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88・リベンジ・インド風カレー
第269話 カレーパーティだよドロテアさん
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「まあまあまあまあ! 本日はお招きいただいてありがとうございますね」
ニコニコしながら、今日はベージュのスカート姿のドロテアさんが来た。
色合いとか着こなしは現代日本のおばちゃんチックなのだが、この人が身につけるいきなりお洒落な衣装に変わっちゃうな……。
すっかり僕らに打ち解けて、お上品なおばさまモードのドロテアさんなのだ。
そして今日のお客様は彼女一人だけ……のはずだったんだが。
「凄く見覚えのあるハーフエルフがいる」
「何、簡単な推理さ」
安楽椅子冒険者リップルが得意げに告げた。
「ここ数日、君がギルドに来ない。さらに先日はドロテアさんと一緒にギルドを訪れた。今、コゲタは仲間の冒険者たちと仕事に勤しんでいるが、ここにナザルの影もない。つまり……君は今、ギルボウの店で何か美味しいものを作り、ドロテアさんに提供しようとしていると私は踏んだんだ!」
バーン!と効果音付きで僕を指さしそうなリップル。
謎はすべて解けてしまったかあ。
「なんでギルボウはこの人を店内に入れちゃったんだ」
「すまん、押し切られた。いかに俺でもこの人を邪険にはできねえよ……。俺の祖父がこの人に救われててな」
しまった、リップルは腐ってもアーランを救った大英雄なんだった。
ダラダラしている姿しか見ていないからしょっちゅう忘れてしまう。
だが、そんな彼女も時折こうしてやる気になって飯を食いに来ることがあるのだ……!
「私も賑やかな方がご飯が美味しいわ。リップルさん、一緒に美味しいもの食べましょうね」
「もちろん! こうやって美食に出会えるのはドロテアさんのお陰だなあ」
二人の女声が和気あいあいと美食がサーブされてくるのを待っている。
これは出さねばなるまい。
最適なやり方で蒸し上げたインディカ米を盛り……。
「あら、それが話題になっていたお米ね! 初めて見たわ」
「ああ、これは島の裏側で採れる長い米じゃないか! そうか、ナザルが使い切ったというのはあの粘り気のある米の方だったんだね」
「そういうこと。ドロテアさん、これを食べられるのは、僕とギルボウとリップルとコゲタ以外だと貴女が初めてですよ!」
「まあ嬉しい! なんだか特別感があって嬉しくなっちゃうわ」
ニコニコするドロテアさんなのだった。
そしてそこに、改めてスープタイプになったカレーが出てくる。
これは様々なハーブを加えて、タイカレー風になったギルボウオリジナル。
こいつ、とうとうスープカレーをこの世界に現出させた……!!
恐ろしい男だ。
現地人としては最高レベルのチート能力者じゃないのか……?
ドリンクは……。
「俺がな、牛乳を発酵させて作ったこれがだな」
「ラッシーだと!?」
「発酵乳ドリンクなんだが、呼び名があると使いやすいな。よし、ラッシーと呼ぶか」
この男、ラッシーまで開発したのか!!
いや、ヨーグルトは生まれていたので、これを飲み物にするくらいはやりそうだが……。
ギルボウめ、多彩な食材を手に入れて、眠っていた才能を開花させたな。
なお、このインディカ米とスープカレー、そしてラッシーは大好評だった。
「甘酸っぱくて美味しい飲み物だわ! それに甘い……。お酒を割っても良さそうね」
「うんうん、私もこの味は初めてだなあ! 砂糖を入れているのかい? なるほどー! お茶以外にも砂糖を入れると味がまろやかになるんだねえ」
「あらまあリップルさん! このお米っていうの、とてもいい香りがするわ! 粒のままなのに、麦とは全然違うの! お味は……うん! 口の中でほどけて、お花みたいな香りが口いっぱいに広がるわ!」
「ドロテアさん、スープカレーにつけてから食べてみて下さい!」
「あらそうなの? どーれどれ……? んもっ! んむんむんむ!」
「食べ終わってから話して下さい!」
「美味しいねえこれ! スープみたいにゆるくしたカレーと合うね! なるほど、長いお米はこうやって食べると真価を発揮するんだね! 米単体でも香りがいいけれど、カレーと混ぜることで新しい香りに膨らむよ。これは堪らないなあ。止まらなくなってしまう! ああ、この場に盛られているだけしかお米がなくて本当に良かった」
リップルがもりもり食べている。
食べながら流暢に話す謎の技術を使いこなしているぞ!
なお、料理を女性陣に褒められて、ギルボウは実に嬉しそうだ。
「いやな、殿下にちょくちょく料理を作って差し上げる機会ができたんだが、ああいうのはありがたい話がどうにも肩が凝る。だがこうやってお二人が、飾らない言葉で褒めてくれるのは本当に嬉しくなるぜ」
「うんうん、僕はギルボウは紛うことなき天才だと思ってるんだが、下町の食堂だとなかなかそれが世界に知れ渡ることは少ないよな。まあこの都市の食通はアーランで一番美味い店がどこなのかを知っているわけだが」
ここだ!
最高の美食が集まっているはずの、第二王子の厨房よりもギルボウの店の方がレベルが上だからな。
とんでもないぞここは。
「ああ、美味しかったー。もうあればあるだけ食べてしまうわ! どうしよう、たくさんこのお米が採れるようになったら太ってしまうわ!」
食べ終わったドロテアさん。
上品に口の周りを拭きながらずっとニコニコ微笑んでいるのだった。
太ったドロテアさんもかわいいことでしょう……。
ニコニコしながら、今日はベージュのスカート姿のドロテアさんが来た。
色合いとか着こなしは現代日本のおばちゃんチックなのだが、この人が身につけるいきなりお洒落な衣装に変わっちゃうな……。
すっかり僕らに打ち解けて、お上品なおばさまモードのドロテアさんなのだ。
そして今日のお客様は彼女一人だけ……のはずだったんだが。
「凄く見覚えのあるハーフエルフがいる」
「何、簡単な推理さ」
安楽椅子冒険者リップルが得意げに告げた。
「ここ数日、君がギルドに来ない。さらに先日はドロテアさんと一緒にギルドを訪れた。今、コゲタは仲間の冒険者たちと仕事に勤しんでいるが、ここにナザルの影もない。つまり……君は今、ギルボウの店で何か美味しいものを作り、ドロテアさんに提供しようとしていると私は踏んだんだ!」
バーン!と効果音付きで僕を指さしそうなリップル。
謎はすべて解けてしまったかあ。
「なんでギルボウはこの人を店内に入れちゃったんだ」
「すまん、押し切られた。いかに俺でもこの人を邪険にはできねえよ……。俺の祖父がこの人に救われててな」
しまった、リップルは腐ってもアーランを救った大英雄なんだった。
ダラダラしている姿しか見ていないからしょっちゅう忘れてしまう。
だが、そんな彼女も時折こうしてやる気になって飯を食いに来ることがあるのだ……!
「私も賑やかな方がご飯が美味しいわ。リップルさん、一緒に美味しいもの食べましょうね」
「もちろん! こうやって美食に出会えるのはドロテアさんのお陰だなあ」
二人の女声が和気あいあいと美食がサーブされてくるのを待っている。
これは出さねばなるまい。
最適なやり方で蒸し上げたインディカ米を盛り……。
「あら、それが話題になっていたお米ね! 初めて見たわ」
「ああ、これは島の裏側で採れる長い米じゃないか! そうか、ナザルが使い切ったというのはあの粘り気のある米の方だったんだね」
「そういうこと。ドロテアさん、これを食べられるのは、僕とギルボウとリップルとコゲタ以外だと貴女が初めてですよ!」
「まあ嬉しい! なんだか特別感があって嬉しくなっちゃうわ」
ニコニコするドロテアさんなのだった。
そしてそこに、改めてスープタイプになったカレーが出てくる。
これは様々なハーブを加えて、タイカレー風になったギルボウオリジナル。
こいつ、とうとうスープカレーをこの世界に現出させた……!!
恐ろしい男だ。
現地人としては最高レベルのチート能力者じゃないのか……?
ドリンクは……。
「俺がな、牛乳を発酵させて作ったこれがだな」
「ラッシーだと!?」
「発酵乳ドリンクなんだが、呼び名があると使いやすいな。よし、ラッシーと呼ぶか」
この男、ラッシーまで開発したのか!!
いや、ヨーグルトは生まれていたので、これを飲み物にするくらいはやりそうだが……。
ギルボウめ、多彩な食材を手に入れて、眠っていた才能を開花させたな。
なお、このインディカ米とスープカレー、そしてラッシーは大好評だった。
「甘酸っぱくて美味しい飲み物だわ! それに甘い……。お酒を割っても良さそうね」
「うんうん、私もこの味は初めてだなあ! 砂糖を入れているのかい? なるほどー! お茶以外にも砂糖を入れると味がまろやかになるんだねえ」
「あらまあリップルさん! このお米っていうの、とてもいい香りがするわ! 粒のままなのに、麦とは全然違うの! お味は……うん! 口の中でほどけて、お花みたいな香りが口いっぱいに広がるわ!」
「ドロテアさん、スープカレーにつけてから食べてみて下さい!」
「あらそうなの? どーれどれ……? んもっ! んむんむんむ!」
「食べ終わってから話して下さい!」
「美味しいねえこれ! スープみたいにゆるくしたカレーと合うね! なるほど、長いお米はこうやって食べると真価を発揮するんだね! 米単体でも香りがいいけれど、カレーと混ぜることで新しい香りに膨らむよ。これは堪らないなあ。止まらなくなってしまう! ああ、この場に盛られているだけしかお米がなくて本当に良かった」
リップルがもりもり食べている。
食べながら流暢に話す謎の技術を使いこなしているぞ!
なお、料理を女性陣に褒められて、ギルボウは実に嬉しそうだ。
「いやな、殿下にちょくちょく料理を作って差し上げる機会ができたんだが、ああいうのはありがたい話がどうにも肩が凝る。だがこうやってお二人が、飾らない言葉で褒めてくれるのは本当に嬉しくなるぜ」
「うんうん、僕はギルボウは紛うことなき天才だと思ってるんだが、下町の食堂だとなかなかそれが世界に知れ渡ることは少ないよな。まあこの都市の食通はアーランで一番美味い店がどこなのかを知っているわけだが」
ここだ!
最高の美食が集まっているはずの、第二王子の厨房よりもギルボウの店の方がレベルが上だからな。
とんでもないぞここは。
「ああ、美味しかったー。もうあればあるだけ食べてしまうわ! どうしよう、たくさんこのお米が採れるようになったら太ってしまうわ!」
食べ終わったドロテアさん。
上品に口の周りを拭きながらずっとニコニコ微笑んでいるのだった。
太ったドロテアさんもかわいいことでしょう……。
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