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ミーティング② ~匠&楓side~
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タッタッタッタッ
ーやってしまった。本に夢中になり過ぎて、「あと5分・・・」と思っている内に、図書館を出るのが遅くなってしまった。
楓は、足や腕の普段使わない部分の筋肉を必死で動かして走る。
タッタッタッタッ
駅から100メートルくらい走ったとこで、呼吸が苦しくなり立ち止まり、肩で息をする。
ゼーハーゼーハー
楓は右手で握りしめていた携帯の時刻をチラリと見た。
ー17:59。ああ、急がなきゃ。携帯にメールが来てる。きっと匠さんからだ。
楓は、唾をごくりと飲み込むとまた走り出した。
楓が必死な表情で走っているのが目立つのか、時々、向かいから歩いてくる人たちが振り返る。
タッタッタッタッタッタッタッタッタッ・・・
ゼーハーゼーハー
タッタッタッタッタッタッタッタッタッ・・・タッタッタッタッ
ゼーハーゼーハー
ーもう限界・・・。
楓は、膝に両手を乗せて俯き加減に肩で息をした。
立ち止まっている楓のそばを、女子高校生の2人が少し避けて通って行った気配がした。2人の足と靴が視界に入る。
ー本当に情けない。最近は本に夢中になり過ぎないように注意してたのに。
楓の心は、ズンと沈んだ。
ーもう今日の約束。キャンセルしよう・・・。
「あの人めっちゃ必死な顔してたね。」
「あー私も思った~。待ち合わせに遅れそうなのかなあ。」
「バイトかもよ。」
「怒られないといいねえ。」
「だねえ。」
ついさっき通り過ぎて行った女子高校生の会話は、楓の耳にも届いた。
ゼーハーゼーハー
ー知り合いでもないのに、2人とも優しい・・・。
1分くらい、両手を膝に置いたそのままの体制で呼吸が整うのを待ち、呼吸が落ち着いたところで、楓は姿勢を起こした。
じっとり汗ばむ手の中の携帯を見れば、18時07分。
ー予定をキャンセルするにしても、匠さんに直接謝ってから帰ろう。
見も知らない女子高校生の優しい言葉で気持ちを持ち直した楓は、額を流れる汗を手で拭い、匠さんの待っているファスの駐車場に急いだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
匠は、約束の時間の15分前にはファスの駐車場のそばまで来ていた。
「楓ちゃん、待ってるかな。」
匠は、ファスの建物にチラリと目をやると、ハンドルをゆっくりと切って駐車場に入った。
車を端の方に駐車させてから、匠は楓にメールを送った。
ー駐車場に着いたよ。バス停の後ろ辺りにいます。
けれど、10分経っても楓は建物から出てくる様子も無いし、メールにも返信が無い。
ーああ。嫌な予感がする。今日のデートはキャンセルになるかもしれない。
楓は、本に夢中になると、読み終わるまで連絡がつかなくなる。本の世界に入って、その他のことが見えなくなるのだ。付き合ってから時々、それが原因で喧嘩になることもあった。何回か2人で話し合って、本を読むと決めたら匠との予定を入れないか、会う約束をしたら本を読むのを我慢すると楓と約束を作ってから、うまくいっていたのだけど。
「最近はこんな事なかったんだけど、また本に夢中になって時間を忘れたんだろうなあ。」
匠は、悲しそうな表情をしてため息をつくと、車の座席に体を預けると眼を閉じて、楓からの連絡が入るのを待った。
【次にお送りする曲は、たこ焼きさん、流れ星さん、秋さん、その他多数方から、リクエストを頂きました。曲は、今話題の映画【親友の恋人】から、【愛しい君に伝えたいこと】です。】
BGM代わりに流していたラジオから、人気の映画の挿入歌が流れてきた。
♪~
君の1番になりたいのに いつもあいつには勝てない
どうすれば 君の1番になれる?
どうすれば 僕を忘れないでいてくれる?
