38 / 45
第三章 天使とディーバの取引明細
38.信じたい相手
しおりを挟む
羅針盤は車内で反応を示した。
各駅停車をしながら線路上を直進する地下鉄の中で、まもなく朱山駅へ到着するアナウンスが流れはじめた瞬間に、僕らは顔を見合わせていた。
針が指し示す方角は、東。
朱山駅は西峰線と胡白線の二本の路線が乗り入れる地下駅で、このうち胡白線は環状線である。
乗り換えは早計であると判じ、まずは当初の目的どおりに朱山の喫茶店を目指すことにした。地上に出て歩けばJRの駅舎があるから、そこで市内東部を目指す車両に乗り換えるのもいいだろう。見立てはよかった。
朱山で地下鉄を下車し、地上に出て五分ほど歩く。
ほどなくして英城大学の門前にたどり着いた。
私立英城大学、朱山キャンパスには文学部や経済学部といった文系学部の講義棟や研究棟、附属図書館、学生会館などが所在している。
案内板の地図を追ったところ、敷地内を通り抜けることはできそうだ。学生らしき人影は少ない。八月に入り、大学もすでに夏季休講に入っているのだろう。
周囲には閑静な住宅街が広がっていた。目的地である喫茶店は、大学の裏手に位置しているそうだ。
「カナタさん、秘密道具の反応はいかがですか?」
パンクロッカーと高校生の組み合わせが奇特かどうかはさておき、九遠堂から持ち出した真理盤は貴重品だ。
便利なモノが普及している現代で、道端でアンティークを使う人間はさすがにものめずらしいだろう。通行人に見咎められないように、建物の物陰で確認を繰り返していた。
「うん。さっきから立ち止まるたびに、針の色がすこしずつ金に変わってる。これは近づいてることを示してるのかな」
カフェにたどり着くのは正午過ぎだろうか。小腹もほどよく空いている。
行き先は夫婦経営のこぢんまりとした個人店で、ランチメニューも用意されているとのこと。
カナタさんはふわふわのオムレツが美味しいプレートランチと、季節の果物をふんだんに使ったフルーツサンドをおすすめしてくれた。どちらも捨てがたいが、自宅のキッチンで再現を試みるならばやはり前者だろうか。
――会話に興じながら、道幅の狭い歩道を歩いていたところ。
ちょうど十字路にさしかかった時だった。
「待って。羅針盤が鳴いてる」
カナタさんが立ち止まる。
アーティストであるからか、彼女は聴覚が鋭い。
野外にいても針が文字盤に当たる音を聴き分けてしまうので、物音に敏感な肉食動物のように思える。ともに行動することでいくらか警戒心も和らいだようで、ややくだけた距離で接してくれるのもあり、しなやかな黒豹に懐かれた気分だった。
ジャケットの内側から羅針盤が現れる。
赤褐色に錆びついていた磁針が、黄金色にまばゆく輝いている。
針は上下左右に激しく揺れ、傾き、まるで意志をもった生き物かのように暴れまわる。文字盤の上から躍り出てしまいそうで――針が外れた。宙に浮き上がり、弓矢のごとく飛び去っていく。
「うわっ! なんだっ!?」
「千幸! 追いかけるよ!」
呆気にとられている場合ではない。
今のところ唯一の手がかりなのだ。これを見失っては途方に暮れるどころか絶望である。慌てて駆け出す。
黄金の針は十字路を右に曲がり、ブロックひとつほどの区画を直進し、そしてふっと姿を消した。
そこは一軒の民家の門前だった。裕福なご家庭なのだろう、前庭の生け垣は丹念に整えられており、野山から離れた人里に花鳥風月の趣を添えている。
それににしても風雅な庭だ。
ブーゲンビリアのつぼみが紅色を宿していて、蒸し暑いばかりの夏に南国の彩りを添えている。
母屋となる住居は新築であろう二階建てだ。淡いクリーム色の外壁が真新しい。
「針は?」
背後から追いついたカナタさんが、息を荒らげて尋ねる。
「ここで消えました。カナタさん、この家に見覚えは?」
「ないけど。ここが梁間さんの?」
表札には「荒木」の二文字。
はたして、この家が梁間氏の住み処なのだろうか。
民家にむりやり踏み込むわけにはいかない。非常識な手段に頼ってはいるが、非合法な方策をとって住居侵入罪で訴えられたくはない。
せめて家屋を覗き込もうと背伸びして窓辺をうかがっていると、僕らのかたわらを背の高い男性が通りかかった。閑静な住宅街ではめずらしい容姿で、スラックスとシャツをまとった、フォーマルな装いをしている。
チェック模様をあしらったダブルベストが品格を引き立てるような、さわやかな目鼻立ちの理知的な男性だった。大学関係者だろうか。
