俺がモテない理由

秋元智也

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第五十八話 母親の死体のそばで

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俺はレイネとは相性が悪いらしい。

前回は、レイネを気遣って居た事もあった。
だが、レイネは聖女でありながら、勇者の誠治
にしか興味がないのだ。

回復も誠治が中心で、その他の俺やモンドには
よっぽどかけない。

それを何度も口論になったが、変える気はない
らしい。

それから、俺は自分でポーションを作る為にと
錬金術にハマったのだ。

部屋に戻ると、数個分の回復ポーションを作る
と鞄に押し込んだ。

このエクサレルという街は前に海、後ろに険し
い山に挟まれるような環境に置かれている。

ただ、そのおかげで山の幸や、海の幸が豊富で
それを目当てに来る観光気分の貴族が多く訪れ
る事で有名だ。

そんな観光をメインにしている街が、実は危険
な場所だとなれば、観光客が減り街の産業も廃
れてしまう。

一年のうちで、この時期にだけ見られるユニコ
ーンという魔物も、この街の強みだった。

ユニコーンはツノの生えた馬というわかりやす
い外見をしている。
黄金のたてがみは、見るものを幸せにするとい
う謂れがあった。

しかし、反面で危険な要素も含まれて居た。

処女に惹かれる傾向にあり、非処女には攻撃的
になるのだ。

その為、結婚前に彼女と一緒に見られると一生
幸せになるという迷信が産まれた。
実際は、彼女が処女かを知る為の口実になって
いたのだった。

「それにしても、あの時の子馬だよな?」
「そうだね。まだ大人というには小さかったし、
 ポニーくらいかな?それなのに魔力が多かっ
 たって事かな?」
「あぁ、流石にビビったよ。誠治も?」
「いや、なんか凄い殺気を感じてさ」
「だよな~やっぱり相手は密猟者だと思うか?」
「……どうかな……」

まずは、あの子の親を探さなければならない。
何から逃げて来たのかを知れば、きっと変わる
だろう。
まずは、昨日出会った場所へと向かうと歩いて
来た方向を探すことにしたのだった。

あんなにボロボロになってまで逃げて来たのな
らそれなりの状況だったのだろう。

「これ、あの子の血痕じゃないか?」

葉っぱの所々に赤黒い色が付いて居た。

「これをたどっていけば……」
「そうだね、たどって行ってみようか」

俺達は、あの小さなユニコーンが逃げてきたで
あろう森の奥へと足を踏み入れたのだった。

昨日だったせいか、まだ血の跡を追うことが出
来そうだった。

「もっと奥に続いてるなぁ~」
「そうだね。なんか水の音が聞こえないか?」

誠治の言葉に、疲れてきたレイネは耳を澄ませ
ると、少し元気が出たようだった。

「水の落ちる音………この近くに滝があるんで
 すわっ!少し休憩しましょ」
「それもいいだろう。勇者も陸もそれでいいだ
 ろうか?」
「あぁ」
「勿論だよ。僕は疲れを知らないから、休憩は
 しっかり取らないとね。レイネ、教えてくれ
 てありがとう」
「そんな……勇者様も休憩は必要ですわ」

照れるレイネを無視して俺は水音がする方へと
向かった。

ひらけた場所の向こうに大きな水の落ちる滝壺
が見えた。
絶景とはこの事を言うのだろう。

「いい眺めだな……」
「そうだね。陸もこう言う景色は好きそうだね」
「まぁ……そりゃな………ん?」

そういいながら下を眺めた瞬間、言葉を失った。

「おい、降りるぞ」
「陸?」
「すぐにこの下に降りるんだ」
「何かあったの?……なるほど、休憩は後かな」

誠治も陸に続いて眺めると、俺の言っている事
を即座に理解したのだった。

レイネだけは、この景色のいい場所で休憩した
かったらしい。

が、それどころでは無くなったのだ。
滝壺の下を見たところで俺はあるものに気づい
た。
下に横たわる馬のような身体。
その横で、うろうろしている小さな子馬。

昨日あった子馬だろう。
と言う事は、その横で寝そべっているのが親な
のだろう。

ここから見ても血まみれなので近くで見たら
もっと酷いだろう。

少し遠回りをしながら降りていくと、ツノを剥
ぎ取られた状態の死体を発見したのだった。

そばには昨日会った子馬が寄り添っている。

「もう……ておくれ……だな」
「そうだね……」

俺が側によると、警戒心を見せたがすぐに昨日
の事を思い出したのか、ゆっくり近づいてきた
のだった。


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