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「会えるわけないわね。それに会えても捕まるだけだし」
転移石で逃げ場所に選んだのはサフィールの家だった。カルミエ殿下も名前を出していたくらいだ。父を裁くのに忙しくて帰る時間もないのだろう。時が巻き戻る前に少しだけ暮らしていたこの家は、何日も外に出ていないにも関わらず何不自由なく生活できる環境が整っている。しかし、いつまでもこの家に居続けるわけにもいかない。次はどこへ行こうか思案していると、玄関の扉が開く音がした。
玄関ホールに向かうと、よく知った男の姿があった。
「…サフィール」
「リナリア、会いたかった」
巻き戻ってからサフィールに会ったことはない。それなのに会いたかった?頭に疑問符を浮かべていると、目の前の男の姿も魔力も変化した。
「まさか婚約者のいる身で他の男の家にいるだなんて」
「シオン!?」
「言ったはずだ、必ず迎えに行くと」
「どうやってここが」
「その指輪外せなかっただろう。私の魔力が込められているから位置の特定など容易い」
私は左の薬指を眺める。確かにシオンの魔力を感じる。
「どうしてサフィールの姿で?それよりお父様は」
「お父上の冤罪は晴れた。職務上伝えられないことは多いが、エンレ殿下からも許可を得ているから多少口をすべらすことはできる。サフィールは魔法で姿を変えた私だ」
「だから魔力が似て」
「それよりも、サフィールの姿で君に会うのは初めてのはずだ。…君にも記憶が?」
「サフィールの婚約者として過ごしていたら、父と共に国家反逆罪で捕まってそのまま…それで気が付いたら時が巻き戻っていたの」
私が巻き戻りに気が付いてから取った行動を話したからか、言える範囲でシオンも自分のことを伝えてくれた。お父様が文官ではなく魔術医で彼の命の恩人だなんて知らなかった。
「先生も自宅へ戻られている。これから2人で会いに行こう。それと長期休暇をもらったから式を挙げて旅行に行こう」
「シオンって結構強引よね」
「嫌か?」
「……好き」
リナリアが記憶を持っていたのは、おそらく死の間際まで私の魔力を浴びていた影響だろう。術の発動に巻き込まれたに違いない。彼女と交流を深めるたび記憶が戻っていったのも、先生の言う”恋の力”だけではなさそうだ。また彼女を巻き込んでしまったと悔みもしたが、”嫌な夢”のおかげで先手を打つこともでき、こうして大切な2人を守り抜けた。
「大事な一人娘と結婚するなんて許さんって言うつもりだったんだけどね」
「…お父様」
「シオンなら安心だ。僕も嬉しいよ」
「大切にします」
魔法騎士はどこにも所属を持たない。家族や仕事仲間はいてもどこかで自分は1人で生きていくものだと思っていた。そんな自分がただのシオン・ルドベキアとしていられる場所をようやく見つけられた気がした。リナリアとデュランテ、クレマチス親子に私は救われた。
「リナリア」
ベールを上げ、彼女にキスをする。
「愛してる」
転移石で逃げ場所に選んだのはサフィールの家だった。カルミエ殿下も名前を出していたくらいだ。父を裁くのに忙しくて帰る時間もないのだろう。時が巻き戻る前に少しだけ暮らしていたこの家は、何日も外に出ていないにも関わらず何不自由なく生活できる環境が整っている。しかし、いつまでもこの家に居続けるわけにもいかない。次はどこへ行こうか思案していると、玄関の扉が開く音がした。
玄関ホールに向かうと、よく知った男の姿があった。
「…サフィール」
「リナリア、会いたかった」
巻き戻ってからサフィールに会ったことはない。それなのに会いたかった?頭に疑問符を浮かべていると、目の前の男の姿も魔力も変化した。
「まさか婚約者のいる身で他の男の家にいるだなんて」
「シオン!?」
「言ったはずだ、必ず迎えに行くと」
「どうやってここが」
「その指輪外せなかっただろう。私の魔力が込められているから位置の特定など容易い」
私は左の薬指を眺める。確かにシオンの魔力を感じる。
「どうしてサフィールの姿で?それよりお父様は」
「お父上の冤罪は晴れた。職務上伝えられないことは多いが、エンレ殿下からも許可を得ているから多少口をすべらすことはできる。サフィールは魔法で姿を変えた私だ」
「だから魔力が似て」
「それよりも、サフィールの姿で君に会うのは初めてのはずだ。…君にも記憶が?」
「サフィールの婚約者として過ごしていたら、父と共に国家反逆罪で捕まってそのまま…それで気が付いたら時が巻き戻っていたの」
私が巻き戻りに気が付いてから取った行動を話したからか、言える範囲でシオンも自分のことを伝えてくれた。お父様が文官ではなく魔術医で彼の命の恩人だなんて知らなかった。
「先生も自宅へ戻られている。これから2人で会いに行こう。それと長期休暇をもらったから式を挙げて旅行に行こう」
「シオンって結構強引よね」
「嫌か?」
「……好き」
リナリアが記憶を持っていたのは、おそらく死の間際まで私の魔力を浴びていた影響だろう。術の発動に巻き込まれたに違いない。彼女と交流を深めるたび記憶が戻っていったのも、先生の言う”恋の力”だけではなさそうだ。また彼女を巻き込んでしまったと悔みもしたが、”嫌な夢”のおかげで先手を打つこともでき、こうして大切な2人を守り抜けた。
「大事な一人娘と結婚するなんて許さんって言うつもりだったんだけどね」
「…お父様」
「シオンなら安心だ。僕も嬉しいよ」
「大切にします」
魔法騎士はどこにも所属を持たない。家族や仕事仲間はいてもどこかで自分は1人で生きていくものだと思っていた。そんな自分がただのシオン・ルドベキアとしていられる場所をようやく見つけられた気がした。リナリアとデュランテ、クレマチス親子に私は救われた。
「リナリア」
ベールを上げ、彼女にキスをする。
「愛してる」
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