「梁間さん……!」
顔を見るなり、カナタさんが叫ぶ。
男――梁間氏は喫驚していた。ぎょっと目を剥いて詰問する。
「君がなぜここに?」
「会いにきたんです。九遠堂の皆さんに協力してもらって」
「ああ……そういうこと」
梁間氏は嘆息する。ことの経緯を悟ったようだ。
僕はカナタさんをかばうようにして、梁間氏との間に割って入る。
「梁間さんですよね。昨夜、伊奈羽市で落ち合う約束をしていたのでは?」
「いや、彼女とそのような話はしていないな。ところで君は?」
「九遠堂の者です。彼女が昨夜、あなたの名前を知る男たちに、無理やりに車に乗せられそうになっているところを助けたご縁がありまして」
「……彼女は運がいいな」
「悪意あってのことなら見過ごせません」
強気に出るが、勝算はない。
梁間氏の正体については推論があった。
夜の繁華街でさらわれて、行き着いた先の魔境の地。そこで出会った夢魔たちも、九遠堂とその店主の人柄を知っていた。この人が仮に椎堂さんの知り合いであるならば、徒人ではない可能性もあり得る。
「事情があるならカナタさんにご説明を。積もる話もあるでしょうし、この近くにある喫茶店で一服しながらどうですか」
「悪いが所用があってね。今は君たちに構ってはいられない」
「この家は?」
「……僕の仕事先。荒木家の人たちは巻き込まないでくれ。善良な一般中流家庭に危害を加えるような真似はしないよね?」
今にも飛びつきそうなカナタさんをおさえながら、僕はうなずく。
「強硬手段に出るつもりはありません」
「ご協力に感謝するよ。何かしでかそうものなら、この場で通報するところだった」
そう言って、梁間氏は美しい前庭を通り過ぎていこうとする。
彼の腕を掴んで、カナタさんが呼び止める。
「待って。梁間さん……事情があってのことなんですよね?」
「君がここに来てしまった以上、説明はするよ。カナタ、メールを送るから」
鍵を開けて、荒木邸の玄関をくぐり抜けていく彼をただ見守ることしかできなかった。
頭上を見上げると二階の窓が開いている。わずかに開いたカーテンの隙間に人影が見えた気がしたが、瞬きをすると窓辺の影は消えていた。
その後、どうするかについて話し合ったすえに、僕とカナタさんは紛糾した。
カナタさんは梁間さんが荒木邸から出てくるまで張り込むと決めて、頑として動こうとしない。
近所の人に見咎められる可能性や、梁間さんの動向が不安だった僕としては、彼女に賛同できなかったのだ。説得を試みたが失敗し、一時休戦として、僕はカナタさんをその場に残して売店まで飲み物を調達に出かけた。
思いつめているカナタさんをひとり放っておくのはやや心配ではあったが、照りつける日差しの下で何時間も張り込むのはきびしいだろう。
せめて水分補給だけでも徹底して、憂いのないようにしておきたい。
カナタさんと別れた後、一度、椎堂さんに相談をしようかと検討していたとき。
スマートフォンに連絡が入った。知らない番号からだ。
電話に出てみると、
「九遠堂の人だね? 僕だ。栗林カナタ抜きで会いたい」
梁間さんからだ。
どのようにして僕の電話番号を入手したのかは疑問を覚えるところだが、深く追求するはあとだ。
「いますぐですか? カナタさんに見つからず、荒木さんのお宅からは出られそうなんですか?」
「難しいね。とはいえ、この暑さで彼女が倒れるのは避けたい。今日のところはお引き取りしてもらいたいのが本音だな」
「説得してみます。確約はしませんが、善処はしますよ」
「頼むよ。面会については、夕方五時に英城大学西門の向かい、喫茶ボン・ボヤージュで」
そして一方的に通話が途切れた。
コンビニから戻る。と、面を食らった。
カナタさんが荒木邸の前の道路でうずくまっていたのだ。炎天下のなか早くも体力限界がきてしまったのかもしれない。急いで駆けつける。
「大丈夫ですか?!」
案の定、カナタさんはぐったりと疲れ果てた顔をしていた。
言わんこっちゃない。熱を吸収しやすい黒い布地ばかり身につけていたせいだろう。
「梁間さん……。やっと会えたのに」
「まだ一時間程度とはいえ、疲れたでしょう。この日差しではすぐに熱中症になるのが関の山です。今日は出直しましょう」
「うん……。あたし、梁間さんのこと信じていんだよね?」
彼女の質問に、僕はうまい切り返しをみつけられなかった。
