241 / 337
79・上陸! 南の島!
第241話 米を炊く
しおりを挟む
ちょっといただいたお米を炊くことにする。
量が少ないから、おかゆにして増やすのが良かろう。
水多めで炊く……!
幸い、茹でる用の鍋があった。
蓋もある。
「本来これはこの島には無かったのですが、立ち寄った船の方々が置いていって下さったのですよ。とは言っても、我々には本来必要のないものなのですが」
「だよねえ。スケアクロウは食事をしないから」
今はこの鍋を専用で使ってもいいとのこと。
燃やす藁はいくらでもあるが、木材も欲しいな。
薪を集めることにしよう。
「ご主人なにつくるの?」
「お米を炊くんだよ」
「たくー?」
首を傾げるコゲタだが、薪を集めるという任務にはすぐ納得した。
ワーッと駆け回って、森に落ちている木々を拾い集めてくれる。
コゲタ、こういう仕事は本当に上手いなあ!
みるみる薪が集まっていく。
僕もせっせと集めて、これだけあればいいだろうという量になった。
これを持っていき、石を積んで窯を作り……。
すっかり夕方である。
おかゆを炊くだけのために、米を突いて薪を集め、窯を作ってしまった!
だがそれだけの価値はあるだろう。
鍋に米と水を入れ、蓋をする。
初めチョロチョロ、中パッパ……とかそういうのがあったよな。
あんな感じか。
うろ覚えでやってみる。
一応、スケアクロウにも茹で時間なんかを聞いておくのだ。
船主いわく、十分にふやけてはいたようだから、その時間を上限に設定しておけばいいだろう。
かくして、おかゆ炊きが始まった。
おかゆなので、そこまで緊張するものでもない。
上限の時間が決まっているから、鍋の吹きこぼれ方などを見ていれば焦がすことはないはずだ。
あとは火加減のコントロール。
こればかりは工夫していくしか無い。
そこまで考えて僕は愕然とする。
米を炊くには、全て創意工夫を行っていかねばならないではないか!
僕が米炊きの先駆者となるのだ。
そのために、どれだけの米を犠牲にすることになるのか!?
くっ、それは辛い。
基本をおかゆとし、おかゆから徐々に時間を短縮していって米の形にしていくべきであろう。
で、今夜あたりに知識神に夢枕に立ってもらい、米を炊く時間についてを詳しく聞く。
これだ。
試行錯誤もいいが、僕はとにかく早く上手い米が食いたい!!
じりじりとしながら米が炊けるのを待つ。
「なかなか時間がかかるもんだね」
リップルが隣に腰掛けた。
のんびりすることにかけてはプロ級の人物だ。
米が炊きあがる様子を見るのに、これ以上の人材はあるまい。
二人で並んで、米の炊き具合を確認した。
よし、そろそろだろう。
この島、日時計があったのだ。
あれで時間が分かるから本当に助かる。
年中一定の気候だから、日時計は本当に信用できるらしい。
「よし、こんなもんだろう!」
僕は鍋の蓋を開ける。
おお、いい感じに米がふやけている……!!
そろそろ辺りは真っ暗で、船員たちはめいめい夕飯を喰らい、酒盛りなんぞやっている。
何人かの船員が僕の様子を見に来て、米を炊いているのを見て「うげー、あんな味の無いものよく食いますね」とか言うのだ。
言っているがいい。
器におかゆをよそう。
割と粒がちゃんとしてるな。
リップルと僕とコゲタのぶん。
あとはおかずを用意し……。
「では……実食!」
まずは塩だけを振り、サラサラと口に入れる。
おおっ、こ、これは……!
米の味だーっ!!
正直、前世で食べていたコメの味には及ばない。
何しろ、あの世界では何世代にも及ぶ米の品種改良により、めちゃくちゃに食味が向上した米が出回っていたのだ。
こちらの世界は違う。
スケアクロウの生活を成り立たせるための資材であり、米はその副産物なのだ。
だが、そんなことはどうでもいい。
感動だなあ……。
おかずを食べつつおかゆを食べる。
うんうん、美味い!
これだよ、これ。
白米をもりもりというわけには行かないが、米炊き初心者がやったにしては上出来だろう。
初手からおかゆを目指したのは正解。
「ははあ、面白いもんだね! 麦粥とも全然違っていて、柔らかくてこれはお腹に優しそうだ。淡白だから、塩辛い具材と一緒に食べるとちょうどいいね。うん、私は気に入った」
「分かってくれたか!」
「コゲタも! コゲタも! これすきよ!」
「そりゃあ良かった!」
そもそもコボルド族は米を好んで食べてるらしい。
嗅覚に優れた彼らは、淡白な作物の美味さをよく分かっているのだろう。
僕はアーランの住民たちを、濃い味で洗脳……いやいや啓蒙してきた。
これからはこの淡白な味わいの本当に美味さを伝えていかねばなるまい。
それからそれから。
思った以上におかゆは量があったので、割と満腹になった。
おかずもたっぷり消費した。
米は本当に何にでも合うなあ!
「リップル、焼き魚と合わせても美味いし、米の食べ方はまだまだある。今夜、知識神に頼んで炊き方を伝授してもらうつもりだ」
「それがいいね。私も楽しみだよ。いやあ、ついてきた甲斐があった。お腹に優しい主食は大歓迎だなあ……」
割と本気で米を気に入ったらしいリップルなのだった。
量が少ないから、おかゆにして増やすのが良かろう。
水多めで炊く……!
