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第四十二話 過去の出来事
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ドアがいきなり開かれると、中には数人の神官服
の男達が蹲って居た。
腕を縛られ逃げられないようにされて居たのだっ
た。
「大丈夫ですか?助けに来ました。俺らは勇者の
連れで、ここに囚われている神官を助け出して
欲しいと言われて来たんです」
いきなり嘘を吐くと、安心させるように依頼され
たのだと言った。
「それは……ありがたい」
「教皇様の導きか、いや、女神様のご慈悲だろう」
口々に縄を解くと神に祈りを捧げ出したのだった。
「今は時間がないのです。すぐに逃げてください。
一緒に来た者が西側から騒ぎを起こして居ます。
今ならこちらの通路を通って逃げられるはずです」
「あぁ、ありがたい。無事に逃げ延びたなら、ぜひ
お礼をさせていただきたい」
「あぁ、俺はあんた達にとある呪いを解いてもら
いたいんでね。絶対に無事に逃すから付いてきて
ください」
そう言うと、俺はモンドと別れた。
モンドは当初の予定通りに玉座の間へと向かう。
だが、俺はこの神官達を連れて外へと通じる抜け
道へと向かったのだった。
「こちらです。ここをまっすぐにいくと、俺らが
侵入に使った抜け道に出ます。開けた場所の奥
の井戸があり、そこに梯子がかかっているので、
そこを降りてまっすぐ行くと隣の村井戸につな
がっています。そこで待って居てください。あ
とは教会までお送りしますから」
「何から何まで、感謝いたします」
確かこの中の一人がすごい神聖力を持った神官だ
ったはずだ。
レイネの師匠に当たる人だと誠治に話していたの
を盗み聞きした記憶があるからだった。
過去の俺はこいつらをその場に放置した事で、彼
らを死なせてしまったのだ。
「よし、今回は死なせなくてよかった…」
誠治のように人助けを主としてはいないせいか目
の前の敵しか見えて居なかったのだ。
今なら、どう動くべきかわかる。
俺らが攻め入って来た時、王はすぐに逃げる準備
をして居たのだ。
そして、魔族に裏切られた王は裏手の山に逃げ込
んだのだ。
そこで魔物に襲われて護衛と共に、次の日に死体
で発見されたのだ。
俺は、すぐに城を出ると森の奥へと探しにいく。
モンドにも知らせたかったが、説明が出来ない。
そもそも、過去を知っているので、森へ逃げたの
だと言っても、誰も信じないだろう。
俺はたった一人で行動するしかなかったのだった。
ここは魔物もいるので、警戒しながら探さなけれ
ばならない。
迂闊に声をあげようものなら、魔物を引き寄せて
しまうからだ。
だが、そんな事は心配する必要はなかったらしい。
少し離れた場所で怒鳴り声が聞こえたからだ。
「おい、いい加減にしろ!お前達が不甲斐ない
からあんな勇者如きに城を攻め落とされる事
になるんだ!たかだか若造がっ…忌々しい」
声の主は、この国の国王だった。
生きたまま捕まえられるならそれに越した事は
ないからだ。
そっと影に隠れながら様子を見る事にする。
今出て行っても、護衛の騎士と戦う事になり
そうだからだ。
王が死んだ原因は確か魔物の襲撃だったはず
だ。
見つかった時には、身体中食い荒らされて、
衣服もボロボロでただの残骸としか判別でき
ない状態だった。
それでも国王だと判断した理由は身に着けて
いた装飾品だったと聞いた。
「おい。そこのお前!服を脱げ。」
「それではお守りできかねます」
「いいから、わしの言う事を聞け!それと、他
の者はついて来い」
少し太めのがっしりした騎士の服を脱がせると
王は自分の服と取り替えたのだった。
「これも身につけておけ」
「ですが。これは……」
「いいから、それから後ろを向いておれ」
「はい……我が王の命ならば……」
騎士が後ろを向いた瞬間。
他の騎士の剣先がその騎士の身体へと突き刺さっ
ていく。
無残に貫かれた騎士はその場に横たわったのだっ
た。
「これは……嘘だろ……」
俺の今見ている光景は、過去でもあった事だろう。
となると、王は生きている?
そう思われた時、血の匂いに誘われてきたのか
ワーウルフが姿を見せたのだった。
ワーウルフは俊敏性に優れた魔物で、機動力であ
る足さえ奪ってしまえば、楽に勝てる相手だ。
俺ならもちろん、足元を鈍らせるのだが……。
はて、騎士の中に魔法が使える者がいるのだろう
か?