各駅停車をしながら線路上を直進する地下鉄の中で、まもなく朱山駅へ到着するアナウンスが流れはじめた瞬間に、僕らは顔を見合わせていた。
針が指し示す方角は、東。
朱山駅は西峰線と胡白線の二本の路線が乗り入れる地下駅で、このうち胡白線は環状線である。
乗り換えは早計であると判じ、まずは当初の目的どおりに朱山の喫茶店を目指すことにした。地上に出て歩けばJRの駅舎があるから、そこで市内東部を目指す車両に乗り換えるのもいいだろう。見立てはよかった。
朱山で地下鉄を下車し、地上に出て五分ほど歩く。
ほどなくして英城大学の門前にたどり着いた。
私立英城大学、朱山キャンパスには文学部や経済学部といった文系学部の講義棟や研究棟、附属図書館、学生会館などが所在している。
案内板の地図を追ったところ、敷地内を通り抜けることはできそうだ。学生らしき人影は少ない。八月に入り、大学もすでに夏季休講に入っているのだろう。
周囲には閑静な住宅街が広がっていた。目的地である喫茶店は、大学の裏手に位置しているそうだ。
「カナタさん、秘密道具の反応はいかがですか?」
パンクロッカーと高校生の組み合わせが奇特かどうかはさておき、九遠堂から持ち出した真理盤は貴重品だ。
便利なモノが普及している現代で、道端でアンティークを使う人間はさすがにものめずらしいだろう。通行人に見咎められないように、建物の物陰で確認を繰り返していた。
「うん。さっきから立ち止まるたびに、針の色がすこしずつ金に変わってる。これは近づいてることを示してるのかな」
カフェにたどり着くのは正午過ぎだろうか。小腹もほどよく空いている。
行き先は夫婦経営のこぢんまりとした個人店で、ランチメニューも用意されているとのこと。
カナタさんはふわふわのオムレツが美味しいプレートランチと、季節の果物をふんだんに使ったフルーツサンドをおすすめしてくれた。どちらも捨てがたいが、自宅のキッチンで再現を試みるならばやはり前者だろうか。
――会話に興じながら、道幅の狭い歩道を歩いていたところ。
ちょうど十字路にさしかかった時だった。
「待って。羅針盤が鳴いてる」
カナタさんが立ち止まる。
アーティストであるからか、彼女は聴覚が鋭い。
野外にいても針が文字盤に当たる音を聴き分けてしまうので、物音に敏感な肉食動物のように思える。ともに行動することでいくらか警戒心も和らいだようで、ややくだけた距離で接してくれるのもあり、しなやかな黒豹に懐かれた気分だった。
ジャケットの内側から羅針盤が現れる。
赤褐色に錆びついていた磁針が、黄金色にまばゆく輝いている。
針は上下左右に激しく揺れ、傾き、まるで意志をもった生き物かのように暴れまわる。文字盤の上から躍り出てしまいそうで――針が外れた。宙に浮き上がり、弓矢のごとく飛び去っていく。
「うわっ! なんだっ!?」
「千幸! 追いかけるよ!」
呆気にとられている場合ではない。
今のところ唯一の手がかりなのだ。これを見失っては途方に暮れるどころか絶望である。慌てて駆け出す。
黄金の針は十字路を右に曲がり、ブロックひとつほどの区画を直進し、そしてふっと姿を消した。
そこは一軒の民家の門前だった。裕福なご家庭なのだろう、前庭の生け垣は丹念に整えられており、野山から離れた人里に花鳥風月の趣を添えている。
それににしても風雅な庭だ。
ブーゲンビリアのつぼみが紅色を宿していて、蒸し暑いばかりの夏に南国の彩りを添えている。
母屋となる住居は新築であろう二階建てだ。淡いクリーム色の外壁が真新しい。
「針は?」
背後から追いついたカナタさんが、息を荒らげて尋ねる。
「ここで消えました。カナタさん、この家に見覚えは?」
「ないけど。ここが梁間さんの?」
表札には「荒木」の二文字。
はたして、この家が梁間氏の住み処なのだろうか。
民家にむりやり踏み込むわけにはいかない。非常識な手段に頼ってはいるが、非合法な方策をとって住居侵入罪で訴えられたくはない。
せめて家屋を覗き込もうと背伸びして窓辺をうかがっていると、僕らのかたわらを背の高い男性が通りかかった。閑静な住宅街ではめずらしい容姿で、スラックスとシャツをまとった、フォーマルな装いをしている。
チェック模様をあしらったダブルベストが品格を引き立てるような、さわやかな目鼻立ちの理知的な男性だった。大学関係者だろうか。
「梁間さん……!」
顔を見るなり、カナタさんが叫ぶ。
