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幕間⑦
無自覚と無責任の罪 - 王視点 -
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王都の王城は、ようやく新年のパーティーをはじめとする各種パーティーが終わり、つかの間の休みを貰った使用人が下がり、少し静けさが常より増し、先だっての賑やかさから一転、ゆっくりとした平和な時間が流れていた。
ただ、この部屋の中を除いては。
ここは、公の来客――ただし賓客向けの部屋ではなく、他国の外交官等の実務者レベルの客を通し、仕事の話をする為の部屋であるが、本日招かれた客は少なくとも役人ではない。
肩書だけは貴族であるのだが――
「お前達の長女の婚約者が誰であるか。流石にその程度は把握しているのだろうな?」
当主夫妻と次期当主夫妻の四名は、向かいに座った王と宰相、及び主だった役人相手に顔色を悪くしていた。
震えて声も出せない面々の中、しかし王に答えを促されれば答えぬ訳にもいかず。
何とか当主が引きつった声を絞り出す。
「も、勿論で御座いますとも。勿体なくも陛下のご子息たる王子殿下を婿にいただけるとは、我が娘ながら果報者でございますとも」
……この答えに。婚約者がノアへと変わった今ならまだしも、少なくとも一年前のアゼルであった頃には、レーネが聞いていれば酷く憤慨したに違いない。
「そうか。……ならば、この場に揃って呼び出された訳も思い付くのではないか?」
「さ、さあ……。心当たりもなく先程から色々と思案しているのですが、もしや我が娘が王子殿下に粗相でも致しましたでしょうか?」
彼らのその答えに王は呆れかえる。
「粗相、な。それをあの娘が我が息子に? フッ、日常の些細な事ならまぁあるやもしれんがその程度で目くじらを立てる器ではないよ、我が息子は。そしてそんな愚かな娘でもあるまい、当代の『精霊姫』は」
そう、むしろ粗相等という可愛いレベルではないやらかしをしているのはこの目の前にいる者達だと言うのに。
「この年末年始、精霊姫と我が息子は島で過ごしたらしい。その最中、精霊姫と共に領主の仕事を手伝った我が息子より報告書が送られてきた」
その一言で。
少し顔色が悪い程度だった彼らの顔が青から白へと変わる。
「も、申し訳ございません、まさか娘が王子殿下を無礼にも手伝いに使ったのでしょうか? し、躾の出来ていない怠け者の娘で、お恥ずかしい……!」
「怠け者も恥ずかしいのも、謝らねばならんのも『精霊姫』の娘ではなくお前たちの方だ! あれは婚約者なのだ、領政に関わる権利と義務がある。実際自主的に手伝ったのだと書いておるわ!」
王は堪らず卓に拳を叩きつけた。
「そなたらにも分かるよう、これからじっくり時間をかけてお前達の罪状を説明してやろう。よくよく、心して聞くが良い」
ただ、この部屋の中を除いては。
ここは、公の来客――ただし賓客向けの部屋ではなく、他国の外交官等の実務者レベルの客を通し、仕事の話をする為の部屋であるが、本日招かれた客は少なくとも役人ではない。
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「お前達の長女の婚約者が誰であるか。流石にその程度は把握しているのだろうな?」
当主夫妻と次期当主夫妻の四名は、向かいに座った王と宰相、及び主だった役人相手に顔色を悪くしていた。
震えて声も出せない面々の中、しかし王に答えを促されれば答えぬ訳にもいかず。
何とか当主が引きつった声を絞り出す。
「も、勿論で御座いますとも。勿体なくも陛下のご子息たる王子殿下を婿にいただけるとは、我が娘ながら果報者でございますとも」
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「そうか。……ならば、この場に揃って呼び出された訳も思い付くのではないか?」
「さ、さあ……。心当たりもなく先程から色々と思案しているのですが、もしや我が娘が王子殿下に粗相でも致しましたでしょうか?」
彼らのその答えに王は呆れかえる。
「粗相、な。それをあの娘が我が息子に? フッ、日常の些細な事ならまぁあるやもしれんがその程度で目くじらを立てる器ではないよ、我が息子は。そしてそんな愚かな娘でもあるまい、当代の『精霊姫』は」
そう、むしろ粗相等という可愛いレベルではないやらかしをしているのはこの目の前にいる者達だと言うのに。
「この年末年始、精霊姫と我が息子は島で過ごしたらしい。その最中、精霊姫と共に領主の仕事を手伝った我が息子より報告書が送られてきた」
その一言で。
少し顔色が悪い程度だった彼らの顔が青から白へと変わる。
「も、申し訳ございません、まさか娘が王子殿下を無礼にも手伝いに使ったのでしょうか? し、躾の出来ていない怠け者の娘で、お恥ずかしい……!」
「怠け者も恥ずかしいのも、謝らねばならんのも『精霊姫』の娘ではなくお前たちの方だ! あれは婚約者なのだ、領政に関わる権利と義務がある。実際自主的に手伝ったのだと書いておるわ!」
王は堪らず卓に拳を叩きつけた。
「そなたらにも分かるよう、これからじっくり時間をかけてお前達の罪状を説明してやろう。よくよく、心して聞くが良い」
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