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第五章
オリエンテーション最終日
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部活も決まった。
委員も決まった。
選択授業の科目も決まった。
そして、オリエンテーションが今日、終わる。
生徒達は本来ならこのまま下校――のはずが、急遽決まったイベントの為、学園内の武道館へ集められている。
普段は剣術の授業に使われる体育館なのだけど、たまに騎士団のスカウトがその様子を見に来たりするから、周囲に観客席が儲けられている。
装いは洋風ではあるけど、日本武道館の様な設えの建物だった。
そして私はイーリスと向かい合い、審判役のローデリヒを目の端に、“舞台”に立っていた。
「……貴様、そのおかしな剣は何だ?」
「これは忍び刀と言って、諜報役等をなさる方がお使いになる武器です。……確かに騎士様が一般に使う武器ではありませんが、暗殺者等は持っている可能性の高い武器です。王家に仕える武門の家の方がご存知で無いんですか?」
「……クッ、――しかし今は決闘の場だぞ! 何故その様な武器を持っている! 騎士剣はどうした!」
ああ。予想していたとは言え煩いなぁ。
「――まず、私は武門の家の出ではありません。しかも私は女。生まれてこの方剣術の稽古などした事はございません。その様な身では騎士剣は重すぎて持つ事も出来ませんでしたので。念のため審判のローデリヒ先生にお伺いしたところ、問題なしとお許しを得ていますので、少なくとも今回に限っては違反ではありませんよ」
「ええ。……本来騎士が、犯罪者でもない、守るべき婦女子に剣を向ける自体あり得ません。それを強引に決闘の舞台に引っ張り出したのです。武器の選択の自由くらいあって然るべきですよ。それでも剣以外の武器で無い分、きちんと決闘のルールに則ろうとした彼女を誉めるべきです」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ……!」
「はいはい、そろそろ試合を始めますよ。皆さん貴方の我が儘に付き合って下さってるんですから、貴重な時間をこれ以上無駄に浪費させるのはよろしくありませんよ?」
会場にアナウンスが流される。
一応形ばかりの私とイーリスの紹介と、この試合がイーリスから仕掛けた決闘である事が説明される。
……皆とっくに噂で知ってる事だから、本当に形式だけの無機質なアナウンスだ。
私達は審判のローデリヒの指示で規定の距離を取り、各々武器を構える。
ローデリヒは床に引かれた枠線から出てタイミングを見て――
「試合、開始!」
コールを告げる。
戦いの火蓋が切って落とされた。
委員も決まった。
選択授業の科目も決まった。
そして、オリエンテーションが今日、終わる。
生徒達は本来ならこのまま下校――のはずが、急遽決まったイベントの為、学園内の武道館へ集められている。
普段は剣術の授業に使われる体育館なのだけど、たまに騎士団のスカウトがその様子を見に来たりするから、周囲に観客席が儲けられている。
装いは洋風ではあるけど、日本武道館の様な設えの建物だった。
そして私はイーリスと向かい合い、審判役のローデリヒを目の端に、“舞台”に立っていた。
「……貴様、そのおかしな剣は何だ?」
「これは忍び刀と言って、諜報役等をなさる方がお使いになる武器です。……確かに騎士様が一般に使う武器ではありませんが、暗殺者等は持っている可能性の高い武器です。王家に仕える武門の家の方がご存知で無いんですか?」
「……クッ、――しかし今は決闘の場だぞ! 何故その様な武器を持っている! 騎士剣はどうした!」
ああ。予想していたとは言え煩いなぁ。
「――まず、私は武門の家の出ではありません。しかも私は女。生まれてこの方剣術の稽古などした事はございません。その様な身では騎士剣は重すぎて持つ事も出来ませんでしたので。念のため審判のローデリヒ先生にお伺いしたところ、問題なしとお許しを得ていますので、少なくとも今回に限っては違反ではありませんよ」
「ええ。……本来騎士が、犯罪者でもない、守るべき婦女子に剣を向ける自体あり得ません。それを強引に決闘の舞台に引っ張り出したのです。武器の選択の自由くらいあって然るべきですよ。それでも剣以外の武器で無い分、きちんと決闘のルールに則ろうとした彼女を誉めるべきです」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ……!」
「はいはい、そろそろ試合を始めますよ。皆さん貴方の我が儘に付き合って下さってるんですから、貴重な時間をこれ以上無駄に浪費させるのはよろしくありませんよ?」
会場にアナウンスが流される。
一応形ばかりの私とイーリスの紹介と、この試合がイーリスから仕掛けた決闘である事が説明される。
……皆とっくに噂で知ってる事だから、本当に形式だけの無機質なアナウンスだ。
私達は審判のローデリヒの指示で規定の距離を取り、各々武器を構える。
ローデリヒは床に引かれた枠線から出てタイミングを見て――
「試合、開始!」
コールを告げる。
戦いの火蓋が切って落とされた。
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