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第五章
決闘イベントに向けて
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アゼル王子のゴリ押しを後ろ楯に、私に決闘を迫った男、イーリス。
私が規格外令嬢だという噂が出回り、他学年の生徒にも少し遠巻きにされてはいるけれど。それでも見かけだけは私も貴族令嬢だ。そしてウチの家系が軍閥で無いことも大半の人間は知っている。
そんな相手に、騎士団長の子息が決闘を迫った。
その噂は私の悪評以上に広まり、予想以上にイーリスの評判を落とし、またそれを後押しする王子のイメージにも悪影響を与えていた。
「おほほ、彼らも男の子ですから、自分で分かりやすく名誉挽回したかったのでしょう、おほほほほ」
とフォローしようにも前述の噂の影響で人が寄って来ない。
「ねぇ、これ勝つのと負けるの、どっちが良いかしら? ……それに私、体力や運動神経は一定の自信があるけど、剣術なんて習った事も無いのよ?」
これでも一応伯爵令嬢であるから、最低限身を守る方法位は教えられているが、基本“騎士に戦わせ時間を稼いで上手く逃げる方法”でしかない。
一対一の決闘では何ら役立たない。
「……にわかでも良いから取り敢えず格好つく程度に稽古を付けて頂戴」
勿論頼るのは我が家の影執事。
「……あの方も仕方の無い方で御座いますなぁ。お嬢様にも問題が無いとは言いませんが、あの方のなさり様は少々目に余ります。この大陸に居るうちはまだしも、正式に島にいらしてもあの態度ではどのような不幸が起こるか予測がつきません。主に釘を指しておきます」
そして、学内とは言え見世物となる以上は、貴族の面目を保つため、最低限剣を持って格好がつかなければならない、と、オリエンテーションの傍ら屋敷では影執事の鬼特訓に耐える日々。
……恨むぞ、アゼル王子。
剣なんか振り回してたらあっという間に手がぼろぼろになった。
正直美容なんか最低限の化粧以上の興味は無いし、働いてたら綺麗なお嬢様の手のままってのが無理なのは分かってる。
でもね、水仕事で荒れた手とは別物の傷付き方なんだよね。何度も皮膚が擦り切れて血が出て豆が出来て皮が厚くなる。
私が持ってるのは重たい騎士の剣ではなく、影が使う忍び刀で、刀身が短く軽く出来ている――とは言え、それは騎士剣との比較した場合の話。
結局金属の塊なのは変わらず、まだ子供で女の私には文字通り荷が重い。
「お嬢様、俺も少しは護身術を覚えたいので、一緒に頑張りましょう」
ってグレストが学校帰りに甘いものをお土産に買ってきてくれて、稽古にも付き合ってくれてるからまだ耐えられるけど。
……この恨み、決闘の場で全部イーリスにぶつけてやる!
私が規格外令嬢だという噂が出回り、他学年の生徒にも少し遠巻きにされてはいるけれど。それでも見かけだけは私も貴族令嬢だ。そしてウチの家系が軍閥で無いことも大半の人間は知っている。
そんな相手に、騎士団長の子息が決闘を迫った。
その噂は私の悪評以上に広まり、予想以上にイーリスの評判を落とし、またそれを後押しする王子のイメージにも悪影響を与えていた。
「おほほ、彼らも男の子ですから、自分で分かりやすく名誉挽回したかったのでしょう、おほほほほ」
とフォローしようにも前述の噂の影響で人が寄って来ない。
「ねぇ、これ勝つのと負けるの、どっちが良いかしら? ……それに私、体力や運動神経は一定の自信があるけど、剣術なんて習った事も無いのよ?」
これでも一応伯爵令嬢であるから、最低限身を守る方法位は教えられているが、基本“騎士に戦わせ時間を稼いで上手く逃げる方法”でしかない。
一対一の決闘では何ら役立たない。
「……にわかでも良いから取り敢えず格好つく程度に稽古を付けて頂戴」
勿論頼るのは我が家の影執事。
「……あの方も仕方の無い方で御座いますなぁ。お嬢様にも問題が無いとは言いませんが、あの方のなさり様は少々目に余ります。この大陸に居るうちはまだしも、正式に島にいらしてもあの態度ではどのような不幸が起こるか予測がつきません。主に釘を指しておきます」
そして、学内とは言え見世物となる以上は、貴族の面目を保つため、最低限剣を持って格好がつかなければならない、と、オリエンテーションの傍ら屋敷では影執事の鬼特訓に耐える日々。
……恨むぞ、アゼル王子。
剣なんか振り回してたらあっという間に手がぼろぼろになった。
正直美容なんか最低限の化粧以上の興味は無いし、働いてたら綺麗なお嬢様の手のままってのが無理なのは分かってる。
でもね、水仕事で荒れた手とは別物の傷付き方なんだよね。何度も皮膚が擦り切れて血が出て豆が出来て皮が厚くなる。
私が持ってるのは重たい騎士の剣ではなく、影が使う忍び刀で、刀身が短く軽く出来ている――とは言え、それは騎士剣との比較した場合の話。
結局金属の塊なのは変わらず、まだ子供で女の私には文字通り荷が重い。
「お嬢様、俺も少しは護身術を覚えたいので、一緒に頑張りましょう」
ってグレストが学校帰りに甘いものをお土産に買ってきてくれて、稽古にも付き合ってくれてるからまだ耐えられるけど。
……この恨み、決闘の場で全部イーリスにぶつけてやる!
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