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79・上陸! 南の島!
第241話 米を炊く
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ちょっといただいたお米を炊くことにする。
量が少ないから、おかゆにして増やすのが良かろう。
水多めで炊く……!
幸い、茹でる用の鍋があった。
蓋もある。
「本来これはこの島には無かったのですが、立ち寄った船の方々が置いていって下さったのですよ。とは言っても、我々には本来必要のないものなのですが」
「だよねえ。スケアクロウは食事をしないから」
今はこの鍋を専用で使ってもいいとのこと。
燃やす藁はいくらでもあるが、木材も欲しいな。
薪を集めることにしよう。
「ご主人なにつくるの?」
「お米を炊くんだよ」
「たくー?」
首を傾げるコゲタだが、薪を集めるという任務にはすぐ納得した。
ワーッと駆け回って、森に落ちている木々を拾い集めてくれる。
コゲタ、こういう仕事は本当に上手いなあ!
みるみる薪が集まっていく。
僕もせっせと集めて、これだけあればいいだろうという量になった。
これを持っていき、石を積んで窯を作り……。
すっかり夕方である。
おかゆを炊くだけのために、米を突いて薪を集め、窯を作ってしまった!
だがそれだけの価値はあるだろう。
鍋に米と水を入れ、蓋をする。
初めチョロチョロ、中パッパ……とかそういうのがあったよな。
あんな感じか。
うろ覚えでやってみる。
一応、スケアクロウにも茹で時間なんかを聞いておくのだ。
船主いわく、十分にふやけてはいたようだから、その時間を上限に設定しておけばいいだろう。
かくして、おかゆ炊きが始まった。
おかゆなので、そこまで緊張するものでもない。
上限の時間が決まっているから、鍋の吹きこぼれ方などを見ていれば焦がすことはないはずだ。
あとは火加減のコントロール。
こればかりは工夫していくしか無い。
そこまで考えて僕は愕然とする。
米を炊くには、全て創意工夫を行っていかねばならないではないか!
僕が米炊きの先駆者となるのだ。
そのために、どれだけの米を犠牲にすることになるのか!?
くっ、それは辛い。
基本をおかゆとし、おかゆから徐々に時間を短縮していって米の形にしていくべきであろう。
で、今夜あたりに知識神に夢枕に立ってもらい、米を炊く時間についてを詳しく聞く。
これだ。
試行錯誤もいいが、僕はとにかく早く上手い米が食いたい!!
じりじりとしながら米が炊けるのを待つ。
「なかなか時間がかかるもんだね」
リップルが隣に腰掛けた。
のんびりすることにかけてはプロ級の人物だ。
米が炊きあがる様子を見るのに、これ以上の人材はあるまい。
二人で並んで、米の炊き具合を確認した。
よし、そろそろだろう。
この島、日時計があったのだ。
あれで時間が分かるから本当に助かる。
年中一定の気候だから、日時計は本当に信用できるらしい。
「よし、こんなもんだろう!」
僕は鍋の蓋を開ける。
おお、いい感じに米がふやけている……!!
そろそろ辺りは真っ暗で、船員たちはめいめい夕飯を喰らい、酒盛りなんぞやっている。
何人かの船員が僕の様子を見に来て、米を炊いているのを見て「うげー、あんな味の無いものよく食いますね」とか言うのだ。
言っているがいい。
器におかゆをよそう。
割と粒がちゃんとしてるな。
リップルと僕とコゲタのぶん。
あとはおかずを用意し……。
「では……実食!」
まずは塩だけを振り、サラサラと口に入れる。
おおっ、こ、これは……!
米の味だーっ!!
正直、前世で食べていたコメの味には及ばない。
何しろ、あの世界では何世代にも及ぶ米の品種改良により、めちゃくちゃに食味が向上した米が出回っていたのだ。
こちらの世界は違う。
スケアクロウの生活を成り立たせるための資材であり、米はその副産物なのだ。
だが、そんなことはどうでもいい。
感動だなあ……。
おかずを食べつつおかゆを食べる。
うんうん、美味い!
これだよ、これ。
白米をもりもりというわけには行かないが、米炊き初心者がやったにしては上出来だろう。
初手からおかゆを目指したのは正解。
「ははあ、面白いもんだね! 麦粥とも全然違っていて、柔らかくてこれはお腹に優しそうだ。淡白だから、塩辛い具材と一緒に食べるとちょうどいいね。うん、私は気に入った」
「分かってくれたか!」
「コゲタも! コゲタも! これすきよ!」
「そりゃあ良かった!」
そもそもコボルド族は米を好んで食べてるらしい。
嗅覚に優れた彼らは、淡白な作物の美味さをよく分かっているのだろう。
僕はアーランの住民たちを、濃い味で洗脳……いやいや啓蒙してきた。
これからはこの淡白な味わいの本当に美味さを伝えていかねばなるまい。
それからそれから。
思った以上におかゆは量があったので、割と満腹になった。
おかずもたっぷり消費した。
米は本当に何にでも合うなあ!
「リップル、焼き魚と合わせても美味いし、米の食べ方はまだまだある。今夜、知識神に頼んで炊き方を伝授してもらうつもりだ」
「それがいいね。私も楽しみだよ。いやあ、ついてきた甲斐があった。お腹に優しい主食は大歓迎だなあ……」
割と本気で米を気に入ったらしいリップルなのだった。
量が少ないから、おかゆにして増やすのが良かろう。
水多めで炊く……!