幸い、茹でる用の鍋があった。
蓋もある。
「本来これはこの島には無かったのですが、立ち寄った船の方々が置いていって下さったのですよ。とは言っても、我々には本来必要のないものなのですが」
「だよねえ。スケアクロウは食事をしないから」
今はこの鍋を専用で使ってもいいとのこと。
燃やす藁はいくらでもあるが、木材も欲しいな。
薪を集めることにしよう。
「ご主人なにつくるの?」
「お米を炊くんだよ」
「たくー?」
首を傾げるコゲタだが、薪を集めるという任務にはすぐ納得した。
ワーッと駆け回って、森に落ちている木々を拾い集めてくれる。
コゲタ、こういう仕事は本当に上手いなあ!
みるみる薪が集まっていく。
僕もせっせと集めて、これだけあればいいだろうという量になった。
これを持っていき、石を積んで窯を作り……。
すっかり夕方である。
おかゆを炊くだけのために、米を突いて薪を集め、窯を作ってしまった!
だがそれだけの価値はあるだろう。
鍋に米と水を入れ、蓋をする。
初めチョロチョロ、中パッパ……とかそういうのがあったよな。
あんな感じか。
うろ覚えでやってみる。
一応、スケアクロウにも茹で時間なんかを聞いておくのだ。
船主いわく、十分にふやけてはいたようだから、その時間を上限に設定しておけばいいだろう。
かくして、おかゆ炊きが始まった。
おかゆなので、そこまで緊張するものでもない。
上限の時間が決まっているから、鍋の吹きこぼれ方などを見ていれば焦がすことはないはずだ。
あとは火加減のコントロール。
こればかりは工夫していくしか無い。
そこまで考えて僕は愕然とする。
米を炊くには、全て創意工夫を行っていかねばならないではないか!
僕が米炊きの先駆者となるのだ。
そのために、どれだけの米を犠牲にすることになるのか!?
くっ、それは辛い。
基本をおかゆとし、おかゆから徐々に時間を短縮していって米の形にしていくべきであろう。
で、今夜あたりに知識神に夢枕に立ってもらい、米を炊く時間についてを詳しく聞く。
これだ。
試行錯誤もいいが、僕はとにかく早く上手い米が食いたい!!
じりじりとしながら米が炊けるのを待つ。
「なかなか時間がかかるもんだね」
リップルが隣に腰掛けた。
のんびりすることにかけてはプロ級の人物だ。
米が炊きあがる様子を見るのに、これ以上の人材はあるまい。
二人で並んで、米の炊き具合を確認した。
よし、そろそろだろう。
この島、日時計があったのだ。
あれで時間が分かるから本当に助かる。
年中一定の気候だから、日時計は本当に信用できるらしい。
「よし、こんなもんだろう!」
僕は鍋の蓋を開ける。
おお、いい感じに米がふやけている……!!
そろそろ辺りは真っ暗で、船員たちはめいめい夕飯を喰らい、酒盛りなんぞやっている。
何人かの船員が僕の様子を見に来て、米を炊いているのを見て「うげー、あんな味の無いものよく食いますね」とか言うのだ。
言っているがいい。
器におかゆをよそう。
割と粒がちゃんとしてるな。
リップルと僕とコゲタのぶん。
あとはおかずを用意し……。
「では……実食!」
まずは塩だけを振り、サラサラと口に入れる。
おおっ、こ、これは……!
米の味だーっ!!
正直、前世で食べていたコメの味には及ばない。
何しろ、あの世界では何世代にも及ぶ米の品種改良により、めちゃくちゃに食味が向上した米が出回っていたのだ。
こちらの世界は違う。
スケアクロウの生活を成り立たせるための資材であり、米はその副産物なのだ。
だが、そんなことはどうでもいい。
感動だなあ……。
おかずを食べつつおかゆを食べる。
うんうん、美味い!
これだよ、これ。
白米をもりもりというわけには行かないが、米炊き初心者がやったにしては上出来だろう。
初手からおかゆを目指したのは正解。
「ははあ、面白いもんだね! 麦粥とも全然違っていて、柔らかくてこれはお腹に優しそうだ。淡白だから、塩辛い具材と一緒に食べるとちょうどいいね。うん、私は気に入った」
「分かってくれたか!」
「コゲタも! コゲタも! これすきよ!」
「そりゃあ良かった!」
そもそもコボルド族は米を好んで食べてるらしい。
嗅覚に優れた彼らは、淡白な作物の美味さをよく分かっているのだろう。
僕はアーランの住民たちを、濃い味で洗脳……いやいや啓蒙してきた。
これからはこの淡白な味わいの本当に美味さを伝えていかねばなるまい。
それからそれから。
思った以上におかゆは量があったので、割と満腹になった。
おかずもたっぷり消費した。
米は本当に何にでも合うなあ!
「リップル、焼き魚と合わせても美味いし、米の食べ方はまだまだある。今夜、知識神に頼んで炊き方を伝授してもらうつもりだ」
「それがいいね。私も楽しみだよ。いやあ、ついてきた甲斐があった。お腹に優しい主食は大歓迎だなあ……」
割と本気で米を気に入ったらしいリップルなのだった。
22
あなたにおすすめの小説
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる