102 / 159
第十章
私の実力
しおりを挟む
学校は楽しい。
学びたい事を好きなだけ学べるし、最近ではお友達も出来た。
転校してきた当初は私が貴族と知って遠巻きにしていた子も多かったけど、授業中には何かと組や班になって行動する事もあって、一緒に同じ課題に取り組む内に次第に受け入れられていった。
流石、実力主義の学校だけあって柔軟性に富んだ者が多い。
貴族の学園でも、班行動が無かった訳じゃないけど、クサイモノにはフタ、君子危うきに近寄らずでこうはいかなかったからね。
だけど、貴族の学園の教科と違って専門的な授業も多く、私の前世チートが役に立たない事も多くて。
今やってる課題だけじゃなく、全体的にグレストやノアに私が劣る事が公に知られるのが怖かった。
「人間、得意不得意はあって当然でしょう? お嬢様、僕とアクア、ペーパーテストの点で競えば僕の圧勝ですが、運動会の成績で競えば僕は完敗するでしょう。それを、負けたアクアや僕をお嬢様は責めますか?」
「いや、それは責めないけど……それはグレストとアクアが幼馴染みで、どちらも仕事に必要な能力はちゃんと持ってるからだよ。……いや、アクアはも少し勉強した方が良いとは思うけど。でももしグレストがガテン系の職業に付きたいって言うなら少し話は変わってくるかも。だって、自分より出来ない上司に使われるって嫌じゃない?」
「いえいえ、ですから、人間得意不得意あって当たり前でしょう? そりゃ、全てに於いて劣っている癖に努力もせずそれでいて上司だからと偉そうに理不尽な命令ばかりしている様な奴ならこっちからとっとと見限ります。ですが、基本有能な上司でも苦手な事ってあるでしょう? それを補おうと努力しているなら、その分野が自分の得意分野なら、それを補佐するのは当然であり、嫌など言ってはそれこそ仕事が成り立ちません。むしろそれは、部下が無能なのです」
「うん、そうだね。と言うか僕はむしろその為の要因だよ? 君の得意分野はその発想力だ。そして君に本当に必要なのは指導力で、現場の専門知識じゃない。でも知識が皆無じゃ見当違いの指示を出しかねないから、知らないよりは知っていたほうが良い。君が今勉強しているのはそう言う知識だろう?」
「それこそ、詳しい奴を一人置いておけば良いんです。下に支持を下ろす前にそいつに聞いて、問題があれば修整すればいい。……けど、お嬢様は全く出来てない訳じゃないじゃないですか」
「そうそう。君みたいな発想力の無い僕は他に武器を持たなきゃいけないから頑張るんであってさ、むしろ君にも苦手な事はあるんだって知って安心したくらいだよ。嫌だなんてとんでもない!」
……その発想力こそ、前世チートの賜物なんだけど。
少し、安心した。
でもそれにあぐらをかいたら駄目だね。ちゃんと努力は続けよう。無理しない程度にね。
学びたい事を好きなだけ学べるし、最近ではお友達も出来た。
転校してきた当初は私が貴族と知って遠巻きにしていた子も多かったけど、授業中には何かと組や班になって行動する事もあって、一緒に同じ課題に取り組む内に次第に受け入れられていった。
流石、実力主義の学校だけあって柔軟性に富んだ者が多い。
貴族の学園でも、班行動が無かった訳じゃないけど、クサイモノにはフタ、君子危うきに近寄らずでこうはいかなかったからね。
だけど、貴族の学園の教科と違って専門的な授業も多く、私の前世チートが役に立たない事も多くて。
今やってる課題だけじゃなく、全体的にグレストやノアに私が劣る事が公に知られるのが怖かった。
「人間、得意不得意はあって当然でしょう? お嬢様、僕とアクア、ペーパーテストの点で競えば僕の圧勝ですが、運動会の成績で競えば僕は完敗するでしょう。それを、負けたアクアや僕をお嬢様は責めますか?」
「いや、それは責めないけど……それはグレストとアクアが幼馴染みで、どちらも仕事に必要な能力はちゃんと持ってるからだよ。……いや、アクアはも少し勉強した方が良いとは思うけど。でももしグレストがガテン系の職業に付きたいって言うなら少し話は変わってくるかも。だって、自分より出来ない上司に使われるって嫌じゃない?」
「いえいえ、ですから、人間得意不得意あって当たり前でしょう? そりゃ、全てに於いて劣っている癖に努力もせずそれでいて上司だからと偉そうに理不尽な命令ばかりしている様な奴ならこっちからとっとと見限ります。ですが、基本有能な上司でも苦手な事ってあるでしょう? それを補おうと努力しているなら、その分野が自分の得意分野なら、それを補佐するのは当然であり、嫌など言ってはそれこそ仕事が成り立ちません。むしろそれは、部下が無能なのです」
「うん、そうだね。と言うか僕はむしろその為の要因だよ? 君の得意分野はその発想力だ。そして君に本当に必要なのは指導力で、現場の専門知識じゃない。でも知識が皆無じゃ見当違いの指示を出しかねないから、知らないよりは知っていたほうが良い。君が今勉強しているのはそう言う知識だろう?」
「それこそ、詳しい奴を一人置いておけば良いんです。下に支持を下ろす前にそいつに聞いて、問題があれば修整すればいい。……けど、お嬢様は全く出来てない訳じゃないじゃないですか」
「そうそう。君みたいな発想力の無い僕は他に武器を持たなきゃいけないから頑張るんであってさ、むしろ君にも苦手な事はあるんだって知って安心したくらいだよ。嫌だなんてとんでもない!」
……その発想力こそ、前世チートの賜物なんだけど。
少し、安心した。
でもそれにあぐらをかいたら駄目だね。ちゃんと努力は続けよう。無理しない程度にね。
1
あなたにおすすめの小説
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる