどうぞ」
リップルとコゲタ、オーナーに農夫たちが、みんなでげんこつ揚げを食べ始めた。
飲み物は、農場の葉っぱで入れた豆の葉茶。
これが、えんどう豆みたいな香りがしてなかなか面白い味なのだ。
流石に日が高いうちから酒は呑まないみたいだな。
これ、食べ終わったら作業に戻るつもりだろう。
「さて、一見すると硬そうだが……」
オーナーがフォークでげんこつ揚げを刺す。
すると、タネで固められていたげんこつ揚げがざっくりと割れた。
「おほっ! ざっくざくだ! どれどれ……?」
魚醤を付けて、ぱくりと齧るオーナー。
衣を噛むザクザクした音。
彼は目を見開き、飲み下す前にまた一口食べて、ザクザク。
そしてゴクリと飲んでから茶を啜った。
「こりゃあ……こりゃあ美味いなあ! そのまま茹でたらプリプリになる豆が、ほっくほくに揚がってるぜ! ザクザク、ほくほく、食べてて全く飽きない!」
「ほんとだうめえ!」「酒が欲しい~」「これ明日から俺達も作れるってほんと!?」「揚げ芋と並べたら最強タッグじゃん」
大好評だ。
リップルもうんうんうなずきながら食べている。
「美味しい。肉体労働メインの冒険者が好きな味だね」
つまり、ちょっと胃には重いかなーという意味であろう……。
安楽椅子冒険者はもっと体を動かすべきだ。
そして食べ盛りのコゲタには大好評。
むしゃむしゃーっと食べて、ずっともぐもぐしている。
ニコニコしながら僕の方を向いて、何か感想を言いたいらしいのだけど。
飲み込まないもんだから何も言わず、ニコニコするだけだ。
「コゲタ、飲んで飲んで」
言われてやっと、ごくっと飲むコゲタだった。
「ご主人、おいしいー!」
「おお、そうかそうか! よかったなあ!」
前座メニューとは言え、思いの外気に入ってもらえたな、豆のげんこつ揚げ。
掛け声も勇ましく、芋を掘るコゲタ。
コボルドだから犬っぽく手で掘ってもいいけど、コゲタは文明圏に生きるコボルドなのでちゃんとスコップを使うのだ。
上手上手。
「とりゃー!」
芋を引っ張る!
だがなかなか芋は抜けません!
ここで僕とリップルが協力することになる。
スコップで芋の土を払い落とし、もうちょっと深いところまで掘り……。
「よっしゃ、引っ張れコゲタ!」
「わん! よいしょー!!」
すぽぽぽぽーん!と抜けてくる数々の芋。
たくさんのじゃがいもが生っていたなあ……!
こんな要領で、何箇所かの芋を掘り返したのだった。
たくさん採っても食べ切れないからね。
それに、オーナーが考えている芋掘り企画は、掘った芋の量によって料金が発生する。
ある程度の量まで一定料金で、それを超えたら追加でお金が必要なわけね。
「ここまでが一定料金の範囲内だ。三人で食べるにはちょっと多いくらいだな」
「そうだね。かなり太っ腹な話だよ。まあ、ここにバンキンみたいなのが何人も来たら追加料金なしじゃ足りないだろうけどね」
そこはリップルの言う通り。
その他、豆をいただいた。
揃いに揃ったこの食材。
さあ、これを使ってお料理していきます。
農園の人々からすると、これこそが本題だったらしい。
オーナー他、農夫たちがワイワイと集まってくる。
「何を作るんだろうな」「楽しみだなあ」「絶対美味いやつだぜ」「俺はずっと揚げ芋だけでも良かったんだけどなあ……」
そんな話を聞きながら、僕は芋を蒸かすのだ。
集まってきても、料理にはしばらくかかるぞ……?
よし、コロッケの準備ができる前に、別の料理を用意しておこう。
「集めてもらった豆をちょうどいい大きさに刻んで……。思ったよりもでかいからね」
「ほうほう、一体どうするんだい?」
「粉と卵を混ぜてタネを作ってですね」
「卵を!? 粉に? ケーキを作るつもりかい?」
「いやいや、甘くない立派な食事だよ」
リップルの相槌が大変的確だ。
僕が語らんとするところを先回りして、疑問形で口にしてくれる。
さて、ではやっていこう。
砕いた豆をこのタネの中にたっぷりと入れて……。
これを熱した油(能力で用意したものです)にドーン!!
シュワーっと油が弾ける音がした。
おおーっとどよめくギャラリーたち。
ドロっとしていたタネが褐色のパリパリした衣になり、緑色の豆があちこちから顔を出している。
そう、これは……枝豆フライ!!
それっぽいやつ!
たくさんの枝豆フライが出来上がり、どんどん更に並べられていく。
「ワオ! こいつはとんでもないものが出てきたぞ! 使ったのはなんだ? 粉と? 卵と? 我が畑の豆だ! こりゃあ、明日にでも俺達が作れるぞ!」
「ええ。難しい手順なんか全く踏んでないですからね。質の良い油も手に入りやすくなってるし、ここでも作れるでしょう」
「油使いのナザル。この料理の名前を教えてもらえないかね?」
実に嬉しそうなオーナーに、僕はちょっともったいぶった。
そうだな……。
枝豆フライってのはそのままだけど、ニュアンスが伝わらないよな。
じゃあ、豆を砕いて揚げたかき揚げだから……。
「げんこつ揚げだ」
「げんこつ!? ああ、確かにこの豆がごちゃごちゃ固まった姿がげんこつみたいに見えるな! なるほどなあー!!」
農夫たちもやんややんやと盛り上がる。
そして、みんな魚醤やシロップを取り出す。
シロップ!?
いや、何も言うまい……。
味の好みは個性だ。
それに、素材だけ考えたら粉と卵。
ケーキと同じだ。
「ナザル、私達もいただいていいかい?」
「おなかへった!」
「どうぞどうぞ」
リップルとコゲタ、オーナーに農夫たちが、みんなでげんこつ揚げを食べ始めた。
飲み物は、農場の葉っぱで入れた豆の葉茶。
これが、えんどう豆みたいな香りがしてなかなか面白い味なのだ。
流石に日が高いうちから酒は呑まないみたいだな。
これ、食べ終わったら作業に戻るつもりだろう。
「さて、一見すると硬そうだが……」
オーナーがフォークでげんこつ揚げを刺す。
すると、タネで固められていたげんこつ揚げがざっくりと割れた。
「おほっ! ざっくざくだ! どれどれ……?」
魚醤を付けて、ぱくりと齧るオーナー。
衣を噛むザクザクした音。
彼は目を見開き、飲み下す前にまた一口食べて、ザクザク。
そしてゴクリと飲んでから茶を啜った。
「こりゃあ……こりゃあ美味いなあ! そのまま茹でたらプリプリになる豆が、ほっくほくに揚がってるぜ! ザクザク、ほくほく、食べてて全く飽きない!」
「ほんとだうめえ!」「酒が欲しい~」「これ明日から俺達も作れるってほんと!?」「揚げ芋と並べたら最強タッグじゃん」
大好評だ。
リップルもうんうんうなずきながら食べている。
「美味しい。肉体労働メインの冒険者が好きな味だね」
つまり、ちょっと胃には重いかなーという意味であろう……。
安楽椅子冒険者はもっと体を動かすべきだ。
そして食べ盛りのコゲタには大好評。
むしゃむしゃーっと食べて、ずっともぐもぐしている。
ニコニコしながら僕の方を向いて、何か感想を言いたいらしいのだけど。
飲み込まないもんだから何も言わず、ニコニコするだけだ。
「コゲタ、飲んで飲んで」
言われてやっと、ごくっと飲むコゲタだった。
「ご主人、おいしいー!」
「おお、そうかそうか! よかったなあ!」
前座メニューとは言え、思いの外気に入ってもらえたな、豆のげんこつ揚げ。
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