男――梁間氏は喫驚していた。ぎょっと目を剥いて詰問する。
「君がなぜここに?」
「会いにきたんです。九遠堂の皆さんに協力してもらって」
「ああ……そういうこと」
梁間氏は嘆息する。ことの経緯を悟ったようだ。
僕はカナタさんをかばうようにして、梁間氏との間に割って入る。
「梁間さんですよね。昨夜、伊奈羽市で落ち合う約束をしていたのでは?」
「いや、彼女とそのような話はしていないな。ところで君は?」
「九遠堂の者です。彼女が昨夜、あなたの名前を知る男たちに、無理やりに車に乗せられそうになっているところを助けたご縁がありまして」
「……彼女は運がいいな」
「悪意あってのことなら見過ごせません」
強気に出るが、勝算はない。
梁間氏の正体については推論があった。
夜の繁華街でさらわれて、行き着いた先の魔境の地。そこで出会った夢魔たちも、九遠堂とその店主の人柄を知っていた。この人が仮に椎堂さんの知り合いであるならば、徒人ではない可能性もあり得る。
「事情があるならカナタさんにご説明を。積もる話もあるでしょうし、この近くにある喫茶店で一服しながらどうですか」
「悪いが所用があってね。今は君たちに構ってはいられない」
「この家は?」
「……僕の仕事先。荒木家の人たちは巻き込まないでくれ。善良な一般中流家庭に危害を加えるような真似はしないよね?」
今にも飛びつきそうなカナタさんをおさえながら、僕はうなずく。
「強硬手段に出るつもりはありません」
「ご協力に感謝するよ。何かしでかそうものなら、この場で通報するところだった」
そう言って、梁間氏は美しい前庭を通り過ぎていこうとする。
彼の腕を掴んで、カナタさんが呼び止める。
「待って。梁間さん……事情があってのことなんですよね?」
「君がここに来てしまった以上、説明はするよ。カナタ、メールを送るから」
鍵を開けて、荒木邸の玄関をくぐり抜けていく彼をただ見守ることしかできなかった。
頭上を見上げると二階の窓が開いている。わずかに開いたカーテンの隙間に人影が見えた気がしたが、瞬きをすると窓辺の影は消えていた。
その後、どうするかについて話し合ったすえに、僕とカナタさんは紛糾した。
カナタさんは梁間さんが荒木邸から出てくるまで張り込むと決めて、頑として動こうとしない。
近所の人に見咎められる可能性や、梁間さんの動向が不安だった僕としては、彼女に賛同できなかったのだ。説得を試みたが失敗し、一時休戦として、僕はカナタさんをその場に残して売店まで飲み物を調達に出かけた。
思いつめているカナタさんをひとり放っておくのはやや心配ではあったが、照りつける日差しの下で何時間も張り込むのはきびしいだろう。
せめて水分補給だけでも徹底して、憂いのないようにしておきたい。
カナタさんと別れた後、一度、椎堂さんに相談をしようかと検討していたとき。
スマートフォンに連絡が入った。知らない番号からだ。
電話に出てみると、
「九遠堂の人だね? 僕だ。栗林カナタ抜きで会いたい」
梁間さんからだ。
どのようにして僕の電話番号を入手したのかは疑問を覚えるところだが、深く追求するはあとだ。
「いますぐですか? カナタさんに見つからず、荒木さんのお宅からは出られそうなんですか?」
「難しいね。とはいえ、この暑さで彼女が倒れるのは避けたい。今日のところはお引き取りしてもらいたいのが本音だな」
「説得してみます。確約はしませんが、善処はしますよ」
「頼むよ。面会については、夕方五時に英城大学西門の向かい、喫茶ボン・ボヤージュで」
そして一方的に通話が途切れた。
コンビニから戻る。と、面を食らった。
カナタさんが荒木邸の前の道路でうずくまっていたのだ。炎天下のなか早くも体力限界がきてしまったのかもしれない。急いで駆けつける。
「大丈夫ですか?!」
案の定、カナタさんはぐったりと疲れ果てた顔をしていた。
言わんこっちゃない。熱を吸収しやすい黒い布地ばかり身につけていたせいだろう。
「梁間さん……。やっと会えたのに」
「まだ一時間程度とはいえ、疲れたでしょう。この日差しではすぐに熱中症になるのが関の山です。今日は出直しましょう」
「うん……。あたし、梁間さんのこと信じていんだよね?」
彼女の質問に、僕はうまい切り返しをみつけられなかった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる