記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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第4章 逃がさない
だまされない④
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「それは出鱈目だから信じないでください」
謎にイラつく彼が告げた。だが、誰が信じるか。馬鹿にするなと言い返す。
「誤魔化さないで。もう何を言っても信じないわ」
「お願いだから、僕の言葉を信じてください」
「無理よ。……嘘つき。二度とあなたの言葉は信じない。アンドレの顔も見たくないから、どっか行ってよ」
「どうして僕が嘘つきに……イヴァン卿が余計なことをしたせいで……」
「何を人のせいにしているのよ。……頭が痛いって言った時だって……怖かった」
彼は常々冷たい顔を見せていたのに、わたしってば馬鹿だ。ケロッと騙されていた。
「申し訳ありません……。あの時、ジュディが僕の部屋で栞を手にしていた時に気づくべきでした」
彼が一際真剣な形相で告げたため、差し固めて鋭い視線を向ける。
「なっ、何よ‼」
「こんなことなら栞を素直に返せばよかった。せっかくあなたが僕の傍にいたのに、気づかずに申し訳ありませんでした。ジュディット様」
アンドレは苦悶の表情を浮かべると、謝罪を口にした。
やはりアンドレは、以前からわたしを知っていたのだ。自分の勘が正しいと判明しても、心は晴れない。
――そもそもジュディット様って誰だ⁉
きっとわたしのことだろうが、名前が分かったところで、すっきりしない。
ほらね。記憶がなければやっぱりこれだもの。
「何よ。やっぱりわたしのことを知っていたのね。アンドレはわたしに何をしたの? どうして記憶がないのよ」
「僕はジュディに何もしてません。ですが、あなたの記憶を取り戻す事ならできるはずです」
彼の片手が首に触れる。
「いやよ。わたしに触らないで。アンドレは信用ならないもの。もう一緒にいてくれなくて結構だわ。大嫌いだからどこかへいって。人を崖から落として、愛しているだの、好きだの、異常だわ」
「これだけ言っても信じてもらえないのでしたら、少々手荒なまねに出るしかないようですね」
そう言って、アンドレが無理やりわたしの体をぐいっと引くため、真っ直ぐ立っていられなくなる。
ふらっとするわたしは、よろけるように彼の胸に顔を預けてしまう。
「やめて!」
悲鳴を上げたが彼は全く聞き入れる様子はない。
そして彼がわたしの額に手を当てると、そこが光っているように、視界がぼんやりと明るくなる。
その事象。何をされているか思い当たる節がある。紛れもなく魔法契約だ。
わたしの体に鎖を繋ぐ真似をされては、たまったもんじゃない。
「やだ、やだ、やだ。魔法契約じゃない。何の契約をわたしと結ぼうとしているのよ。それをかたに脅す気でしょ。やめて」
「いいえ。あなたがフィリベール殿下に結ばれた魔法契約のうちの一つを、解呪しているだけです」
「嘘ばっかり、離してよ。魔法契約は術者との血の契約だわ。本人にしか解呪できないのに、意味不明なことを言って誤魔化さないで」
興奮気味に言い終えたところで、頭の中にたくさんの言葉と映像が流れ込んでくる。
頭の中へ、ぼやけた情報が次々と入ってきてぐわんっと眩暈を起こす。
「アンドレ? フィリ――」
何これ。わたしの知る人物はアンドレではないのか……。そう思ったところで、意識を保っていられず、がくんと倒れてしまった。
そして、薄れつつある意識の中で、耳に息がかかる――。曖昧な思い出と声が混じり聞き取れない。
「やっと手に入れたあなたを、もう二度と離しませんから。愛してますジュディ」
謎にイラつく彼が告げた。だが、誰が信じるか。馬鹿にするなと言い返す。
「誤魔化さないで。もう何を言っても信じないわ」
「お願いだから、僕の言葉を信じてください」
「無理よ。……嘘つき。二度とあなたの言葉は信じない。アンドレの顔も見たくないから、どっか行ってよ」
「どうして僕が嘘つきに……イヴァン卿が余計なことをしたせいで……」
「何を人のせいにしているのよ。……頭が痛いって言った時だって……怖かった」
彼は常々冷たい顔を見せていたのに、わたしってば馬鹿だ。ケロッと騙されていた。
「申し訳ありません……。あの時、ジュディが僕の部屋で栞を手にしていた時に気づくべきでした」
彼が一際真剣な形相で告げたため、差し固めて鋭い視線を向ける。
「なっ、何よ‼」
「こんなことなら栞を素直に返せばよかった。せっかくあなたが僕の傍にいたのに、気づかずに申し訳ありませんでした。ジュディット様」
アンドレは苦悶の表情を浮かべると、謝罪を口にした。
やはりアンドレは、以前からわたしを知っていたのだ。自分の勘が正しいと判明しても、心は晴れない。
――そもそもジュディット様って誰だ⁉
きっとわたしのことだろうが、名前が分かったところで、すっきりしない。
ほらね。記憶がなければやっぱりこれだもの。
「何よ。やっぱりわたしのことを知っていたのね。アンドレはわたしに何をしたの? どうして記憶がないのよ」
「僕はジュディに何もしてません。ですが、あなたの記憶を取り戻す事ならできるはずです」
彼の片手が首に触れる。
「いやよ。わたしに触らないで。アンドレは信用ならないもの。もう一緒にいてくれなくて結構だわ。大嫌いだからどこかへいって。人を崖から落として、愛しているだの、好きだの、異常だわ」
「これだけ言っても信じてもらえないのでしたら、少々手荒なまねに出るしかないようですね」
そう言って、アンドレが無理やりわたしの体をぐいっと引くため、真っ直ぐ立っていられなくなる。
ふらっとするわたしは、よろけるように彼の胸に顔を預けてしまう。
「やめて!」
悲鳴を上げたが彼は全く聞き入れる様子はない。
そして彼がわたしの額に手を当てると、そこが光っているように、視界がぼんやりと明るくなる。
その事象。何をされているか思い当たる節がある。紛れもなく魔法契約だ。
わたしの体に鎖を繋ぐ真似をされては、たまったもんじゃない。
「やだ、やだ、やだ。魔法契約じゃない。何の契約をわたしと結ぼうとしているのよ。それをかたに脅す気でしょ。やめて」
「いいえ。あなたがフィリベール殿下に結ばれた魔法契約のうちの一つを、解呪しているだけです」
「嘘ばっかり、離してよ。魔法契約は術者との血の契約だわ。本人にしか解呪できないのに、意味不明なことを言って誤魔化さないで」
興奮気味に言い終えたところで、頭の中にたくさんの言葉と映像が流れ込んでくる。
頭の中へ、ぼやけた情報が次々と入ってきてぐわんっと眩暈を起こす。
「アンドレ? フィリ――」
何これ。わたしの知る人物はアンドレではないのか……。そう思ったところで、意識を保っていられず、がくんと倒れてしまった。
そして、薄れつつある意識の中で、耳に息がかかる――。曖昧な思い出と声が混じり聞き取れない。
「やっと手に入れたあなたを、もう二度と離しませんから。愛してますジュディ」
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