屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

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第一章

新しい馬車

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 さて、同行者が増えたのは良いのですが、困った事が一つ。

 「……絶対に狭いよね?」
 「ああ。こないだはすぐ街だったから気にしなかったけど、数日がかりの長旅であれはキツイし、ミルフィちゃんにとっても危ないよな」

 元々馬車そのものはそこまで小さくはない、のだが。
 何分この馬車はお貴族様の馬車や乗り合い馬車と違って、屋台用に改造した荷馬車なのだ。

 少しくらいの間なら、ミルフィちゃんくらいの子供なら中に乗せられるけど、常設のキッチンと、移動中は所狭しと調理器具が詰めてある。
 調理器具は使い方を間違えれば凶器になる物も少なくない。

 そもそも人の乗る場所ではないのだ。
 だから、ロイスもシャリーも移動中は御者台に並んで座って交代でクロエの手綱を握ってきたのだ。

 そこへガタイの良いレストさんが乗る。
 ……これもこないだは短時間だから耐えたけど、結構窮屈だったんだよね。

 そんな訳で、だ。

 「馬車の新調をしたいと思います!」
 「おおー!」
 「ただ、丸っと買い換える程の予算は流石に用意できません……」
 「お……おぅ?」
 「そこでっ、リフォームしたいと思います!」
 「はーい!」
 「そんな訳で……、皆さん手元に工具がありますね?」
 「「「はい!」」」
 「……では。設計図を公表します。これを元に、皆さん頑張って下さい、以上! 作業開始!」

 レストさんの家の前庭を借り、皆でDYIに励む。

 まず御者台のすぐ後ろを少しへこませ屋根付きの椅子を取り付ける。
 夜には一人分の屋根付き寝台に早替りする仕様のそこには、基本ミルフィに使ってもらう予定だ。
 荷台の中のキッチンにもこっそり設備を追加したり、平屋根の上に荷台を設置したりとあれこれ手を加えていく。

 この作業には肉体労働専門のレストさんが大いに戦力として活躍してくれた。

 「……まさか初仕事が護衛任務でなく大工仕事になるとは思わなかったな」
 そのレストさん本人は苦笑いしてたけど。

 「ああ、これから共に旅をする仲間だ。その“さん”てのやめて貰って良いか? 俺は冒険者だからな、あまり丁寧にされると落ち着かん」

 「分かりました、『レスト』。……これで良いですか?」
 「ああ」

 こうして馬車に手を加えること約三日。
 荷台に手を加えて重くなった分、足回りも整備し直し、頑丈かつ車輪の滑りも良くしてクロエの負担を少しでも減らす工夫を施して。

 れんこんなどこの街の特産品かつ日持ちのする物を買い込み積み込んで。

 「それじゃ、いよいよ明日の朝にはこの街を出るけど、忘れ物とかやり残した事はもう無い? ちゃんと今夜のうちに全部済ませてね?」

 「ああ、了解した」
 「はーい!」

 目指すはお米の街。そこまでに今度はどんな食材と巡り会えるかな……?
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