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第3章 入れ替わりのふたり
3-12 ルイーズの買い物②
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馬車での移動中。ルイーズは、これからの振る舞いをエドワードから指導され、何が何だかチンプンカンプン。こんな大役を任され大丈夫なのかと、目が泳いでいる。
「俺が使っている店をいくつか回る。お前は店主に『連れの好きなだけ見繕ってくれ』と言ってこれを出せ。小切手の署名は済ませてあるから問題はない。『そんなに要らない』とか、『高い』とか余計なことを言うなよ。お前が変なことを言えば、俺がそういう男だと思われる」
「わ、分かったわ。本当は、エドワードの見えなんて、どうでもいいと言いたいところだけど、初めて小切手なるものを持って、……手が震えて、それどころじゃないわ」
彼から大量の小さな紙を持たされ、ルイーズはプルプルと手を震わせている。
「大丈夫か……、おろおろしないでくれよ。俺が恥ずかしい」
「だっ大丈夫よ。喋らないでいいなら何とかなる気がするもの」
1件目に向かったドレス店。
既に仕立てられているドレスが、見本のように並んでいる。
ふんだんなレースの豪華な代物。
ピンクや黄色の華やかなドレスを見て、喋らないと言っていたルイーズが、うれしそうに目を輝かせた。
「わぁ~、ピンク、黄色どっちもかわいい! あ~、やっぱ黄色かな」
「やめてくれ、お前が着るならいいが俺は嫌だ。青だろう」
「ふふっ、じゃあ2人の間を取って、緑にしましょう」
「お前って、何でも適当だな……。間の意味が分からないだろう」
令嬢よりもうれしそうに店内を物色しているルイーズに、女店主が話し掛けてきた。
「随分とうれしそうですね。エドワード様が令嬢をお連れになるとは、また珍しい。呼んでいただければ、屋敷まで伺いましたのに」
「ああ、まあ、彼女が来たいと言ったから。彼女の言うとおり、好きなだけ見繕って」
「はいかしこまりました」
ルイーズの言葉を聞いて、キラーンと目を光らせた女店主。エドワードは、女店主に連行されるように採寸部屋へ連れ込まれた。
はぇ? とその姿を見ていたルイーズは、「エドワード様はこちらでごゆっくり」と言われ、その間、別室でお茶を飲むだけ。
けれど、エドワードは女店主の売り込みに、これでもかと言うほど、付き合わされることになる。
「ちょっとあなた、痩せ過ぎよ。これじゃあ胸がぶかぶかになるわね」
そう言いながら、女店主はエドワードの胸の大きさを、ゆさゆさ触って確認している。容赦なく触ってくる女店主に動じるエドワード。
(おい、ちょっと……、これは女同士だとアリなのか? どうなっているんだ……)
変な感覚になりながら、焦る彼の本心とは別に女店主はエドワードへ助言を始める。
「いい、もっといっぱい食べて太りなさい。舞踏会で着るドレスでしょう、まだ時間はあるからサイズは着る直前に調整してあげるわ。あなた背も高いし、きれいに映えるわよ」
「は……い」
「それに、もっと胸にボリュームが出て、腰骨が出ていない方が、エドワード様も喜ぶわよ」
(どうして、俺がこいつの胸が大きくなったからって喜ぶんだよ。そんなわけあるかよっ!
入れ替わりはすぐに戻るはずだ。そうなれば、俺は関係ない。まさか俺が、あほなルイーズと何かあるわけがない。体が戻れば、願い下げだ)
そう思ったエドワードは、女店主の言葉をきっぱりと否定する。
「はい? 違う、エドワードは関係ないから」
「何言っているの? 彼が令嬢を連れてきたのはあなたが初めてよ。それも好きに見繕ってなんて、言わせているのよ。あなたは相当気に入られているのね。何着買ってくのかしら?」
「……2着。当日は黄色を着ていく。もし気分が変われば青だ」
「エドワード様の横に立っても恥ずかしくないように、彼がいつも仕立てている特級品でいいわね」
「ああ。それと、青いドレスは仕立てに時間を掛けなくていい、何かあったときの保険だ。でも、黄色いドレスは存分に豪華にしてくれ。当日は彼女に、いや、わたしにそのドレスを着せて舞踏会へ向かわせて欲しい」
「うふっ。流石エドワード様が連れてきた子だけあって、抜け目がないわね。そう言われたら、うちの優秀な針子たち総出で今年1番の刺繍を描いておくわ……、それと真珠もふんだんに使って、とびきりの1着を用意するわ。きっと胸がもっと大きくなるだろうから、コルセットも新しいのが必要ね。そうだわ、この際だから全部新品でそろえるといいわね」
「何だかよく分からないが、屋敷には何もないから必要なものを全て用意してくれ」
散々女店主に振り回されたエドワードは、ぐったりとした様子でルイーズの元へ戻ってきた。
そして、外で2人きりになれば、エドワードの体に腕を組むルイーズの姿。
「女って、色々大変なんだな」
「ん~、わたしドレスの試着はしたことないし、仕立ててもらったこともないから分かんないわね」
「はは、お前らしい、あほっぽい返答で安心した。俺はもう疲れたから今日1日中、俺の腕を貸せ」
