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優未

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「サフィール?」

うっすらと感じる魔力に思わず彼の名前を口にする。しかし、目の前に現れた人物は全くの別人だった。

「失礼しました。あなたは…」

「シオン・ルドベキアだ」

「あぁ魔法騎士の」

「私のことを」

「あなたは有名人ですもの」

「先ほど別の名前で呼ばれたが」

「私、魔法は使えないんですけど、人それぞれがもつ魔力の違いは認識できるんです。この部屋に近付いてくるあなたの魔力が少しだけ似ていたものですから」

「その能力のことは誰にも言わないほうがいい」

「もうあなた以外と話す機会はなさそうですよ」

そんなことを言ったせいだろうか。彼は少しだけ私の話に付き合ってくれた。きっと優しい人なのだろう。とても悲しそうな顔をしていた。それがサフィールの表情と少しだけ重なって見えた。国随一の魔力量を誇ると言われる彼は、側にいるだけでその魔力に包まれているような気分になる。まるでサフィールに抱きしめられているような心地のまま、私は目を閉じた。


牢での会話を思い出したと同時に、違和感に気付いた。

「あなた、体調が悪かったりする?」

「至って健康だ」

「でも魔力が薄いというのかしら。ほらあなたって国で1番の魔力量保持者だって聞いたから。そういう人ってもっと魔力が濃いものなのよ」

「君に隠し事はできないな。前の任務で少し無理をしてしまってね。仕事も調整してもらっている。日常生活に影響はない」

「ならよかった。きっと1年もあれば元に戻るわ」

最期に会った時の彼の魔力の濃さを思い出す。きっと時間が解決してくれるだろう。もしかすると巻き戻る前は隣国に遠征していたのではなく、魔力量の減少で療養中だったのかもしれない。職務上言えないことも多そうだ。表向きの理由が用意されているに違いない。

「このまま戻らなくてもいいかもしれないな」

「どうして?」

「君と過ごす時間が増えるだろ?」
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