4 / 75
4話 他人からの評価
しおりを挟む
水城歩夢は放課後、担任に呼び出しを受けていた。
「はぁ~……」
「どうした?今朝の事か?」
「あぁ、帰りに呼び出しだってさ……ちょっと遅刻
しただけなのになぁ~」
「そうだよな~、俺もよく遅刻するけど水城は一発
で呼び出しかよ?」
「だよな…………」
理由はなんとなく分かっている。
きっと警察から学校に連絡でも言ったのだろう。
あまり目立つ事はしたくなかった。
なのに……。
それでも朝の事は後悔などしていない。
誰かが困っていて、その声が自分にしか聞こえな
いとなればそれを放かっては置けなかったからだ。
憂鬱な気持ちで職員室へと行くとそのまま担任に
手招きされるように校長室へ招かれたのだった。
「あの……今日の遅刻は……」
「よくやってくれたよ!我が校の誇りだよ!痴漢
を撃退したと聞いたぞ?」
「あ、それですか……ですが、本当に撃退したの
は僕ではなく別の方で……」
「そんな事はどうでもいいんだよ。うちの生徒が
率先して撃退したと言う事が大事なんだよ!」
『まさか警察から電話が来た時は驚いたが、実に
いい事だ学級新聞にでも取り上げさせればいい
だろう。』
「あの…僕は目立ちたくないので、誰にも言わな
いで欲しいんです」
「それはなぜかな?いい事をしたんだぞ?」
『チッ、せっかく大々的に褒めてやると言うのに』
「いえ、あの……そう言うのってあまり騒がない方
がいいと思うんです。被害者もきっと騒がれたく
ないと思うから」
一応説得すると、匿名で生徒が痴漢撃退したと言う
事を学級新聞に載せることで手を打ったのだった。
下駄箱前で待っててくれた綾野が、話しかけてきた。
「よう!どうだった?」
「うん、ちょっと怒られた感じ?」
「マジかー!いつも真面目なのにな~。そうだ!
このままカラオケ行かね?元気のない水城に今
日は俺が奢るぞ!」
気を利かせてくれるこの友人にはいつも励まされ
ている気がする。
裏表がない分、一緒にいて楽しいのだ。
「1時間だけ……行こっかな」
「決まりだな!行こうぜ!」
カラオケが終わると、買い物をしてから家に帰っ
てきた。
すぐに2階へと上がると洗濯物を取り入れて畳む
とそのまま風呂場に置いておく。
先程ラインに父親から早く帰ると返信があった。
米を炊いて、そのままおかずを作り始める。
ちょうど帰ってきた妹の美咲がキッチンに顔を
出した。
「ただいま~、今日のご飯はな~に?お腹ぺこ
ぺこ~」
「すぐに出来るから手を洗ってから皿出して」
「なんかお兄ちゃんってお母さんみたい~」
その言葉にドンッとフライパンを置くと、すぐ
に手を洗いに洗面所へと向かっていった。
母親さえいれば……歩夢がこんな事しなくても
いいはずだった。
受験生でありながら、家の家事までこなしてい
ては息をつく暇もない。
こんな事好きでやっているわけではない。
勉強だってわからない事だって多いのだ。
本当なら塾にだって行きたいし、もっと上の
大学へ行きたい。
でも、そんな時間さえもないのだった。
「はぁ~……」
「どうした?今朝の事か?」
「あぁ、帰りに呼び出しだってさ……ちょっと遅刻
しただけなのになぁ~」
「そうだよな~、俺もよく遅刻するけど水城は一発
で呼び出しかよ?」
「だよな…………」
理由はなんとなく分かっている。
きっと警察から学校に連絡でも言ったのだろう。
あまり目立つ事はしたくなかった。
なのに……。
それでも朝の事は後悔などしていない。
誰かが困っていて、その声が自分にしか聞こえな
いとなればそれを放かっては置けなかったからだ。
憂鬱な気持ちで職員室へと行くとそのまま担任に
手招きされるように校長室へ招かれたのだった。
「あの……今日の遅刻は……」
「よくやってくれたよ!我が校の誇りだよ!痴漢
を撃退したと聞いたぞ?」
「あ、それですか……ですが、本当に撃退したの
は僕ではなく別の方で……」
「そんな事はどうでもいいんだよ。うちの生徒が
率先して撃退したと言う事が大事なんだよ!」
『まさか警察から電話が来た時は驚いたが、実に
いい事だ学級新聞にでも取り上げさせればいい
だろう。』
「あの…僕は目立ちたくないので、誰にも言わな
いで欲しいんです」
「それはなぜかな?いい事をしたんだぞ?」
『チッ、せっかく大々的に褒めてやると言うのに』
「いえ、あの……そう言うのってあまり騒がない方
がいいと思うんです。被害者もきっと騒がれたく
ないと思うから」
一応説得すると、匿名で生徒が痴漢撃退したと言う
事を学級新聞に載せることで手を打ったのだった。
下駄箱前で待っててくれた綾野が、話しかけてきた。
「よう!どうだった?」
「うん、ちょっと怒られた感じ?」
「マジかー!いつも真面目なのにな~。そうだ!
