記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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第2章 あなたは暗殺者⁉
横恋慕の気配②
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そもそも兵士用の寄宿舎が、すぐ横にあるにもかかわらず、アンドレはどうして、この立派な邸宅で暮らしているのだろうか?
この建物を使わせてもらっていることに、改めて疑問が湧く。
カステン辺境伯とどういう関係なんだろう?
これを聞き出せば、また、図々しいと怒られるかもしれない。だけど気になってしょうがない。
お怒られたらその時だと割り切り、勇気を持って、訊ねてみることにした。
「アンドレとカステン辺境伯は、どういう関係なの? 寝室が四部屋もある大きな邸宅を、普通、無関係の人に任せきりにしないでしょう」
「はは、気になりますよね」
「まあね」
「イヴァン卿は母方の遠い親戚に当たるんですよ。この話は、いつもイヴァン卿自身が軍のみんなに聞かせているから、そのうち耳に入ることでしょう」
「そう」と、納得したような、しないような返答をする。
「買った服はここに置いておくので、中を確認してくださいね」
扉からすぐの壁際に置こうとしたアンドレは、箱を持った腕を伸ばす。
「ああ~良かったわ。これで、明日から着る服に悩まなくて済むわね」
それに、今晩のパジャマも。
「ふふっ。どうせ、仕事中は作業着を羽織るんですから、中に何を着ても大差はないでしょう。ジュディが見つけた僕のシャツでいいですよ」
アンドレの言いたいことは分かる。
調理場では白い袖のある羽織りものを着ている。スモックというらしい。
服は全部隠れて見えないから、中に何を着ていても確かに関係ない。
でも明日は外出予定だし、違う。
「一応アンドレは上司だから報告しておくわね。明日朝食を終えてから、第一部隊のみんなと、魔猪の子どもを探しに行くのよ」
「え? どうして勝手なことを決めているんですか!」
「ちゃんとエレーナさんの承諾もあるから大丈夫よ。だから自分の服が届いてよかったわ」
「あの服で……」
放心するアンドレが、床に置きかけていた段ボール箱を、ドンと音を立てて落とした。
「どうしたの? 大丈夫?」
「なぜ、そんなことになっているんですか? 僕は聞いていないですよ」
「だから、今、言ったじゃない」
「いや、そうではなくて……。新しい服って……。肩の出た服や透けた服を着ていくつもりですか?」
「ふふ、可愛いわよね」
「お、お止めなさい。魔猪を探すのに新しい服を着ていっては汚れるから……僕のズボンとシャツにした方がいいですよ」
諭すように言われた。
確かにアンドレの言うとおりだ。新調したてのワンピースで畑へ行くのは気が引ける。
「あ、それもそうね。じゃあ、隊長と買い物へ行く時に、それを着るか」
「買い物まで一緒に行くんですか――……。まあ、僕がとやかく言うことではないですが……」
「ふふっ。熱烈に誘われちゃったのよ、デートみたいに」
懇願されたことを、冗談めかして告げた。
「何をふざけたことを言っているんですか? 朝は早いんですし、大概にして早く寝るんですよ」
急に視線の合わなくなった彼が、うつむきがちに背中を向けた。
そして、何やら一人で考えごとを始めたアンドレは、そのまま、とぼとぼと元気なさげに立ち去っていった。
「はい?」どうしたというんだ?
アンドレの怒る地雷と元気のなくなるスイッチが、さっぱり分からないわね。
そう思いながら、段ボール箱をワクワクしながら開ける。
けれど「あれ? おかしいな?」と箱の中身を全て引っ張り出す。
……嘘ぉぉ。待ちかねたパジャマが入っていないではないか。
しまった! 下着に気を取られ、パジャマを買い忘れていたんだ。
げんなりするわたしは、致し方なくアンドレのシャツを着て眠る羽目になった。
◇◇◇
この建物を使わせてもらっていることに、改めて疑問が湧く。
カステン辺境伯とどういう関係なんだろう?
これを聞き出せば、また、図々しいと怒られるかもしれない。だけど気になってしょうがない。
お怒られたらその時だと割り切り、勇気を持って、訊ねてみることにした。
「アンドレとカステン辺境伯は、どういう関係なの? 寝室が四部屋もある大きな邸宅を、普通、無関係の人に任せきりにしないでしょう」
「はは、気になりますよね」
「まあね」
「イヴァン卿は母方の遠い親戚に当たるんですよ。この話は、いつもイヴァン卿自身が軍のみんなに聞かせているから、そのうち耳に入ることでしょう」
「そう」と、納得したような、しないような返答をする。
「買った服はここに置いておくので、中を確認してくださいね」
扉からすぐの壁際に置こうとしたアンドレは、箱を持った腕を伸ばす。
「ああ~良かったわ。これで、明日から着る服に悩まなくて済むわね」
それに、今晩のパジャマも。
「ふふっ。どうせ、仕事中は作業着を羽織るんですから、中に何を着ても大差はないでしょう。ジュディが見つけた僕のシャツでいいですよ」
アンドレの言いたいことは分かる。
調理場では白い袖のある羽織りものを着ている。スモックというらしい。
服は全部隠れて見えないから、中に何を着ていても確かに関係ない。
でも明日は外出予定だし、違う。
「一応アンドレは上司だから報告しておくわね。明日朝食を終えてから、第一部隊のみんなと、魔猪の子どもを探しに行くのよ」
「え? どうして勝手なことを決めているんですか!」
「ちゃんとエレーナさんの承諾もあるから大丈夫よ。だから自分の服が届いてよかったわ」
「あの服で……」
放心するアンドレが、床に置きかけていた段ボール箱を、ドンと音を立てて落とした。
「どうしたの? 大丈夫?」
「なぜ、そんなことになっているんですか? 僕は聞いていないですよ」
「だから、今、言ったじゃない」
「いや、そうではなくて……。新しい服って……。肩の出た服や透けた服を着ていくつもりですか?」
「ふふ、可愛いわよね」
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諭すように言われた。
確かにアンドレの言うとおりだ。新調したてのワンピースで畑へ行くのは気が引ける。
「あ、それもそうね。じゃあ、隊長と買い物へ行く時に、それを着るか」
「買い物まで一緒に行くんですか――……。まあ、僕がとやかく言うことではないですが……」
「ふふっ。熱烈に誘われちゃったのよ、デートみたいに」
懇願されたことを、冗談めかして告げた。
「何をふざけたことを言っているんですか? 朝は早いんですし、大概にして早く寝るんですよ」
急に視線の合わなくなった彼が、うつむきがちに背中を向けた。
そして、何やら一人で考えごとを始めたアンドレは、そのまま、とぼとぼと元気なさげに立ち去っていった。
「はい?」どうしたというんだ?
アンドレの怒る地雷と元気のなくなるスイッチが、さっぱり分からないわね。
そう思いながら、段ボール箱をワクワクしながら開ける。
けれど「あれ? おかしいな?」と箱の中身を全て引っ張り出す。
……嘘ぉぉ。待ちかねたパジャマが入っていないではないか。
しまった! 下着に気を取られ、パジャマを買い忘れていたんだ。
げんなりするわたしは、致し方なくアンドレのシャツを着て眠る羽目になった。
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