「もう、勝手にしがみ付いてきて、よく言うわね、ふふっ」
笑顔で楽しそうに、応えるルイーズ。
2人は王都の町中を、なかむつまじく腕を組みながら歩いていた。
「俺が使っている店をいくつか回る。お前は店主に『連れの好きなだけ見繕ってくれ』と言ってこれを出せ。小切手の署名は済ませてあるから問題はない。『そんなに要らない』とか、『高い』とか余計なことを言うなよ。お前が変なことを言えば、俺がそういう男だと思われる」
「わ、分かったわ。本当は、エドワードの見えなんて、どうでもいいと言いたいところだけど、初めて小切手なるものを持って、……手が震えて、それどころじゃないわ」
彼から大量の小さな紙を持たされ、ルイーズはプルプルと手を震わせている。
「大丈夫か……、おろおろしないでくれよ。俺が恥ずかしい」
「だっ大丈夫よ。喋らないでいいなら何とかなる気がするもの」
1件目に向かったドレス店。
既に仕立てられているドレスが、見本のように並んでいる。
ふんだんなレースの豪華な代物。
ピンクや黄色の華やかなドレスを見て、喋らないと言っていたルイーズが、うれしそうに目を輝かせた。
「わぁ~、ピンク、黄色どっちもかわいい! あ~、やっぱ黄色かな」
「やめてくれ、お前が着るならいいが俺は嫌だ。青だろう」
「ふふっ、じゃあ2人の間を取って、緑にしましょう」
「お前って、何でも適当だな……。間の意味が分からないだろう」
令嬢よりもうれしそうに店内を物色しているルイーズに、女店主が話し掛けてきた。
「随分とうれしそうですね。エドワード様が令嬢をお連れになるとは、また珍しい。呼んでいただければ、屋敷まで伺いましたのに」
「ああ、まあ、彼女が来たいと言ったから。彼女の言うとおり、好きなだけ見繕って」
「はいかしこまりました」
ルイーズの言葉を聞いて、キラーンと目を光らせた女店主。エドワードは、女店主に連行されるように採寸部屋へ連れ込まれた。
はぇ? とその姿を見ていたルイーズは、「エドワード様はこちらでごゆっくり」と言われ、その間、別室でお茶を飲むだけ。
けれど、エドワードは女店主の売り込みに、これでもかと言うほど、付き合わされることになる。
「ちょっとあなた、痩せ過ぎよ。これじゃあ胸がぶかぶかになるわね」
そう言いながら、女店主はエドワードの胸の大きさを、ゆさゆさ触って確認している。容赦なく触ってくる女店主に動じるエドワード。
(おい、ちょっと……、これは女同士だとアリなのか? どうなっているんだ……)
変な感覚になりながら、焦る彼の本心とは別に女店主はエドワードへ助言を始める。
「いい、もっといっぱい食べて太りなさい。舞踏会で着るドレスでしょう、まだ時間はあるからサイズは着る直前に調整してあげるわ。あなた背も高いし、きれいに映えるわよ」
「は……い」
「それに、もっと胸にボリュームが出て、腰骨が出ていない方が、エドワード様も喜ぶわよ」
(どうして、俺がこいつの胸が大きくなったからって喜ぶんだよ。そんなわけあるかよっ!
入れ替わりはすぐに戻るはずだ。そうなれば、俺は関係ない。まさか俺が、あほなルイーズと何かあるわけがない。体が戻れば、願い下げだ)
そう思ったエドワードは、女店主の言葉をきっぱりと否定する。
「はい? 違う、エドワードは関係ないから」
「何言っているの? 彼が令嬢を連れてきたのはあなたが初めてよ。それも好きに見繕ってなんて、言わせているのよ。あなたは相当気に入られているのね。何着買ってくのかしら?」
「……2着。当日は黄色を着ていく。もし気分が変われば青だ」
「エドワード様の横に立っても恥ずかしくないように、彼がいつも仕立てている特級品でいいわね」
「ああ。それと、青いドレスは仕立てに時間を掛けなくていい、何かあったときの保険だ。でも、黄色いドレスは存分に豪華にしてくれ。当日は彼女に、いや、わたしにそのドレスを着せて舞踏会へ向かわせて欲しい」
「うふっ。流石エドワード様が連れてきた子だけあって、抜け目がないわね。そう言われたら、うちの優秀な針子たち総出で今年1番の刺繍を描いておくわ……、それと真珠もふんだんに使って、とびきりの1着を用意するわ。きっと胸がもっと大きくなるだろうから、コルセットも新しいのが必要ね。そうだわ、この際だから全部新品でそろえるといいわね」
「何だかよく分からないが、屋敷には何もないから必要なものを全て用意してくれ」
散々女店主に振り回されたエドワードは、ぐったりとした様子でルイーズの元へ戻ってきた。
そして、外で2人きりになれば、エドワードの体に腕を組むルイーズの姿。
「女って、色々大変なんだな」
「ん~、わたしドレスの試着はしたことないし、仕立ててもらったこともないから分かんないわね」
「はは、お前らしい、あほっぽい返答で安心した。俺はもう疲れたから今日1日中、俺の腕を貸せ」
「もう、勝手にしがみ付いてきて、よく言うわね、ふふっ」
笑顔で楽しそうに、応えるルイーズ。
2人は王都の町中を、なかむつまじく腕を組みながら歩いていた。
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