このままカラオケ行かね?元気のない水城に今
日は俺が奢るぞ!」
気を利かせてくれるこの友人にはいつも励まされ
ている気がする。
裏表がない分、一緒にいて楽しいのだ。
「1時間だけ……行こっかな」
「決まりだな!行こうぜ!」
カラオケが終わると、買い物をしてから家に帰っ
てきた。
すぐに2階へと上がると洗濯物を取り入れて畳む
とそのまま風呂場に置いておく。
先程ラインに父親から早く帰ると返信があった。
米を炊いて、そのままおかずを作り始める。
ちょうど帰ってきた妹の美咲がキッチンに顔を
出した。
「ただいま~、今日のご飯はな~に?お腹ぺこ
ぺこ~」
「すぐに出来るから手を洗ってから皿出して」
「なんかお兄ちゃんってお母さんみたい~」
その言葉にドンッとフライパンを置くと、すぐ
に手を洗いに洗面所へと向かっていった。
母親さえいれば……歩夢がこんな事しなくても
いいはずだった。
受験生でありながら、家の家事までこなしてい
ては息をつく暇もない。
こんな事好きでやっているわけではない。
勉強だってわからない事だって多いのだ。
本当なら塾にだって行きたいし、もっと上の
大学へ行きたい。
でも、そんな時間さえもないのだった。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
【完結】恋愛初学者の僕、完璧すぎる幼馴染に「恋」を学ぶ
鳥羽ミワ
BL
志村春希は高校二年生で、同い年の幼馴染・須藤涼太のことが大好き。その仲良しぶりといったら、お互い「リョウちゃん」「ハルくん」と呼び合うほどだ。
勉強が好きな春希には、どうしてもひとつだけ、全く理解できないことがあった。それは、恋心。学年一位の天才でもある涼太にそのもどかしさを愚痴ったら、「恋」を教えようかと提案される。
仮初の恋人になる二人だけど、春希が恋を知ったら、幼馴染の友達同士のままではいられない。慌てる春希に「パラダイムシフトを起こそうよ」と提案する涼太。手を重ねて、耳元で囁く涼太。水族館デートに誘う涼太。あまあまに迫られて、恋愛初学者の春希が陥落しないはずもなく……。
恋を知ったら友達でいられない。でもこの思いは止められない。
葛藤する春希の隣で涼太だけが、この関係は両片思いだと知っていた。
幼馴染の溺愛恋愛ケーススタディ、開幕! 最後はもちろんハッピーエンド!
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうへ投稿しています
小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
『聖クロノア学院恋愛譚 』記憶を失ったベータと王族アルファ、封印された過去が愛を試すまで
るみ乃。
BL
聖クロノア学院で、記憶と感情が静かに交差する。
「君の中の、まだ知らない“俺”に、触れたかった」
記憶を失ったベータの少年・ユリス。
彼の前に現れたのは、王族の血を引くアルファ・レオンだった。
封じられた記憶。
拭いきれない心の傷。
噛み合わない言葉と、すれ違う想い。
謎に包まれた聖クロノア学院のなかで、
ふたりの距離は、近づいては揺れ、また離れていく。
触れたいのに、触れられない。
心を開けば、過去が崩れてしまう。
それでも彼らは、確かめずにはいられなかった。
――やがて、学院の奥底に眠る真実が、静かに目を覚ます。
過去と向き合い、誰かと繋がることでしか見えない未来がある。
許し、選びなおし、そしてささやかな祈り。
孤独だった少年たちは、いつしか「願い」を知っていく。
これは、ふたりの愛の物語であると同時に、
誰かの傷が、誰かの救いへと変わっていく物語。
運命に抗うのは、誰か。
未来を選ぶのは、誰なのか。
優しさと痛みが交差する場所で、物語は紡がれる。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる