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第十三章
王女様の社交スキル
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「……リーチェ姉様。彼女は僕の婚約者です。そして、この場を用意したのは僕です。それについての文句なら僕に言ってください。レーネに対する謂われ無き暴言について、これ以上言うなら僕も正式に抗議しますよ」
「まぁ! 出来損ない兄弟の片割れではありませんか! ノータリンの方は儚くなられた様ですが……、化け物の貴方もいっそ一緒に逝ってしまえばよかったのでは?」
「なっ……!」
あまりに酷いノアへの暴言に、つい身分を忘れて声を上げそうになる。
が、声が言葉になるより早く。
「リーチェ、言葉が過ぎる。ノアと同じ血が、我々にも流れているのだ。ノアは私達よりその血の特徴が強く表れただけ。その彼を化け物と言うなら、我が王家は皆化け物だと言う事になるぞ。無論、陛下も私も。王女と言えど、王や王太子を根拠なく貶めれば不敬罪となる。勿論知っているね?」
厳しい叱責が王太子から飛ぶ。
愛しのお兄様からのお叱りは、王女様には効果抜群過ぎて、あっという間に塩を振った青菜の様にシュンと萎れてしまった。
「レーネ嬢、妹が申し訳無い事をした」
「いえ、私に対しては……王女様が良くご存知なのは私自身よりあの元当主達なのでしょうから、それを思えば致し方ない部分もあるかと。むしろ夜会ではそこを突いてくる貴族も居る事でしょう。抜き打ちの模擬試験と思えば何と言う事も御座いませんわ」
王太子に謝罪させちゃあね。それ以上の抗議なんてできるかい!
ただし。
「――ですが、ノアに対する侮辱については別ですわ。冗談にしてもノアに化け物だなどと……しかもアゼルと共に死ねば良かった等、質が悪過ぎます」
「ですが! 私達に吸血鬼の血が流ている事は存じておりますが、私達は間違っても人の血など口に致しませんもの! ですが、ノアは……!」
「確かに。人間の血を日々の食事に取り入れる文化は今の所私も存じ上げませんが。地方によっては私達が食物と認識出来ない物を召し上がる文化を持つ人間は存在します。それこそ、ゲテモノ食いと呼びたくなる様な物を食する国の大使に、それをそのまま申し上げればどうなるか。勿論お分かりですよね?」
完全に国際問題、場合によっては戦争の火種にもなり得る。
「一度に致死量を吸われると言うのなら大変困りますが、普段はそんな事はございませんもの。そこらの獣の方が余程も危険ですし、ノアは化け物と呼ぶには値しませんわ」
「うん。随分と仲が良い様で。ノア、良い婚約者を得られて良かったな」
「兄上……。ありがとうございます」
「まぁ! 出来損ない兄弟の片割れではありませんか! ノータリンの方は儚くなられた様ですが……、化け物の貴方もいっそ一緒に逝ってしまえばよかったのでは?」
「なっ……!」
あまりに酷いノアへの暴言に、つい身分を忘れて声を上げそうになる。
が、声が言葉になるより早く。
「リーチェ、言葉が過ぎる。ノアと同じ血が、我々にも流れているのだ。ノアは私達よりその血の特徴が強く表れただけ。その彼を化け物と言うなら、我が王家は皆化け物だと言う事になるぞ。無論、陛下も私も。王女と言えど、王や王太子を根拠なく貶めれば不敬罪となる。勿論知っているね?」
厳しい叱責が王太子から飛ぶ。
愛しのお兄様からのお叱りは、王女様には効果抜群過ぎて、あっという間に塩を振った青菜の様にシュンと萎れてしまった。
「レーネ嬢、妹が申し訳無い事をした」
「いえ、私に対しては……王女様が良くご存知なのは私自身よりあの元当主達なのでしょうから、それを思えば致し方ない部分もあるかと。むしろ夜会ではそこを突いてくる貴族も居る事でしょう。抜き打ちの模擬試験と思えば何と言う事も御座いませんわ」
王太子に謝罪させちゃあね。それ以上の抗議なんてできるかい!
ただし。
「――ですが、ノアに対する侮辱については別ですわ。冗談にしてもノアに化け物だなどと……しかもアゼルと共に死ねば良かった等、質が悪過ぎます」
「ですが! 私達に吸血鬼の血が流ている事は存じておりますが、私達は間違っても人の血など口に致しませんもの! ですが、ノアは……!」
「確かに。人間の血を日々の食事に取り入れる文化は今の所私も存じ上げませんが。地方によっては私達が食物と認識出来ない物を召し上がる文化を持つ人間は存在します。それこそ、ゲテモノ食いと呼びたくなる様な物を食する国の大使に、それをそのまま申し上げればどうなるか。勿論お分かりですよね?」
完全に国際問題、場合によっては戦争の火種にもなり得る。
「一度に致死量を吸われると言うのなら大変困りますが、普段はそんな事はございませんもの。そこらの獣の方が余程も危険ですし、ノアは化け物と呼ぶには値しませんわ」
「うん。随分と仲が良い様で。ノア、良い婚約者を得られて良かったな」
「兄上……。ありがとうございます」
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