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30話 やっぱり聞こえて
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郁也は、歩夢の方から一緒にお風呂のお誘いを
受けて、上機嫌だった。
いっそ銭湯のような大きな浴槽へ行こうと思っ
て提案したら乗ってきてくれた。
これほど嬉しい日はない。
いつも距離を感じた歩夢がだ、自分から誘って
きたのだ。
喜び勇んで近所の銭湯にやってきた。
背中を洗い合うと、湯船に浸かった。
サウナへと無理矢理誘うと、暑いのが苦手なの
か、すぐに出ようとしたので、引き留めた。
その際に、抱きしめた腕の中の歩夢は予想より
柔らかく触り心地も悪くなかった。
タオルが落ちるというアクシデントがあったせ
いで間近で見ることができた。
が、どうにも腑に落ちない事があった。
ただ、思っただけの事にすぐに歩夢が反応した
事だった。
問いただそうと腕を伸ばした先でいきなり倒れ
るのを再び受け止めたのだった。
長居しすぎたのだろう。
湯当たりを起こしていた。
抱き上げると、脱衣所へと運んできた。
タオルを濡らして額に置く。
さっきの事を聞くのはまた後日にした方がいい
かもしれない。
目を覚ました歩夢に服を着せると有無も言わさ
ず抱き抱えたのだった。
「ちょっ、歩けるから、おろして下さいっ!」
「あんなにフラフラだったのに?家はすぐそこ
だしいいよ、俺が責任持って運ぶよ。それと
も……」
『これ以上騒ぐようならキスして口を塞ぐけど
いい?』
「っ…………」
「…………」
『やっぱり黙るんだね……帰ったら反省しても
らうから』
「なっ……」
さっきのキスが効いたのか、それともお仕置き
という言葉に反応したのか。
おとなしくなった事には変わりなかった。
これではっきりした。
歩夢は考えた言葉が分かるらしい。
それがどうしてなのかは分からないが、考えて
いた事が丸聞こえだった事を考えると納得がい
く。
この前、好きだと口走った事に何にも反応しな
かったのはいつも心の中では言いたい放題言っ
ていたので、それと勘違いしたと考えるべきだ
ろう。
そして、人の好意に鈍感だという事だった。
あまりにも鈍感過ぎる。
郁也が好みではなかったからだろうか?
それにしてはいつも照れくさそうに見てくる時
があった。
一体どういう感情を持っているのだろう。
家に帰ると部屋まで抱き上げたまま運んだ。
部屋に入るとベッドの上に下ろす。
「横になるか?」
「別に……平気……ありがとう」
「うん、素直でいい子は好きだぞ」
『可愛い歩夢が俺は好きだ。愛してるよ』
「なにっ……を……」
真っ赤になってこっちを見たところで唇を逃す
事なく重ねた。
一瞬の事だったせいか、固まってしまった歩夢
をゆっくり味わうように舌を絡めた。
「ンッ……!」
「ご馳走様」
『今度は歩夢をもっと味合わせてくれよ』
郁也の言葉に、呆気に取られていると早々に出
て行ってしまったのだった。
受けて、上機嫌だった。
いっそ銭湯のような大きな浴槽へ行こうと思っ
て提案したら乗ってきてくれた。
これほど嬉しい日はない。
いつも距離を感じた歩夢がだ、自分から誘って
きたのだ。
喜び勇んで近所の銭湯にやってきた。
背中を洗い合うと、湯船に浸かった。
サウナへと無理矢理誘うと、暑いのが苦手なの
か、すぐに出ようとしたので、引き留めた。
その際に、抱きしめた腕の中の歩夢は予想より
柔らかく触り心地も悪くなかった。
タオルが落ちるというアクシデントがあったせ
いで間近で見ることができた。
が、どうにも腑に落ちない事があった。
ただ、思っただけの事にすぐに歩夢が反応した
事だった。
問いただそうと腕を伸ばした先でいきなり倒れ
るのを再び受け止めたのだった。
長居しすぎたのだろう。
湯当たりを起こしていた。
抱き上げると、脱衣所へと運んできた。
タオルを濡らして額に置く。
さっきの事を聞くのはまた後日にした方がいい
かもしれない。
目を覚ました歩夢に服を着せると有無も言わさ
ず抱き抱えたのだった。
「ちょっ、歩けるから、おろして下さいっ!」
「あんなにフラフラだったのに?家はすぐそこ
だしいいよ、俺が責任持って運ぶよ。それと
も……」
『これ以上騒ぐようならキスして口を塞ぐけど
いい?』
「っ…………」
「…………」
『やっぱり黙るんだね……帰ったら反省しても
らうから』
「なっ……」
さっきのキスが効いたのか、それともお仕置き
という言葉に反応したのか。
おとなしくなった事には変わりなかった。
これではっきりした。
歩夢は考えた言葉が分かるらしい。
それがどうしてなのかは分からないが、考えて
いた事が丸聞こえだった事を考えると納得がい
く。
この前、好きだと口走った事に何にも反応しな
かったのはいつも心の中では言いたい放題言っ
ていたので、それと勘違いしたと考えるべきだ
ろう。
そして、人の好意に鈍感だという事だった。
あまりにも鈍感過ぎる。
郁也が好みではなかったからだろうか?
それにしてはいつも照れくさそうに見てくる時
があった。
一体どういう感情を持っているのだろう。
家に帰ると部屋まで抱き上げたまま運んだ。
部屋に入るとベッドの上に下ろす。
「横になるか?」
「別に……平気……ありがとう」
「うん、素直でいい子は好きだぞ」
『可愛い歩夢が俺は好きだ。愛してるよ』
「なにっ……を……」
真っ赤になってこっちを見たところで唇を逃す
事なく重ねた。
一瞬の事だったせいか、固まってしまった歩夢
をゆっくり味わうように舌を絡めた。
「ンッ……!」
「ご馳走様」
『今度は歩夢をもっと味合わせてくれよ』
郁也の言葉に、呆気に取られていると早々に出
て行ってしまったのだった。
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