屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

文字の大きさ
65 / 125
第二章

久々(?)の町で

しおりを挟む
 「見えた……、町だ!」
 「まちだー」
 「ああ、町だな」
 「ええ。そんな大きい街ではなさそうだけど、人里には違いないわね」

 ここ数日ちょっと非日常な出来事が続きすぎて、人里がいつもよりも嬉しくありがたいものに思える。
 ……実際はこの程度の日数を野宿で過ごすくらいよくあることだし。

 町住みの一般庶民からすれば、常々旅暮らしの私達の生活そのものが非日常なんだけど。
 長距離の旅行なんて、毎年暑い季節になると避暑に出掛けるお貴族様くらいで、一般庶民がになんて滅多に行かない。
 仕事で買付や仕入れの必要があってとか、少し離れた街に嫁なり婿なりに出た者が、里帰りする程度か、一般庶民の旅なんて。

 その辺りはそもそも理解した上での旅とはいえ。

 魔王軍を名乗る山姥と遭遇し絡まれるなんて全く想定していなかった事態に、私達は流石に疲弊しきっていた。

 「なぁ、俺今晩はもう何も考えず美味い飯を食って、暖かいベッドで何も考えずぐっすり眠りたいんだけど」
 「ええ、それは私も同意見よ」

 そこは、村の規模を少し上回った程度の小さな町で、宿屋も選ぶまでもなく一軒しか存在せず、そんな町だから、入るにもチェックはゆるゆるで。

 「けど、一気に町の感じが変わったわね……」

 山の向こうは和風な町に食べ物が多かった。
 ……ん、山の中の茶屋? あんなのノーカウントよ、当然でしょ?
 でも、近くで見たこの町はまるで……

 「なんつーか、綺羅びやかな町だな。キンキラとか貴族の屋敷みたいな豪華さとはまた別なんだが……。大きな街でもないし。でもこれまでが質素すぎたのか?」

 まぁ、そう思う気持ちは分かる。
 この町の装いは、まるで横浜や神戸の中華街のようで。

 「気にはなるけど、でも今夜はまずゆっくり休みましょう。色々見て回るのは明日以降でも出来るから」
 「ああ、そうだったな」

 私達は早速宿で部屋を確保し、ついでに美味しい食事処を尋ねてみた。

 「うーん、この町店も少ないですから……、食べられるお店って、飲み屋がニ軒とお茶と点心スイーツを出す店が一軒、ご飯を出す食事処は……ほら、目の前にあるあれだけですよ?」

 それは、日本のちょっとした商店街にありそうな町中華っぽい店構えの店舗だった。
 本当に、宿屋の目の前にある。

 「ウチでも有料でご飯は出してますけど、朝はともかく夜はあそこか飲み屋に行く人が大半ですから」

 各店舗の主なメニュー表を揃えているらしく、木板に書いたそれを見せてくれる。

 「あ、飲み屋のはいいです、私達はまだ未成年なので。レストはどうします?」
 「いや、今夜はやめておく。……悪酔いしそうだからな」

 そんなわけで、食事処と点心屋のメニューを見せてもらう事にした。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

処理中です...