俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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96・油使い、伝説となる

第291話 儀式が行われる

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 金色の礼服で行けば……?
 とも思ったが、王位継承の儀に参加している全員の目をくらませてどうするのだ。

 なお、式の時のリップルは光を遮る魔法を使っていたので普通に直視してたんだそうだ。
 持つべきものはギフト持ちの相方。

「じゃあ大人しく普通の衣装をレンタルしようか。うわっ、レンタルでもいい値段するんだなあ」

「そりゃあするさ。これは保険の意味もあるんだ。僕らがこの服を傷つけるなり何なりした場合、このお金は全額衣装貸しのものだ。だがきれいに使って返せば、このお金の半分が戻って来る」

「なるほどなあ、いい商売を考えついたものだなあ」

 リップルが感心した。
 本当にね。

 ちなみにコゲタの衣装はこの間の天使みたいなやつにしておいた。
 あれで礼服としても全然問題はないからね。

 ということで……。
 あっという間にやってくる、王位継承の日だ。

 ごくごく少ない人数しか参列してないな。
 まさに、王家が目をかけているごく一部の貴族、そして商人たちがこの場に集っている。

 僕は商人側でもあり、貴族側でもあるという微妙な立場である。

 この儀式を執り行うのは、例の彼だ。
 至高神の最高司祭な。
 そこまでの権威を持つ人だったのか……。

「彼はああ見えて、この大陸で最も権威のある至高神の司祭だよ」

「そうだったのか!!」

 全然偉そうに見えないのだが、本当に偉い人だったようだ。

 そして現陛下はぐったりしながら参列している。
 で、僕らが視界に入ると体に悪いということで、陛下に見えない席にいるのだが。

 おっと、儀式が始まった。

 ソロス殿下が壇上におり、至高神の司祭がムニャムニャと聖句を唱えている。
 この国は至高神の教えを国教にしているからな。
 王位とは至高神によって保証されるものなのだ。

 陛下が椅子ごと運ばれていったぞ。
 これから、王冠を殿下に被せる儀式があるのだ。

 跪いたソロス殿下に、陛下が被っている王冠を載せる。
 さらに、王笏を手にしたソロス殿下……いや、新たなる国王、ソロス陛下は立ち上がると僕らを一瞥した。

「かくして王位は継承された。余が新たなる王、ソロス一世である!」

 僕らは立ち上がり、拍手をするわけだ。
 ちなみにこれは身内向けの簡易な儀式なので、ほんの十分ちょっと。

 いやあ、終わった終わった、とリップルとともに顔を見合わせたのだが……。

「ではナザルよ、壇上へ!」

「えっ!?」

 寝耳に水過ぎる。
 ソロス陛下は僕を見て、にやりと笑った。
 後ろでデュオス殿下もにやりと笑っている。

 なんだ!?
 何を企んでいるんだ……!!

「ナザルよ。そなたは美食アンバサダーという役割を与えられたが……この役職の呼び名を改めようと思う」

「はっ」

 かしこまりはするが、次にこの人が何を言うのか予測ができない。
 戦々恐々とする僕だ。

「貴族であり、商人としても最上位でもあるそなただ。何、冒険者だ? もうそれほどの立場になったのに、冒険者も無かろう……」

 まあそうだが、冒険者じゃなくなってしまうのはちょっと寂しいなあ。
 その気はなかったのに、僕は出世しすぎた!

「美食伯。それがそなたの役職となる。貴族と商人を兼ね、その地位は伯爵に比肩する。もはやそなたの言葉に耳を傾けぬ者などこの国にはおるまい。美食伯ナザルよ!」

「はっ!」

 もうね、反論を許されないからね、こういう舞台は。
 は、早く終わってくれー!!

 リップルがにやにやしながら眺めている。
 おのれー。
 そう言えば彼女はこういうのを眺めるのが大好きなのだった。

「これからも、美食の追求と普及に努めよ……!」

「はっ!」

「後に家紋も作らせるからな……。何やら小さい屋敷に住んで満足しているようではないか。いかんぞー。貴族たるもの、民に贅を見せるのもまた役割……」

 ひええ、勘弁してくれー!

「皆も讃えよ! 美食伯ナザルの誕生を!」

 その場の皆さんがスタンディングオベーション。
 いやー、勘弁して下さい。

 僕は立ち上がり、キリッとした感じの表情を作って入るが、内心汗だくである。
 とんでもないところまで来てしまったなあ……!!

 かくして儀式は終わり、なんか僕の叙勲式みたいなものも略式で終わってしまった。
 前代未聞の美食伯になったということで……。

 この話もアホみたいな速度でアーラン中に広まった。
 なんということだ。
 情報リークしてるやつがいるぞ!
 この辺りの情報統制どうなってんの!!

 自宅に戻った僕はぐったりした。

「世界が! 世界がどんどん面倒になっていく……!!」

「いいじゃないか。私も気がついたら貴族の夫人だよ。いやあ、人生というのはどうなるか本当に分からないものだねえ……。ま、ここは二人三脚で乗り切っていこうじゃないか」

「そうだなあ……。僕らで協力すればなんとかなるかあ……」

「コゲタも! コゲタも!」

「ぶるるー」

 コゲタとポーターが自己主張をしてくる。
 そうだそうだ、そうだった。
 君たちも僕の家族だもんな!

 よっしゃ、もっと楽チンな人生を歩くつもりだったが、色々受け取ってしまったものは仕方ない!
 せいぜい美食伯として大いに活躍し、歴史に名を残してやろうではないか。

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