【完結】突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~脱走令嬢は、素性を隠した俺様令息に捕獲される~

瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!

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第5章 祝福されるふたり

5-24 最愛の妻が、1番大切だから②

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 ハラハラしているエドワードは、貴族たちの列が、やっと半分くらいの長さに減ったのを確認した。

 これまで挨拶にきた人物の中には、胡散臭うさんくさい理由を話す治療希望者が、チラホラと紛れていた。
 ……けれど、つべこべ言っていられないエドワードは、「ルイーズのためだからな」と、自分から勢いよく手を握った。

 ルイーズは、少し前から言葉数が減っている。
 それが気になって仕方ないエドワードは、もう限界だった。
 もう自分が我慢ならないと、言葉より先に体が動く。

「ひゃっ」
 と声を上げたルイーズは、突然、エドワードに横抱きにされた。
 顔色の悪いルイーズは、何も言えずにエドワードの服をぎゅぅっとつかんでしがみつく。

「悪いが、ルイーズが疲れているからもう帰る」
 エドワードは、列の一番前の人物へ、淡々とそれを伝えた。 
 すると、何が起きたのか、様子をうかがっていた参加者たちに、あっと言う間に話は広がった。
 自分たちから少し離れた所では、「今日を心待ちにしていたのに!」と、泣き出す声が聞こえた。

 だが、そんなことはどうでもいい。
 耳を貸す気は一切ない。
 エドワードは心配そうに、ルイーズの顔をひたすらのぞき込む。

 エドワードは、風をきって国王陛下の元へ向かう。その横に、エドワードの父である宰相もいる。
 2人の茶番に自分は十分に付き合った。これ以上は、知ったことではない。

 真剣な顔つきのエドワードは、交渉の余地を与えるつもりはないと、強い口調で国王に告げる。

「俺の終業時間だ、これで帰る」
「いやいや、まだこれから夜も長いだろう」
「ルイーズが、ドレスを苦しそうにしているから、もう無理だ」

「……まあ分かった。今日は2人の祝いの席だしな。次は例年の舞踏会か……」
「それは、欠席と決めている」

「それだとエドワード様に会えると信じている者たちが納得しない、分かるだろう」
「無理だ。そのころはルイーズの出産と重なる。無駄なことでルイーズから離れる気はないからな」
 それを聞いた陛下は、しばしの間固まった。

 エドワードにしがみついているルイーズは、自分を最優先にしてくれるエドワードの言葉に、顔をぽっと赤くし、こっそり口角を上げていた。


 おもむろに会話を続けた国王陛下。

「ならば、王宮の舞踏会の時期を変更するか」
「「はぁぁーっ」」
 流石にそれはおかしい。
 そう思ったルイーズは、エドワードと重なるように声を上げていた。

「あの舞踏会はリンゴの収穫祭が起源なんだろう。その時期に勝手にやってくれ。もう、俺たちはあの酒を振舞う舞踏会に参加する気はないからな」

「それなら、舞踏会の理由を別のものに変えればいいだけだ。ルイーズ夫人を労うでも、エドワード様に願いを述べるでも何でもいいな。ホイットマン子爵家の当主から、働き手が増えたと礼状が届いていたし、年に1回くらいいいだろう」

 鼻まで赤い陛下は、十分過ぎるほど酒が入り、気が大きくなっているようだ。

 この祝賀会が想定以上の大反響だった。
 エドワードから治療を受けた20人くらいが、陛下と宰相の元に深々と礼を述べにくる。
 そのせいで国王陛下は、すっかり気分を良くしていた。

「俺はよくないっ! あー、ここで話をしてもらちがあかない。ルイーズの体調が悪いんだ、早く楽にしてやりたいから、その話は後日だ」
 取りつく島のないエドワードの様子に、今、それを決めることを陛下は諦めた。
 だが、エドワードが帰る前にと、静かに手を差し出した。

 チラリと陛下の手の動きを見取ったエドワードは、意図を察する。

 ……だが、応じる様子はない。
 横抱きにしているルイーズの体に、エドワードの手が触れていた。
 躊躇ためらう隙もなくエドワードは答える。

「無理だ。ルイーズを抱えているから今は、ヒールを使えない。明日あす、訪ねるからそのときだ」

 エドワードと国王の会話に口を挟めるわけがないと、ルイーズは何も言わない。
 けれど、自分を床に立たせれば、何の問題もないのだ。

 ルイーズは、国王陛下の頼みを前にしても、聞き入れない彼の優先順位に驚きを隠せずにいた。

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