ここはじっくり観察する事にした。
王を取り囲むように騎士達が陣形を組んだ。
まぁ、護る対象がいればそうならざるを得ないだ
ろう。
だが。ここでこの陣形は悪手としか言えない。
そもそも、俊敏性の高い魔物相手に護りの姿勢で
は一向に倒せないのだ。
だからと言って、盾を持っているのならまだしも
剣だけの騎士ばかりでは、無意味と言えたのだっ
た。
の男達が蹲って居た。
腕を縛られ逃げられないようにされて居たのだっ
た。
「大丈夫ですか?助けに来ました。俺らは勇者の
連れで、ここに囚われている神官を助け出して
欲しいと言われて来たんです」
いきなり嘘を吐くと、安心させるように依頼され
たのだと言った。
「それは……ありがたい」
「教皇様の導きか、いや、女神様のご慈悲だろう」
口々に縄を解くと神に祈りを捧げ出したのだった。
「今は時間がないのです。すぐに逃げてください。
一緒に来た者が西側から騒ぎを起こして居ます。
今ならこちらの通路を通って逃げられるはずです」
「あぁ、ありがたい。無事に逃げ延びたなら、ぜひ
お礼をさせていただきたい」
「あぁ、俺はあんた達にとある呪いを解いてもら
いたいんでね。絶対に無事に逃すから付いてきて
ください」
そう言うと、俺はモンドと別れた。
モンドは当初の予定通りに玉座の間へと向かう。
だが、俺はこの神官達を連れて外へと通じる抜け
道へと向かったのだった。
「こちらです。ここをまっすぐにいくと、俺らが
侵入に使った抜け道に出ます。開けた場所の奥
の井戸があり、そこに梯子がかかっているので、
そこを降りてまっすぐ行くと隣の村井戸につな
がっています。そこで待って居てください。あ
とは教会までお送りしますから」
「何から何まで、感謝いたします」
確かこの中の一人がすごい神聖力を持った神官だ
ったはずだ。
レイネの師匠に当たる人だと誠治に話していたの
を盗み聞きした記憶があるからだった。
過去の俺はこいつらをその場に放置した事で、彼
らを死なせてしまったのだ。
「よし、今回は死なせなくてよかった…」
誠治のように人助けを主としてはいないせいか目
の前の敵しか見えて居なかったのだ。
今なら、どう動くべきかわかる。
俺らが攻め入って来た時、王はすぐに逃げる準備
をして居たのだ。
そして、魔族に裏切られた王は裏手の山に逃げ込
んだのだ。
そこで魔物に襲われて護衛と共に、次の日に死体
で発見されたのだ。
俺は、すぐに城を出ると森の奥へと探しにいく。
モンドにも知らせたかったが、説明が出来ない。
そもそも、過去を知っているので、森へ逃げたの
だと言っても、誰も信じないだろう。
俺はたった一人で行動するしかなかったのだった。
ここは魔物もいるので、警戒しながら探さなけれ
ばならない。
迂闊に声をあげようものなら、魔物を引き寄せて
しまうからだ。
だが、そんな事は心配する必要はなかったらしい。
少し離れた場所で怒鳴り声が聞こえたからだ。
「おい、いい加減にしろ!お前達が不甲斐ない
からあんな勇者如きに城を攻め落とされる事
になるんだ!たかだか若造がっ…忌々しい」
声の主は、この国の国王だった。
生きたまま捕まえられるならそれに越した事は
ないからだ。
そっと影に隠れながら様子を見る事にする。
今出て行っても、護衛の騎士と戦う事になり
そうだからだ。
王が死んだ原因は確か魔物の襲撃だったはず
だ。
見つかった時には、身体中食い荒らされて、
衣服もボロボロでただの残骸としか判別でき
ない状態だった。
それでも国王だと判断した理由は身に着けて
いた装飾品だったと聞いた。
「おい。そこのお前!服を脱げ。」
「それではお守りできかねます」
「いいから、わしの言う事を聞け!それと、他
の者はついて来い」
少し太めのがっしりした騎士の服を脱がせると
王は自分の服と取り替えたのだった。
「これも身につけておけ」
「ですが。これは……」
「いいから、それから後ろを向いておれ」
「はい……我が王の命ならば……」
騎士が後ろを向いた瞬間。
他の騎士の剣先がその騎士の身体へと突き刺さっ
ていく。
無残に貫かれた騎士はその場に横たわったのだっ
た。
「これは……嘘だろ……」
俺の今見ている光景は、過去でもあった事だろう。
となると、王は生きている?
そう思われた時、血の匂いに誘われてきたのか
ワーウルフが姿を見せたのだった。
ワーウルフは俊敏性に優れた魔物で、機動力であ
る足さえ奪ってしまえば、楽に勝てる相手だ。
俺ならもちろん、足元を鈍らせるのだが……。
はて、騎士の中に魔法が使える者がいるのだろう
か?
ここはじっくり観察する事にした。
王を取り囲むように騎士達が陣形を組んだ。
まぁ、護る対象がいればそうならざるを得ないだ
ろう。
だが。ここでこの陣形は悪手としか言えない。
そもそも、俊敏性の高い魔物相手に護りの姿勢で
は一向に倒せないのだ。
だからと言って、盾を持っているのならまだしも
剣だけの騎士ばかりでは、無意味と言えたのだっ
た。
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