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68・大雪だ
第204話 船を助け出すぞ
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天ぷらをたっぷり食べて満足したところだが。
船乗りたちが集まってきて、何か棒を持って船の周りの海を叩いている。
なんだなんだ。
様子を見に行ったところ、船を取り囲んでいる氷を叩き割っているところだった。
「何をしてるんだい?」
「あっ、ナザルの旦那! これはですね、海は氷になるとちょっと膨れるんですが、船をぎゅっと押し込んできて船底が傷んだりするんでさあ」
船乗りの一人が説明してくれた。
なーるほど。
「よし、僕も手伝おう」
「本当ですかい! 助かります!」
そういうことで、氷をバンバン叩いて割って細かくする。
そうすると融けやすくなるからね。
で、これは本当に効果があるの?
いや、港に氷が張るというのは珍しいことじゃないんだろう。
ロングワカサギを釣るやり方が広まっているくらいだもんな。
疑わず、粛々と氷を割っていこうではないか。
飼い主氏とアララちゃんは、このまま街をぐるっと回って帰るんだそうで、ここでひとまずお別れ。
「コゲタもやってみる?」
「やるー!」
細い棒を渡してもらって、氷をぺちぺち叩くコゲタ。
カチカチの氷ではなく、あちこちシャーベット状になってもいるから、コゲタくらいの打撃でもいけるみたいだな。
しばらくバンバンと氷を叩き割っていると、ほどよく融けてきた。
これを何箇所か繰り返したら……。
「よーし、これで終わりだ! 昨夜みたいなとんでもない雪が降らない限り、こうして海がカチコチに凍ることは無いだろう! 船は守られた!」
船乗りのリーダーらしき人が宣言すると、ワーッと声が上がって船乗りたちがわいわいと戻ってきた。
空は完全に晴れ渡り、風はちょっと冷たいが日があたったところはポカポカしてきている。
体を使って大変汗をかいた。
海風が気持ちいいな。
「あっつーい」
コゲタが地べたに寝転んで、舌を出していた。
コボルドは肉球にしか汗をかかないからなー。
しばらくコゲタを冷やしてから港をあとにすることにしよう。
ちょっとまったりした後、コゲタがむくっと起き上がった。
「いける?」
「いけるー!」
ぴょーんとジャンプするコゲタ。
よしよし。
では出発!
ロングワカサギ釣りを終えた釣り人たちも、みんなで船の救出活動を手伝っていたらしい。
さっきロングワカサギ料理を食べたというのに、もうみんな腹をすかせて、街に繰り出していく。
そうか、そろそろ夕方だ。
雪の日に腹の底から温まる料理を、食堂や屋台が仕込み終わっている頃合いであろう。
「コゲタ、夕ご飯は何が食べたい?」
「ゆうごはん!? んー!」
考え込んでいる。
思いつくまでは街をブラブラするのがいいだろう。
夕暮れの日差しに照らされて、街のあちこちに積み上げられた雪山がオレンジ色に輝いている。
きれいなもんだ。
これが夜になったらさらにきれいだろう。
午前中はみんなで遊んでいたコボルドたちも、仕事に戻っている。
雪かきが終わり、活動再開というわけだ。
荷物やお料理のお届け物は、日暮れまでがタイムリミット。
午前の遅れを取り返す勢いで、走るコボルドたちなのだった。
僕とともに歩くコゲタに、コボルドたちが手を振る。
コゲタも手を振り返す。
雪合戦ですっかり仲良しだなあ。
途中、実に美味しそうな匂いを漂わせていた焼きバスタ屋に入った。
焼きバスタというのは……。
茹でてソースであえるパスタだが、なんとこれを、茹でた後で炒めるのである!
しかもパスタが太い!
これはこの店の主人が手延べパスタをやってみたのだが、不器用で太いパスタにしかならなかったと。
で、カッとなってこれを炒めてからワイルドなひき肉とトマドのソースを絡めたら、大好評だったということなのだ。
ミートソースパスタを炒めたやつじゃん!!
絶対美味い。
それから冬の日用に、分厚いベーコンを焼いたやつが今日はついてくる。
さらに野菜とひき肉のスープ、トマド味。
素材が大体全部同じだな!
味付けと食感と料理の仕方で、バリエーション豊かに感じるやつだ。
これはこれで好きだなあ。
コゲタが早速、分厚いベーコンをもりもり食べて「んんー!」とか言っている。
「コゲタ、僕らはいつもサッと食ってサッと出ていくが、今日はちょっとのんびりしていこうか」
「んお? わかったー! ゆっくりたべる~」
コボルドは直立した犬みたいな種族だが、思考力とか認知力は人間の子供くらいあって、ゆっくり食べたりすることもできるのだ。
いつもはガブガブーっとパスタを食べるコゲタが、お上品にフォークでくるくるーっと巻いて、あーんと食べている。
食器を使うの上手くなったなあ!
感心してしまう。
僕も炒めたミートソースパスタをいただくとしよう。
焦げ目がついており、香ばしくて美味い。
粗いひき肉がトマドソースに絡まって、実に食べごたえがある。
パスタだけで満腹になるやつだなこれは。
それをスープで流し込み……。
スープにも肉と野菜がどっさり!!
野菜と肉が入ったスープは、これぞアーランスタイルの料理なんだが、豪勢さが凄いな。
美食全盛の時代を、ガッツリな男の料理で切り抜ける!
そんなスタイルのお店だった。
食った食った……!!
外に出る頃には、すっかり暗くなっている。
コゲタと大きな月が二つ、空に浮かんでいる。
雪が光を反射して、夜の街が明るいな。
おっとコゲタ、雪を食べてはいけないぞ……!
船乗りたちが集まってきて、何か棒を持って船の周りの海を叩いている。
なんだなんだ。
様子を見に行ったところ、船を取り囲んでいる氷を叩き割っているところだった。
「何をしてるんだい?」
「あっ、ナザルの旦那! これはですね、海は氷になるとちょっと膨れるんですが、船をぎゅっと押し込んできて船底が傷んだりするんでさあ」
船乗りの一人が説明してくれた。
なーるほど。
「よし、僕も手伝おう」
「本当ですかい! 助かります!」
そういうことで、氷をバンバン叩いて割って細かくする。
そうすると融けやすくなるからね。
で、これは本当に効果があるの?
いや、港に氷が張るというのは珍しいことじゃないんだろう。
ロングワカサギを釣るやり方が広まっているくらいだもんな。
疑わず、粛々と氷を割っていこうではないか。
飼い主氏とアララちゃんは、このまま街をぐるっと回って帰るんだそうで、ここでひとまずお別れ。
「コゲタもやってみる?」
「やるー!」
細い棒を渡してもらって、氷をぺちぺち叩くコゲタ。
カチカチの氷ではなく、あちこちシャーベット状になってもいるから、コゲタくらいの打撃でもいけるみたいだな。
しばらくバンバンと氷を叩き割っていると、ほどよく融けてきた。
これを何箇所か繰り返したら……。
「よーし、これで終わりだ! 昨夜みたいなとんでもない雪が降らない限り、こうして海がカチコチに凍ることは無いだろう! 船は守られた!」
船乗りのリーダーらしき人が宣言すると、ワーッと声が上がって船乗りたちがわいわいと戻ってきた。
空は完全に晴れ渡り、風はちょっと冷たいが日があたったところはポカポカしてきている。
体を使って大変汗をかいた。
海風が気持ちいいな。
「あっつーい」
コゲタが地べたに寝転んで、舌を出していた。
コボルドは肉球にしか汗をかかないからなー。
しばらくコゲタを冷やしてから港をあとにすることにしよう。
ちょっとまったりした後、コゲタがむくっと起き上がった。
「いける?」
「いけるー!」
ぴょーんとジャンプするコゲタ。
よしよし。
では出発!
ロングワカサギ釣りを終えた釣り人たちも、みんなで船の救出活動を手伝っていたらしい。
さっきロングワカサギ料理を食べたというのに、もうみんな腹をすかせて、街に繰り出していく。
そうか、そろそろ夕方だ。
雪の日に腹の底から温まる料理を、食堂や屋台が仕込み終わっている頃合いであろう。
「コゲタ、夕ご飯は何が食べたい?」
「ゆうごはん!? んー!」
考え込んでいる。
思いつくまでは街をブラブラするのがいいだろう。
夕暮れの日差しに照らされて、街のあちこちに積み上げられた雪山がオレンジ色に輝いている。
きれいなもんだ。
これが夜になったらさらにきれいだろう。
午前中はみんなで遊んでいたコボルドたちも、仕事に戻っている。
雪かきが終わり、活動再開というわけだ。
荷物やお料理のお届け物は、日暮れまでがタイムリミット。
午前の遅れを取り返す勢いで、走るコボルドたちなのだった。
僕とともに歩くコゲタに、コボルドたちが手を振る。
コゲタも手を振り返す。
雪合戦ですっかり仲良しだなあ。
途中、実に美味しそうな匂いを漂わせていた焼きバスタ屋に入った。
焼きバスタというのは……。
茹でてソースであえるパスタだが、なんとこれを、茹でた後で炒めるのである!
しかもパスタが太い!
これはこの店の主人が手延べパスタをやってみたのだが、不器用で太いパスタにしかならなかったと。
で、カッとなってこれを炒めてからワイルドなひき肉とトマドのソースを絡めたら、大好評だったということなのだ。
ミートソースパスタを炒めたやつじゃん!!
絶対美味い。
それから冬の日用に、分厚いベーコンを焼いたやつが今日はついてくる。
さらに野菜とひき肉のスープ、トマド味。
素材が大体全部同じだな!
味付けと食感と料理の仕方で、バリエーション豊かに感じるやつだ。
これはこれで好きだなあ。
コゲタが早速、分厚いベーコンをもりもり食べて「んんー!」とか言っている。
「コゲタ、僕らはいつもサッと食ってサッと出ていくが、今日はちょっとのんびりしていこうか」
「んお? わかったー! ゆっくりたべる~」
コボルドは直立した犬みたいな種族だが、思考力とか認知力は人間の子供くらいあって、ゆっくり食べたりすることもできるのだ。
いつもはガブガブーっとパスタを食べるコゲタが、お上品にフォークでくるくるーっと巻いて、あーんと食べている。
食器を使うの上手くなったなあ!
感心してしまう。
僕も炒めたミートソースパスタをいただくとしよう。
焦げ目がついており、香ばしくて美味い。
粗いひき肉がトマドソースに絡まって、実に食べごたえがある。
パスタだけで満腹になるやつだなこれは。
それをスープで流し込み……。
スープにも肉と野菜がどっさり!!
野菜と肉が入ったスープは、これぞアーランスタイルの料理なんだが、豪勢さが凄いな。
美食全盛の時代を、ガッツリな男の料理で切り抜ける!
そんなスタイルのお店だった。
食った食った……!!
外に出る頃には、すっかり暗くなっている。
コゲタと大きな月が二つ、空に浮かんでいる。
雪が光を反射して、夜の街が明るいな。
おっとコゲタ、雪を食べてはいけないぞ……!
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