1 / 8
10人目の彼女
しおりを挟む
500年の歴史を誇るウクリナ王国の王立学園での卒業パーティー。貴族であることはもちろん、学力も認められなくては入学できないこの学園。次世代の国を担うであろう卒業生たちが学園での最後のときを楽しんでいた。
「アリア、君とは婚約破棄だ。そして俺は愛しいディアナと婚約するぞ」
頭のイカれた野郎が頭のイカれたことをおっしゃってる。婚約破棄?
そんなのとっくにしてるわ。
1ヶ月前
「アリア様、殿下があちらに別の女性といらっしゃいます」
わたくしはウクリナ王国のラミーリア公爵家の長女。言うまでもなく、この国1番の貴族令嬢になるわね。もちろん婚約者がいるのだけど……。
「エディさまぁー! 今日もすてきですわぁー!!」
「愛しいディアよ、お前の方こそ可愛いぞ」
まあ、どうしたことでしょう。わたくしのコンヤクシャサマが別の女性に愛を囁いていますわ。
「アリア様、あの女性は誰でしょうか?」
「……はぁ、わたくしには関係ないわ」
ウクリナ王国の第2王子エディヤ・ウクリナ、王妃様譲りの輝く金髪、王家の証であるエメラルド色の瞳、真珠のごとく滑らかな肌、すっと通った鼻筋……
本の中から飛び出してきたような美しい王子様に、国王陛下も王妃様も溺愛している。第一王子を退けて王太子にしようとするほどに。
エディヤ殿下は遊び相手としては確かにモテる。そう、「遊び相手」としては……。
外見は完璧。しかしそれは外見だけ。
幼少の頃から勉強はもちろん、武術も嫌い一切とりくまなかった。学園には裏口入学をしたのではないかと、思われている。そのようでも、国王陛下と王妃様は甘やかすため、我が儘でプライドだけは高く、ナルシストな王子に育ってしまったのだ。学園に入学してからは、さまざまな令嬢に手を出し遊び歩いている。
見た目は完璧なので恋い慕う令嬢は多いが、付き合えばその性格に幻滅する。
そのため、一夜限りの遊び相手ぐらいにしておくのが良い、と言われるようになった。
「マリー、彼女は何人目かしら?」
「……10人目です」
「そう」
一夜だけの女性も多いが、公に付き合う女性もいる。ほとんどが、下級貴族の令嬢たちだった。
以前わたくしはそのような女性が10人できたら、婚約破棄をします、と5人目の時に国王陛下に申し上げました。残念ながら今回で10人目のようです。いちおう確認しておきましょうか。
「ごきげんよう、殿下」
「なんだ、アリアか。今俺はディアといるんだ。話しかけるな」
「これは大変失礼いたしましたわ。ですが、ひとつお聞きしても?」
「なんだ?」
「そちらの女性はどなたでしょう。ずいぶんと殿下と親しくされている様子でしたが」
「そんなことか、わかってるだろ。愛しい俺のディアだ」
「まぁ、エディ様! でも、婚約者様の前でそんなこといってもいいのぉ?」
「関係ない。こいつは俺に愛なんてないからな。それに俺が本当に愛してるのはディアだけだ」
「エディ様……。私もですわ」
「アリア様、殺っていいですか?」
「やめておきなさい、マリー」
「アリア様、わたしはエディ様のことを愛しているのです。そして、エディ様もわたしのことを愛しているのです。だから、わたしたちの仲を引き裂こうとしないでください」
この女は、何を言っているのかしら。わたくしとは初対面なのに挨拶もないのね。それにあなたたちの関係のほうがおかしいのだけれど。
「ディアの言う通りだ。俺たちを引き離そうたってそうにはいかないぞ」
「ご安心を。わたくしには関係ありませんわ。それにわたくしは、仲をとがめるために来たのではありませんの。かくにんし「そうか、ついにその気になったのか」
わたくしの言葉を遮って殿下が耳元に近づいた。
「やっと俺に体を捧げる気になったのか。よし、今夜俺の部屋に来い」
「……」
別の女性に手を出しておきながら、何を言っているのでしょう。それに正式に結婚したわけでもないのよ。
「お断りいたします。それでは失礼しますわ」
わたくしはマリーを連れて、殿下の前を後にした。
「アリア様、どちらへ行かれますのですか?」
学園の寮へと続く道を反対に進むわたくしに、マリーが尋ねた。
「家に帰るわ」
「公爵家に? なにか、用事でもありましたか?」
「ええ、大事な用事よ。婚約破棄というね」
「アリア、君とは婚約破棄だ。そして俺は愛しいディアナと婚約するぞ」
頭のイカれた野郎が頭のイカれたことをおっしゃってる。婚約破棄?