幸い、茹でる用の鍋があった。
蓋もある。
「本来これはこの島には無かったのですが、立ち寄った船の方々が置いていって下さったのですよ。とは言っても、我々には本来必要のないものなのですが」
「だよねえ。スケアクロウは食事をしないから」
今はこの鍋を専用で使ってもいいとのこと。
燃やす藁はいくらでもあるが、木材も欲しいな。
薪を集めることにしよう。
「ご主人なにつくるの?」
「お米を炊くんだよ」
「たくー?」
首を傾げるコゲタだが、薪を集めるという任務にはすぐ納得した。
ワーッと駆け回って、森に落ちている木々を拾い集めてくれる。
コゲタ、こういう仕事は本当に上手いなあ!
みるみる薪が集まっていく。
僕もせっせと集めて、これだけあればいいだろうという量になった。
これを持っていき、石を積んで窯を作り……。
すっかり夕方である。
おかゆを炊くだけのために、米を突いて薪を集め、窯を作ってしまった!
だがそれだけの価値はあるだろう。
鍋に米と水を入れ、蓋をする。
初めチョロチョロ、中パッパ……とかそういうのがあったよな。
あんな感じか。
うろ覚えでやってみる。
一応、スケアクロウにも茹で時間なんかを聞いておくのだ。
船主いわく、十分にふやけてはいたようだから、その時間を上限に設定しておけばいいだろう。
かくして、おかゆ炊きが始まった。
おかゆなので、そこまで緊張するものでもない。
上限の時間が決まっているから、鍋の吹きこぼれ方などを見ていれば焦がすことはないはずだ。
あとは火加減のコントロール。
こればかりは工夫していくしか無い。
そこまで考えて僕は愕然とする。
米を炊くには、全て創意工夫を行っていかねばならないではないか!
僕が米炊きの先駆者となるのだ。
そのために、どれだけの米を犠牲にすることになるのか!?
くっ、それは辛い。
基本をおかゆとし、おかゆから徐々に時間を短縮していって米の形にしていくべきであろう。
で、今夜あたりに知識神に夢枕に立ってもらい、米を炊く時間についてを詳しく聞く。
これだ。
試行錯誤もいいが、僕はとにかく早く上手い米が食いたい!!
じりじりとしながら米が炊けるのを待つ。
「なかなか時間がかかるもんだね」
リップルが隣に腰掛けた。
のんびりすることにかけてはプロ級の人物だ。
米が炊きあがる様子を見るのに、これ以上の人材はあるまい。
二人で並んで、米の炊き具合を確認した。
よし、そろそろだろう。
この島、日時計があったのだ。
あれで時間が分かるから本当に助かる。
年中一定の気候だから、日時計は本当に信用できるらしい。
「よし、こんなもんだろう!」
僕は鍋の蓋を開ける。
おお、いい感じに米がふやけている……!!
そろそろ辺りは真っ暗で、船員たちはめいめい夕飯を喰らい、酒盛りなんぞやっている。
何人かの船員が僕の様子を見に来て、米を炊いているのを見て「うげー、あんな味の無いものよく食いますね」とか言うのだ。
言っているがいい。
器におかゆをよそう。
割と粒がちゃんとしてるな。
リップルと僕とコゲタのぶん。
あとはおかずを用意し……。
「では……実食!」
まずは塩だけを振り、サラサラと口に入れる。
おおっ、こ、これは……!
米の味だーっ!!
正直、前世で食べていたコメの味には及ばない。
何しろ、あの世界では何世代にも及ぶ米の品種改良により、めちゃくちゃに食味が向上した米が出回っていたのだ。
こちらの世界は違う。
スケアクロウの生活を成り立たせるための資材であり、米はその副産物なのだ。
だが、そんなことはどうでもいい。
感動だなあ……。
おかずを食べつつおかゆを食べる。
うんうん、美味い!
これだよ、これ。
白米をもりもりというわけには行かないが、米炊き初心者がやったにしては上出来だろう。
初手からおかゆを目指したのは正解。
「ははあ、面白いもんだね! 麦粥とも全然違っていて、柔らかくてこれはお腹に優しそうだ。淡白だから、塩辛い具材と一緒に食べるとちょうどいいね。うん、私は気に入った」
「分かってくれたか!」
「コゲタも! コゲタも! これすきよ!」
「そりゃあ良かった!」
そもそもコボルド族は米を好んで食べてるらしい。
嗅覚に優れた彼らは、淡白な作物の美味さをよく分かっているのだろう。
僕はアーランの住民たちを、濃い味で洗脳……いやいや啓蒙してきた。
これからはこの淡白な味わいの本当に美味さを伝えていかねばなるまい。
それからそれから。
思った以上におかゆは量があったので、割と満腹になった。
おかずもたっぷり消費した。
米は本当に何にでも合うなあ!
「リップル、焼き魚と合わせても美味いし、米の食べ方はまだまだある。今夜、知識神に頼んで炊き方を伝授してもらうつもりだ」
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割と本気で米を気に入ったらしいリップルなのだった。
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