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82・島の裏側へ
第249話 コゲタの棒術特訓
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「なになに? なにしてるのー!」
目覚めたコゲタがビューンと藁の家から飛び出してきた!
そして「ごしゅじーん! おはよー!」と飛びついてきたので、僕は彼をキャッチしたのである。
高い高いしながら、「おはようコゲタ! どうやらこの里ではスケアクロウたちが棒術の訓練をしているようだよ」と教えてあげる。
「ほえー! コゲタもぼうをつかえる!」
「そうだなー。コゲタもなかなかの達人だ」
僕の言葉を聞いて、師範のスケアクロウが「ぬっ! 興味がありますな」と振り返った。
「ありますか」
「ありますな。我らスケアクロウにとって、棒術とは生活の要。これがなくば田を守ることはできず、田がなくば我々は新たに産まれることがありません。すなわち、棒術に生き棒術にて立つ」
「おおーっ! それじゃあコゲタの棒術を見てあげてもらえませんか」
僕の提案に、師範スケアクロウの顔に描かれた落書きみたいな表情がニッコリマークになった。
「いいですとも! 棒術を志すものは種族を超え、皆仲間。山のコボルドたちにも教えることがあるのです」
これはありがたい。
「よーしコゲタ、行ってみよう」
「おー!」
とは言うものの、まずは朝ご飯を食べてからだ。
スケアクロウたちが、いつも山のコボルドに出しているという煮物を作ってくれた。
ほほー、インディカ米を茹でて、肉と野菜と塩を加えたやつですな。
さらさら食べられて、こりゃあ朝にちょうどいい。
お味もシンプルながら、肉と野菜がいい感じにお出汁になってる。
お米入スープという感じ。
コボルドでも安心な体に良さそうな味なのだった。
その後、食休み。
ちびっこスケアクロウたちが、「えい!」「やあ!」と棒を振り回しているのを眺めるのだ。
ははあ、型だけならなかなかのもの。
成長するにつれて、腕が上がっていくのだろう。
だがコゲタは実践型ぞ。
刮目せよ!
「コゲタ、そろそろ大丈夫?」
「いけるよー!」
ぴょーんと立ち上がるコゲタなのだった。
棒を携えて、師範スケアクロウのところに向かう。
その頃にリップルが「ううー」とか唸りながら起きてきた。
年を取ると朝が早くなるものだけど、リップルは朝が遅い。
まだまだ若いな!
「ま、ま、お米のスープでもどうぞ」
「ああ、ありがたい……。おほー、こりゃあ美味しい。水分と塩分と栄養が体に染み込む完璧な朝ご飯じゃないかあ」
やっぱり好評だ。
リップル、米との相性がすごくいいぞ。
そんな僕らの眼の前で、師範スケアクロウがコゲタの棒の振り方を見ている。
「ほほー! なかなかのものですね。あなたに棒を教えた人は本当の凄腕のようだ」
アーランのシルバー級冒険者バンキンと、最強のシーフたるアーガイルだな。
さらにコゲタは身体強化魔法みたいなのをちょこちょこ練習してるらしく、一時的に自分の速度とパワーをブーストして棒を振り回せるぞ。
あれ?
強いのでは?
今回は魔法を封印したコゲタ。
ちびっこスケアクロウたちと手合わせだ。
棒を振り回し、「やあやあ」「えいやあ」とかわいい掛け声が聞こえる。
棒がぴしぱしとぶつかる。
ちびっこスケアクロウもなかなか動きは良くて、アイアン級には届きそうかも知れない。
型どおりの棒の動きが綺麗だね。
円の動きで攻めたかと思うと、突きが来る。
で、これをコゲタは「えいや!」とぺちっと払い、突きを「ちょー!」と最低限の動きで避けて、それが振りに変わったのを下から「ちゃ!」と弾いた。
「あー」
ちびっこスケアクロウの体が泳ぐ。
そこにコゲタが「ちょわ!」と棒を突きつけて勝負あり!
うーん、強くなってた。
うちのこはいつの間にあんな技を……。
「昨日、モグラをさんざん巧みな棒術で退けてたじゃないか。なかなかの動きだったぞ。ナザル、君は少々過保護なんじゃないか?」
「そうかも知れない」
リップルに諭されてしまった。
その後、コゲタは師範スケアクロウと模擬戦をやり、ぺちんとやられて「やられたあ」と降参した。
やっぱり強い相手には無理だなー。
「いやいや、だけれどとても筋がいいです。私がスケアクロウ流棒術を伝授しましょう。基礎はきちんと出来上がっているし、魔力も棒に通っている。魔法反射は今日一日頑張れば覚えられるでしょう」
「そんなにすぐに!?」
とんでもない話になってきたのだった。
「コゲタ、頑張れそう?」
「がんばるー!!」
「よっしゃ、じゃあコゲタが頑張っている間に美味しいご飯を作ろう。あのー、お米を分けてもらってよろしいですかね……」
僕はインディカ米を集めることにするのだった。
「子どもの成長はどんな気分だい?」
「嬉しいような、独り立ちできる実力をつけてきて寂しいような……複雑な気持ちだね」
「まさに親の気持ちじゃないか! ナザル、君は色恋に興味がないくせに、子育てと子どもの巣立ちは経験するんだなあ」
「なんか中間飛ばしていきなり人生のクライマックスって感じだよ。さて、インディカ米、インディカ米……」
それなりにもらえるようだ。
ジャポニカ米な表側よりも、棒術スケアクロウの里は収量に余裕があるんだそうだ。
そうか、こっち側には熱帯雨林がなく、水田地帯の外側は危険な草原。
獣たちの侵入さえ阻めば、より広い田んぼで米を育てることができるんだな。
どれどれ。
コゲタのために、何を作ってやろうか。
目覚めたコゲタがビューンと藁の家から飛び出してきた!
そして「ごしゅじーん! おはよー!」と飛びついてきたので、僕は彼をキャッチしたのである。
高い高いしながら、「おはようコゲタ! どうやらこの里ではスケアクロウたちが棒術の訓練をしているようだよ」と教えてあげる。
「ほえー! コゲタもぼうをつかえる!」
「そうだなー。コゲタもなかなかの達人だ」
僕の言葉を聞いて、師範のスケアクロウが「ぬっ! 興味がありますな」と振り返った。
「ありますか」
「ありますな。我らスケアクロウにとって、棒術とは生活の要。これがなくば田を守ることはできず、田がなくば我々は新たに産まれることがありません。すなわち、棒術に生き棒術にて立つ」
「おおーっ! それじゃあコゲタの棒術を見てあげてもらえませんか」
僕の提案に、師範スケアクロウの顔に描かれた落書きみたいな表情がニッコリマークになった。
「いいですとも! 棒術を志すものは種族を超え、皆仲間。山のコボルドたちにも教えることがあるのです」
これはありがたい。
「よーしコゲタ、行ってみよう」
「おー!」
とは言うものの、まずは朝ご飯を食べてからだ。
スケアクロウたちが、いつも山のコボルドに出しているという煮物を作ってくれた。
ほほー、インディカ米を茹でて、肉と野菜と塩を加えたやつですな。
さらさら食べられて、こりゃあ朝にちょうどいい。
お味もシンプルながら、肉と野菜がいい感じにお出汁になってる。
お米入スープという感じ。
コボルドでも安心な体に良さそうな味なのだった。
その後、食休み。
ちびっこスケアクロウたちが、「えい!」「やあ!」と棒を振り回しているのを眺めるのだ。
ははあ、型だけならなかなかのもの。
成長するにつれて、腕が上がっていくのだろう。
だがコゲタは実践型ぞ。
刮目せよ!
「コゲタ、そろそろ大丈夫?」
「いけるよー!」
ぴょーんと立ち上がるコゲタなのだった。
棒を携えて、師範スケアクロウのところに向かう。
その頃にリップルが「ううー」とか唸りながら起きてきた。
年を取ると朝が早くなるものだけど、リップルは朝が遅い。
まだまだ若いな!
「ま、ま、お米のスープでもどうぞ」
「ああ、ありがたい……。おほー、こりゃあ美味しい。水分と塩分と栄養が体に染み込む完璧な朝ご飯じゃないかあ」
やっぱり好評だ。
リップル、米との相性がすごくいいぞ。
そんな僕らの眼の前で、師範スケアクロウがコゲタの棒の振り方を見ている。
「ほほー! なかなかのものですね。あなたに棒を教えた人は本当の凄腕のようだ」
アーランのシルバー級冒険者バンキンと、最強のシーフたるアーガイルだな。
さらにコゲタは身体強化魔法みたいなのをちょこちょこ練習してるらしく、一時的に自分の速度とパワーをブーストして棒を振り回せるぞ。
あれ?
強いのでは?
今回は魔法を封印したコゲタ。
ちびっこスケアクロウたちと手合わせだ。
棒を振り回し、「やあやあ」「えいやあ」とかわいい掛け声が聞こえる。
棒がぴしぱしとぶつかる。
ちびっこスケアクロウもなかなか動きは良くて、アイアン級には届きそうかも知れない。
型どおりの棒の動きが綺麗だね。
円の動きで攻めたかと思うと、突きが来る。
で、これをコゲタは「えいや!」とぺちっと払い、突きを「ちょー!」と最低限の動きで避けて、それが振りに変わったのを下から「ちゃ!」と弾いた。
「あー」
ちびっこスケアクロウの体が泳ぐ。
そこにコゲタが「ちょわ!」と棒を突きつけて勝負あり!
うーん、強くなってた。
うちのこはいつの間にあんな技を……。
「昨日、モグラをさんざん巧みな棒術で退けてたじゃないか。なかなかの動きだったぞ。ナザル、君は少々過保護なんじゃないか?」
「そうかも知れない」
リップルに諭されてしまった。
その後、コゲタは師範スケアクロウと模擬戦をやり、ぺちんとやられて「やられたあ」と降参した。
やっぱり強い相手には無理だなー。
「いやいや、だけれどとても筋がいいです。私がスケアクロウ流棒術を伝授しましょう。基礎はきちんと出来上がっているし、魔力も棒に通っている。魔法反射は今日一日頑張れば覚えられるでしょう」
「そんなにすぐに!?」
とんでもない話になってきたのだった。
「コゲタ、頑張れそう?」
「がんばるー!!」
「よっしゃ、じゃあコゲタが頑張っている間に美味しいご飯を作ろう。あのー、お米を分けてもらってよろしいですかね……」
僕はインディカ米を集めることにするのだった。
「子どもの成長はどんな気分だい?」
「嬉しいような、独り立ちできる実力をつけてきて寂しいような……複雑な気持ちだね」
「まさに親の気持ちじゃないか! ナザル、君は色恋に興味がないくせに、子育てと子どもの巣立ちは経験するんだなあ」
「なんか中間飛ばしていきなり人生のクライマックスって感じだよ。さて、インディカ米、インディカ米……」
それなりにもらえるようだ。
ジャポニカ米な表側よりも、棒術スケアクロウの里は収量に余裕があるんだそうだ。
そうか、こっち側には熱帯雨林がなく、水田地帯の外側は危険な草原。
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