そんなのとっくにしてるわ。
1ヶ月前
「アリア様、殿下があちらに別の女性といらっしゃいます」
わたくしはウクリナ王国のラミーリア公爵家の長女。言うまでもなく、この国1番の貴族令嬢になるわね。もちろん婚約者がいるのだけど……。
「エディさまぁー! 今日もすてきですわぁー!!」
「愛しいディアよ、お前の方こそ可愛いぞ」
まあ、どうしたことでしょう。わたくしのコンヤクシャサマが別の女性に愛を囁いていますわ。
「アリア様、あの女性は誰でしょうか?」
「……はぁ、わたくしには関係ないわ」
ウクリナ王国の第2王子エディヤ・ウクリナ、王妃様譲りの輝く金髪、王家の証であるエメラルド色の瞳、真珠のごとく滑らかな肌、すっと通った鼻筋……
本の中から飛び出してきたような美しい王子様に、国王陛下も王妃様も溺愛している。第一王子を退けて王太子にしようとするほどに。
エディヤ殿下は遊び相手としては確かにモテる。そう、「遊び相手」としては……。
外見は完璧。しかしそれは外見だけ。
幼少の頃から勉強はもちろん、武術も嫌い一切とりくまなかった。学園には裏口入学をしたのではないかと、思われている。そのようでも、国王陛下と王妃様は甘やかすため、我が儘でプライドだけは高く、ナルシストな王子に育ってしまったのだ。学園に入学してからは、さまざまな令嬢に手を出し遊び歩いている。
見た目は完璧なので恋い慕う令嬢は多いが、付き合えばその性格に幻滅する。
そのため、一夜限りの遊び相手ぐらいにしておくのが良い、と言われるようになった。
「マリー、彼女は何人目かしら?」
「……10人目です」
「そう」
一夜だけの女性も多いが、公に付き合う女性もいる。ほとんどが、下級貴族の令嬢たちだった。
以前わたくしはそのような女性が10人できたら、婚約破棄をします、と5人目の時に国王陛下に申し上げました。残念ながら今回で10人目のようです。いちおう確認しておきましょうか。
「ごきげんよう、殿下」
「なんだ、アリアか。今俺はディアといるんだ。話しかけるな」
「これは大変失礼いたしましたわ。ですが、ひとつお聞きしても?」
「なんだ?」
「そちらの女性はどなたでしょう。ずいぶんと殿下と親しくされている様子でしたが」
「そんなことか、わかってるだろ。愛しい俺のディアだ」
「まぁ、エディ様! でも、婚約者様の前でそんなこといってもいいのぉ?」
「関係ない。こいつは俺に愛なんてないからな。それに俺が本当に愛してるのはディアだけだ」
「エディ様……。私もですわ」
「アリア様、殺っていいですか?」
「やめておきなさい、マリー」
「アリア様、わたしはエディ様のことを愛しているのです。そして、エディ様もわたしのことを愛しているのです。だから、わたしたちの仲を引き裂こうとしないでください」
この女は、何を言っているのかしら。わたくしとは初対面なのに挨拶もないのね。それにあなたたちの関係のほうがおかしいのだけれど。
「ディアの言う通りだ。俺たちを引き離そうたってそうにはいかないぞ」
「ご安心を。わたくしには関係ありませんわ。それにわたくしは、仲をとがめるために来たのではありませんの。かくにんし「そうか、ついにその気になったのか」
わたくしの言葉を遮って殿下が耳元に近づいた。
「やっと俺に体を捧げる気になったのか。よし、今夜俺の部屋に来い」
「……」
別の女性に手を出しておきながら、何を言っているのでしょう。それに正式に結婚したわけでもないのよ。
「お断りいたします。それでは失礼しますわ」
わたくしはマリーを連れて、殿下の前を後にした。
「アリア様、どちらへ行かれますのですか?」
学園の寮へと続く道を反対に進むわたくしに、マリーが尋ねた。
「家に帰るわ」
「公爵家に? なにか、用事でもありましたか?」
「ええ、大事な用事よ。婚約破棄というね」
186
あなたにおすすめの小説
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる