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83・垂れ耳もふもふ、来たる
第252話 雪山に来ませんか!
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雪山にあるコボルド村へのご招待という、熱い展開。
僕が大いに内心で盛り上がっていると、山の方からひいひい言いながら集団がやってきた。
残りのコボルドたちだ!
「彼らを焼き飯で労いたいがいいですかね」
「ああどうぞどうぞ。お米はたくさんお使いください。いつもちょっと余るんです」
スケアクロウたちは太っ腹だ。
自分たちでは食事をしないのだから、米は苗にする分を除けば持て余してしまうんだな。
僕は大いに焼き飯を作った。
「君、よく体力が持つなあ……。あっ、全身を油が回っている!! 魔力と油を混ぜ合わせて自らを永久機関に!?」
「その通り! 僕は今、全自動焼き飯作成装置だ!!」
こうして焼き飯はコボルドたちに行き渡り、彼らはうまいうまいと大喜びで平らげたのだった。
リーダーはチベタン・マスティフのコボルドだな。
オーガと見紛うばかりのでかさだ。
「カクトスから聞きました。我らの村に案内いたしましょう。これほどの素晴らしい腕を持つお方なら大歓迎です」
「どうもどうも。まあ再現が難しい料理ではあるんですが。特にイグルーだと作りにくいかも知れない……」
それはそうとして、招待を受けて僕らはコボルドの村に向かうことにするのだった。
だが、この日はのんびりするぞ。
コボルドたちも、来てすぐに帰るわけではない。
しばらく暖かいところの日陰でのんびり過ごして、涼しくなってきた夕方に持ち帰るお米をより分け、まとめ、夜は寝る。
そして明日の午前中に山へ帰るのだ。
コゲタは、ポカーンとしてこの長毛種の垂れ耳コボルドたちを眺めていた。
「コゲタ、不思議かい」
「ふしぎー! けがながいのねー! コゲタ、さむくなってもあんなのびない!」
「コゲタは中くらいの毛並みだからなあ。熱帯雨林のコボルド村くらいの感じが近い」
砂漠の王国は、ヘアレスドッグがいたりしたもんな。
コゲタの姿は、山のコボルドたちからも興味の的のようだ。
僕やリップルのような完全な異種族になると違いは分からないし、ちょっと遠巻きにするくらいであまり近寄ってこない。
だが同じ種族なのに決定的に異なっているコゲタは、とても気になるらしいのだ。
垂れ耳コボルドたちがこわごわ寄ってくる。
「そんなに恐れないでよろしい」
僕が両手を挙げると、コボルドたちがキャッと言って遠ざかった。
傷つくぅ。
そこにカクトスがフォローしてくれる。
「これはですね、あの素晴らしい料理を作る方だというので、恐れ多いわけです。僕ら山のコボルドは信心深いんですよ。偉大なる魔道士カズテスを信仰して暮らしていますから、素晴らしい技を持つものを尊敬する傾向にあります」
「なーるほど。では僕が連れているコゲタは……?」
「偉大なる人の傍らにあるコボルドは特別です。それはそれとしてみんなコゲタさんに話を聞きたい」
「なるほどー!」
つまり、山のコボルドは基本的に人見知りなのだ。
だが、あのマルチーズなハムソンはウワーッと駆け寄ってきて、コゲタの手を取ってぴょんぴょん跳ねる。
「コゲタコゲタコゲタ! むこう、ぼうでカンカンやってる! コゲタつよいってきいたぞ! やろうやろう、ハムソンとやろう!」
「やろう! コゲタつよいよー!」
コゲタとハムソンで、ワーッとちびっこスケアクロウたちに混じって棒を振り回し始めた。
これを見た小型種のコボルドたちも、ワーッと混ざりに行く。
ちっちゃいと子供っぽい感じなので、こういうわちゃわちゃしたフィールドがあると打ち解けやすいのかもしれない。
リップルはずっと、コッカースパニエルのラシェリーとお喋りなどしている。
と思ったら、他の女子コボルドらしいのが集まっていった。
女子に人気だなリップル!
そして僕を取り巻くコボルドたちは、こわごわと遠巻きに眺める……いや!
目がキラキラ輝いている!
「もしかして僕に、何か凄いことをして欲しいのではないか」
「そうとも言えます。いや、我々は好奇心旺盛なんです」
お恥ずかしい、と続けるカクトス。
では油の芸をお見せするとしよう。
僕はその場で、器に油を生み出したり、これを魔力に変換して消したりなどした。
受けた受けた。
娯楽が乏しいな、コボルドたちよ……!
こうして夕方になり、コボルドたちは米をより分ける作業に向かう。
その後に夕食を摂り、みんなで雑魚寝。
長毛コボルドは外で素っ裸で寝てても全然平気なようで、腰巻き一枚でごろごろしている。
普段は素っ裸らしいが、そこはコゲタが恥ずかしがるのでみんな気を使ってくれたのだ。
コゲタはこう、温室育ちっぽくなった感じかな……?
いや、僕のところで暮らしてるんだから、温室でいいのだ。
これでいいのだ。
コゲタが僕の横で、お腹を出してぐうぐう寝ている。
ここ数日ですっかりモテモテになってしまったな!
だが僕としては、コゲタを容易に口説かせはしないぞ!
うちの犬だからな。
そう決心し、これからはさらにアンテナを高くし、コゲタに気を配らねばなと思うのだった。
それはそれとして、明日の冬山行きが楽しみすぎる。
なんだかんだ言って、やっぱり旅をするのは面白いんだよなあ……。
僕が大いに内心で盛り上がっていると、山の方からひいひい言いながら集団がやってきた。
残りのコボルドたちだ!
「彼らを焼き飯で労いたいがいいですかね」
「ああどうぞどうぞ。お米はたくさんお使いください。いつもちょっと余るんです」
スケアクロウたちは太っ腹だ。
自分たちでは食事をしないのだから、米は苗にする分を除けば持て余してしまうんだな。
僕は大いに焼き飯を作った。
「君、よく体力が持つなあ……。あっ、全身を油が回っている!! 魔力と油を混ぜ合わせて自らを永久機関に!?」
「その通り! 僕は今、全自動焼き飯作成装置だ!!」
こうして焼き飯はコボルドたちに行き渡り、彼らはうまいうまいと大喜びで平らげたのだった。
リーダーはチベタン・マスティフのコボルドだな。
オーガと見紛うばかりのでかさだ。
「カクトスから聞きました。我らの村に案内いたしましょう。これほどの素晴らしい腕を持つお方なら大歓迎です」
「どうもどうも。まあ再現が難しい料理ではあるんですが。特にイグルーだと作りにくいかも知れない……」
それはそうとして、招待を受けて僕らはコボルドの村に向かうことにするのだった。
だが、この日はのんびりするぞ。
コボルドたちも、来てすぐに帰るわけではない。
しばらく暖かいところの日陰でのんびり過ごして、涼しくなってきた夕方に持ち帰るお米をより分け、まとめ、夜は寝る。
そして明日の午前中に山へ帰るのだ。
コゲタは、ポカーンとしてこの長毛種の垂れ耳コボルドたちを眺めていた。
「コゲタ、不思議かい」
「ふしぎー! けがながいのねー! コゲタ、さむくなってもあんなのびない!」
「コゲタは中くらいの毛並みだからなあ。熱帯雨林のコボルド村くらいの感じが近い」
砂漠の王国は、ヘアレスドッグがいたりしたもんな。
コゲタの姿は、山のコボルドたちからも興味の的のようだ。
僕やリップルのような完全な異種族になると違いは分からないし、ちょっと遠巻きにするくらいであまり近寄ってこない。
だが同じ種族なのに決定的に異なっているコゲタは、とても気になるらしいのだ。
垂れ耳コボルドたちがこわごわ寄ってくる。
「そんなに恐れないでよろしい」
僕が両手を挙げると、コボルドたちがキャッと言って遠ざかった。
傷つくぅ。
そこにカクトスがフォローしてくれる。
「これはですね、あの素晴らしい料理を作る方だというので、恐れ多いわけです。僕ら山のコボルドは信心深いんですよ。偉大なる魔道士カズテスを信仰して暮らしていますから、素晴らしい技を持つものを尊敬する傾向にあります」
「なーるほど。では僕が連れているコゲタは……?」
「偉大なる人の傍らにあるコボルドは特別です。それはそれとしてみんなコゲタさんに話を聞きたい」
「なるほどー!」
つまり、山のコボルドは基本的に人見知りなのだ。
だが、あのマルチーズなハムソンはウワーッと駆け寄ってきて、コゲタの手を取ってぴょんぴょん跳ねる。
「コゲタコゲタコゲタ! むこう、ぼうでカンカンやってる! コゲタつよいってきいたぞ! やろうやろう、ハムソンとやろう!」
「やろう! コゲタつよいよー!」
コゲタとハムソンで、ワーッとちびっこスケアクロウたちに混じって棒を振り回し始めた。
これを見た小型種のコボルドたちも、ワーッと混ざりに行く。
ちっちゃいと子供っぽい感じなので、こういうわちゃわちゃしたフィールドがあると打ち解けやすいのかもしれない。
リップルはずっと、コッカースパニエルのラシェリーとお喋りなどしている。
と思ったら、他の女子コボルドらしいのが集まっていった。
女子に人気だなリップル!
そして僕を取り巻くコボルドたちは、こわごわと遠巻きに眺める……いや!
目がキラキラ輝いている!
「もしかして僕に、何か凄いことをして欲しいのではないか」
「そうとも言えます。いや、我々は好奇心旺盛なんです」
お恥ずかしい、と続けるカクトス。
では油の芸をお見せするとしよう。
僕はその場で、器に油を生み出したり、これを魔力に変換して消したりなどした。
受けた受けた。
娯楽が乏しいな、コボルドたちよ……!
こうして夕方になり、コボルドたちは米をより分ける作業に向かう。
その後に夕食を摂り、みんなで雑魚寝。
長毛コボルドは外で素っ裸で寝てても全然平気なようで、腰巻き一枚でごろごろしている。
普段は素っ裸らしいが、そこはコゲタが恥ずかしがるのでみんな気を使ってくれたのだ。
コゲタはこう、温室育ちっぽくなった感じかな……?
いや、僕のところで暮らしてるんだから、温室でいいのだ。
これでいいのだ。
コゲタが僕の横で、お腹を出してぐうぐう寝ている。
ここ数日ですっかりモテモテになってしまったな!
だが僕としては、コゲタを容易に口説かせはしないぞ!
うちの犬だからな。
そう決心し、これからはさらにアンテナを高くし、コゲタに気を配らねばなと思うのだった。
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