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第十二章
ノアはノアのままで
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王の宣言の後。
議会場から追い出された私達は、着飾らされた格好のまま馬車に詰め込まれ、私の屋敷へと送り届けられ。
その後を追うように届けられた文にて、私の襲爵及び、私達の結婚式の日取りが半年後と正式決定した事を知らされた。
「刺されて怪我して、医者に診せる為に王宮に行ったはずが、どうしてこういう知らせが届く事になるんですか!」
グレストに文句を言われたけど、
「それは私だって知りたい! けど、王様の命令ですって言われたら文句も言えないじゃない!」
と、私もそう答えるしかない。
「……つまり、ノアはノアのままお嬢様の婿になられる、と。そしてあの残念王子は処刑が決定、ですか」
「ああ。流石に公開処刑ではなく、服毒による処刑になるそうだけどね。僕には見届けるようにとお達しがあったよ」
「それは……。御愁傷様です、で合ってますかね。まぁ気持ちはお察しします。ですが、王命で正式にお嬢様を娶ると決まったなら、お嬢様を第一に考えて下さい。あの様な輩はお嬢様の害にしかなりません」
「分かっているよ。アゼルはレーネを殺そうとした。一度は遠ざけたのに、わざわざ自らやって来てのこの騒動だ。……かけてやる慈悲は無い。まぁ、血を見る処刑法でなかったのだけが救いかな」
そして。アゼルの処刑が一月後と正式決定した知らせが届いたのはその翌日の事だった。
だけど、半年後と決まった結婚式や襲爵に向けてやらなければならない事がギチギチに詰め込まれた私達に、ゆっくり感慨にふける暇などなく。
一月などあっという間に過ぎ去って。
あれよあれよと言う間に、私達は王宮へ向かう馬車に二人で乗り込んでいた。
流石にノアの表情が固い。
きつく握りしめられた拳に、私は自らの手を重ねた。
本来乙女ゲームのメイン攻略対象キャラだった人で。
一時は私の婚約者だった人の処刑。
服毒による処刑とはいえ、見ていて楽しいものでは決してない。かつての世界では処刑を娯楽と捉える文化のある国や歴史もあったけど、元日本人としてはその文化は理解できない。
犯罪被害者の立場からすれば、犯人の死刑を望みたくなる気持ちは分かるけど、だからこそ、それを娯楽と捉える事は難しい。
王宮の門をくぐり、その後導かれた先は貴人用の牢だった。
分厚い扉のこちら側にまで聞こえる騒ぎ。
……うん、この声は間違いなくアゼルだよね。
「どうやら、何処までも往生際の悪い男の様だね、僕の兄弟は」
ノアがため息を吐いた。
「これはむしろ、公開処刑にしなくて良かった。最後まで恥を晒すとは。どこまでも王族の自覚のない我儘坊主は、早かれ遅かれ病死しただろうね、これは」
ノアらしくない、冷たい笑いを浮かべて。
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グレストに文句を言われたけど、
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と、私もそう答えるしかない。
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「ああ。流石に公開処刑ではなく、服毒による処刑になるそうだけどね。僕には見届けるようにとお達しがあったよ」
「それは……。御愁傷様です、で合ってますかね。まぁ気持ちはお察しします。ですが、王命で正式にお嬢様を娶ると決まったなら、お嬢様を第一に考えて下さい。あの様な輩はお嬢様の害にしかなりません」
「分かっているよ。アゼルはレーネを殺そうとした。一度は遠ざけたのに、わざわざ自らやって来てのこの騒動だ。……かけてやる慈悲は無い。まぁ、血を見る処刑法でなかったのだけが救いかな」
そして。アゼルの処刑が一月後と正式決定した知らせが届いたのはその翌日の事だった。
だけど、半年後と決まった結婚式や襲爵に向けてやらなければならない事がギチギチに詰め込まれた私達に、ゆっくり感慨にふける暇などなく。
一月などあっという間に過ぎ去って。
あれよあれよと言う間に、私達は王宮へ向かう馬車に二人で乗り込んでいた。
流石にノアの表情が固い。
きつく握りしめられた拳に、私は自らの手を重ねた。
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一時は私の婚約者だった人の処刑。
服毒による処刑とはいえ、見ていて楽しいものでは決してない。かつての世界では処刑を娯楽と捉える文化のある国や歴史もあったけど、元日本人としてはその文化は理解できない。
犯罪被害者の立場からすれば、犯人の死刑を望みたくなる気持ちは分かるけど、だからこそ、それを娯楽と捉える事は難しい。
王宮の門をくぐり、その後導かれた先は貴人用の牢だった。
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「どうやら、何処までも往生際の悪い男の様だね、僕の兄弟は」
ノアがため息を吐いた。
「これはむしろ、公開処刑にしなくて良かった。最後まで恥を晒すとは。どこまでも王族の自覚のない我儘坊主は、早かれ遅かれ病死しただろうね、これは」
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