俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
318 / 337
104・シャザクの家の赤ちゃん

第318話 許嫁関係についてのあれこれ

しおりを挟む
 シャザク帰宅。
 まったりしてたら夕方が近いな。
 王宮づとめは定時退社らしく、何よりだ。

 うちももうすぐお手伝いさんが来るから、ちょっと話をしたら発たねばな。

「あっ、家でアフタヌーンティーをしている!!」

 帰宅して早々に驚愕するシャザクなのだった。
 そう。
 お茶だけでは飽き足らず、メイドさんが作ったという力作の焼き菓子などを積み上げられたタワーを、僕とリップルとエリィでもりもり食べていたのだった。

「奥様がお肉をつける気になったのは何よりでございます」

 メイドさんがニコニコしている。
 エリィ、産後ダイエットしてたんだな。
 だが、それでおっぱいの出がイマイチになったのもあるかも知れないな。

 ちょっとぷくぷくしてるくらいでいいんだぞ。
 リップルを見ろリップルを。

「ナザル、私がちょっと太ったことについて考えるのをやめるんだ」

「また心を読んだな!?」

「顔に出るんだよ君は!」

「夫婦でイチャイチャし始めた。私は着替えてくるから、戻ってきたら話をしよう。セーラとカルボナル殿の許嫁の話だろう」

「ああ、そうだ。夕食を食べに帰るから、手短に済ませよう」

「夕食……!! 相変わらずだなナザルは……」

 食は何よりも大事である。
 コゲタも帰っているだろうしな。

 少しして、リラックスした服装のシャザクが来た。
 すやすや眠るセーラを見てニコニコした後、僕らに向き直る。

「こんな天使のようにかわいいセーラを嫁に出すなんて嫌だ」

「気持ちはわかる」

 突然へそを曲げたシャザクだが、その気持ちは大変よく分かる。
 僕もコゲタ関連で色々あったからな……!!

「社会のならわしがそういうものなので、許嫁関係はこのまま履行していこう。どうせ僕らは家が近いんだ。すぐに会いに来れるし……そもそも早くてもあと十五年後の話だぞ」

「それもそうか……!!」

 ハッとするシャザクなのだった。
 エリィが吹き出している。

「この人、ずっとセーラにでれでれで、許嫁にくれてやるのは嫌だーって本気で悩んでたのよ。相手がいるっていうことはとてもいい事なのにねえ」

 色々あって、お見合いに挑んだ女性の言葉は重い。
 なんか僕をじっと見てくるのだが、知らんぷりでやり過ごすぞ。

「今回来たのは、許嫁関係の確認だ。こうしてお互い、無事に息子と娘が生まれたことでこの約定は継続ということになる。お互い、子どものために家をもり立てて行こうな」

「ああ、無論だ。……それにやはり、子どもはもう一人か二人欲しいな……。いや、男児が二人できたら大変だな。家が割れる。女児なら婿を取ればいい」

「まあ、もうそんな先のことを!」

 エリィがシャザクに呆れている?
 いや、単純に驚いているのか。
 この夫婦も、何気に仲はいいからな。

 エリィとしては、シャザクが自分に対して一途なのはとても嬉しいことらしい。

「……じゃあ、もうちょっとしたら頑張ってみる?」

「……よし! ナザル、何か栄養のつく料理を教えてくれ」

 夫婦がやる気になったぞ!
 うちなんかカルボナルが最初で最後だろうに!

「栄養のつく料理か……。栄養のつく……。精がつくなら、肉食系は全般的にいいんだが、肉と一緒にビタミンと亜鉛が摂れるのがいいな」

「ナザル、何か難しいことを言い始めたね?」

 リップルが、僕の異世界言語を耳にして唸った。

「君はそういう知識を活かす方向で立身出世すれば国だって起こせただろうに……。グルメ一点突破で貴族に収まったからなあ」

「我ながらそれは本当にそう思う。でも立身出世全く興味なくてなあ。……あ、そうだ。うなぎとか牡蠣を探そう」

 シャザクとエリィの第二子のため、今後の方向性が決まったのだった。
 気持ちよくセーラをお嫁にもらうため、第二子を作るためのエネルギーをシャザクに授ける。
 これだ。

「任せてくれ。精がつく料理を作って食わせてやる」

「楽しみにしてるぞ!」

 今回はシャザクのための料理だ。
 なんと、このパターンは初。
 いつも彼は、僕とデュオス殿下の間を繋ぐ役割だったからな。

 帰宅すると、コゲタとアゲパンが待っていた。
 お腹を減らしてないかなと思ったら、二人でおやつを食べていたらしい。

 冒険者ギルドで、酒場のマスターが持たせてくれたそうだ。
 良かったなあ。

 そこで、お手伝いさんが作ってくれた夕食を摂る。

「ではナザル、次の目標は精がつく料理ということかい?」

「そうなるね。これまでは見境なしに、あるものから美味しいものを作っていた。これからは、確たる目的で料理を作っていくぞ!」

 その第一弾が、精のつく料理だ。
 転生前のぼんやりした知識から、肉類をメインとし、そこに亜鉛とかビタミンとかを一緒に摂取できる食材をだね……。
 うなぎとか牡蠣とか。

 この辺を手に入れに行こうと思うのだ。
 そして、こういう釣ったり水の中の食べ物を手に入れるのに詳しい男を一人知っている。

 至高神の神殿と冒険者ギルドを行ったり来たりするシルバー級冒険者の、リザードマン。

「明日はサルシュを誘って、食材をゲットに行こう……!!」

 新たな美食を求める戦いが幕を開けるのである。


 
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき
ファンタジー
冴えない高校生女子、きら星はづき(配信ネーム)。 彼女は陰キャな自分を変えるため、今巷で話題のダンジョン配信をしようと思い立つ。 初配信の同接はわずか3人。 しかしその配信でゴボウを使ってゴブリンを撃退した切り抜き動画が作られ、はづきはSNSのトレンドに。 はづきのチャンネルの登録者数は増え、有名冒険配信会社の所属配信者と偶然コラボしたことで、さらにはづきの名前は知れ渡る。 ついには超有名配信者に言及されるほどにまで名前が広がるが、そこから逆恨みした超有名配信者のガチ恋勢により、あわやダンジョン内でアカウントBANに。 だが、そこから華麗に復活した姿が、今までで最高のバズりを引き起こす。 増え続ける登録者数と、留まる事を知らない同接の増加。 ついには、親しくなった有名会社の配信者の本格デビュー配信に呼ばれ、正式にコラボ。 トップ配信者への道をひた走ることになってしまったはづき。 そこへ、おバカな迷惑系アワチューバーが引き起こしたモンスタースタンピード、『ダンジョンハザード』がおそいかかり……。 これまで培ったコネと、大量の同接の力ではづきはこれを鎮圧することになる。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...