ヒロイン? 玉の輿? 興味ありませんわ! お嬢様はお仕事がしたい様です。

彩世幻夜

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第十章

私の実力

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 学校は楽しい。

 学びたい事を好きなだけ学べるし、最近ではお友達も出来た。
 転校してきた当初は私が貴族と知って遠巻きにしていた子も多かったけど、授業中には何かと組や班になって行動する事もあって、一緒に同じ課題に取り組む内に次第に受け入れられていった。

 流石、実力主義の学校だけあって柔軟性に富んだ者が多い。
 貴族の学園でも、班行動が無かった訳じゃないけど、クサイモノにはフタ、君子危うきに近寄らずでこうはいかなかったからね。

 だけど、貴族の学園の教科と違って専門的な授業も多く、私の前世チートが役に立たない事も多くて。
 今やってる課題だけじゃなく、全体的にグレストやノアに私が劣る事が公に知られるのが怖かった。

 「人間、得意不得意はあって当然でしょう? お嬢様、僕とアクア、ペーパーテストの点で競えば僕の圧勝ですが、運動会の成績で競えば僕は完敗するでしょう。それを、負けたアクアや僕をお嬢様は責めますか?」

 「いや、それは責めないけど……それはグレストとアクアが幼馴染みで、どちらも仕事に必要な能力はちゃんと持ってるからだよ。……いや、アクアはも少し勉強した方が良いとは思うけど。でももしグレストがガテン系の職業に付きたいって言うなら少し話は変わってくるかも。だって、自分より出来ない上司に使われるって嫌じゃない?」

 「いえいえ、ですから、人間得意不得意あって当たり前でしょう? そりゃ、全てに於いて劣っている癖に努力もせずそれでいて上司だからと偉そうに理不尽な命令ばかりしている様な奴ならこっちからとっとと見限ります。ですが、基本有能な上司でも苦手な事ってあるでしょう? それを補おうと努力しているなら、その分野が自分の得意分野なら、それを補佐するのは当然であり、嫌など言ってはそれこそ仕事が成り立ちません。むしろそれは、部下が無能なのです」

 「うん、そうだね。と言うか僕はむしろその為の要因だよ? 君の得意分野はその発想力だ。そして君に本当に必要なのは指導力で、現場の専門知識じゃない。でも知識が皆無じゃ見当違いの指示を出しかねないから、知らないよりは知っていたほうが良い。君が今勉強しているのはそう言う知識だろう?」

 「それこそ、詳しい奴を一人置いておけば良いんです。下に支持を下ろす前にそいつに聞いて、問題があれば修整すればいい。……けど、お嬢様は全く出来てない訳じゃないじゃないですか」

 「そうそう。君みたいな発想力の無い僕は他に武器を持たなきゃいけないから頑張るんであってさ、むしろ君にも苦手な事はあるんだって知って安心したくらいだよ。嫌だなんてとんでもない!」

 ……その発想力こそ、前世チートの賜物なんだけど。

 少し、安心した。
 でもそれにあぐらをかいたら駄目だね。ちゃんと努力は続けよう。無理しない程度にね。
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