ぼくが君の2番でいいと思えたら
いっそ楽になれるのにー
♪~
ーやってしまった。本に夢中になり過ぎて、「あと5分・・・」と思っている内に、図書館を出るのが遅くなってしまった。
楓は、足や腕の普段使わない部分の筋肉を必死で動かして走る。
タッタッタッタッ
駅から100メートルくらい走ったとこで、呼吸が苦しくなり立ち止まり、肩で息をする。
ゼーハーゼーハー
楓は右手で握りしめていた携帯の時刻をチラリと見た。
ー17:59。ああ、急がなきゃ。携帯にメールが来てる。きっと匠さんからだ。
楓は、唾をごくりと飲み込むとまた走り出した。
楓が必死な表情で走っているのが目立つのか、時々、向かいから歩いてくる人たちが振り返る。
タッタッタッタッタッタッタッタッタッ・・・
ゼーハーゼーハー
タッタッタッタッタッタッタッタッタッ・・・タッタッタッタッ
ゼーハーゼーハー
ーもう限界・・・。
楓は、膝に両手を乗せて俯き加減に肩で息をした。
立ち止まっている楓のそばを、女子高校生の2人が少し避けて通って行った気配がした。2人の足と靴が視界に入る。
ー本当に情けない。最近は本に夢中になり過ぎないように注意してたのに。
楓の心は、ズンと沈んだ。
ーもう今日の約束。キャンセルしよう・・・。
「あの人めっちゃ必死な顔してたね。」
「あー私も思った~。待ち合わせに遅れそうなのかなあ。」
「バイトかもよ。」
「怒られないといいねえ。」
「だねえ。」
ついさっき通り過ぎて行った女子高校生の会話は、楓の耳にも届いた。
ゼーハーゼーハー
ー知り合いでもないのに、2人とも優しい・・・。
1分くらい、両手を膝に置いたそのままの体制で呼吸が整うのを待ち、呼吸が落ち着いたところで、楓は姿勢を起こした。
じっとり汗ばむ手の中の携帯を見れば、18時07分。
ー予定をキャンセルするにしても、匠さんに直接謝ってから帰ろう。
見も知らない女子高校生の優しい言葉で気持ちを持ち直した楓は、額を流れる汗を手で拭い、匠さんの待っているファスの駐車場に急いだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
匠は、約束の時間の15分前にはファスの駐車場のそばまで来ていた。
「楓ちゃん、待ってるかな。」
匠は、ファスの建物にチラリと目をやると、ハンドルをゆっくりと切って駐車場に入った。
車を端の方に駐車させてから、匠は楓にメールを送った。
ー駐車場に着いたよ。バス停の後ろ辺りにいます。
けれど、10分経っても楓は建物から出てくる様子も無いし、メールにも返信が無い。
ーああ。嫌な予感がする。今日のデートはキャンセルになるかもしれない。
楓は、本に夢中になると、読み終わるまで連絡がつかなくなる。本の世界に入って、その他のことが見えなくなるのだ。付き合ってから時々、それが原因で喧嘩になることもあった。何回か2人で話し合って、本を読むと決めたら匠との予定を入れないか、会う約束をしたら本を読むのを我慢すると楓と約束を作ってから、うまくいっていたのだけど。
「最近はこんな事なかったんだけど、また本に夢中になって時間を忘れたんだろうなあ。」
匠は、悲しそうな表情をしてため息をつくと、車の座席に体を預けると眼を閉じて、楓からの連絡が入るのを待った。
【次にお送りする曲は、たこ焼きさん、流れ星さん、秋さん、その他多数方から、リクエストを頂きました。曲は、今話題の映画【親友の恋人】から、【愛しい君に伝えたいこと】です。】
BGM代わりに流していたラジオから、人気の映画の挿入歌が流れてきた。
♪~
君の1番になりたいのに いつもあいつには勝てない
どうすれば 君の1番になれる?
どうすれば 僕を忘れないでいてくれる?
ぼくが君の2番でいいと思えたら
いっそ楽になれるのにー
♪~
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