婚約破棄?とっくにしてますけど笑

蘧饗礪

文字の大きさ
4 / 8

新たな婚約者

しおりを挟む
「この書類は、いったいどういうことだ」
「エディが婚約破棄を認めるなんてありえないわ」
「ですが、このサインはエディヤ殿下のものでまちがいございません」
「た、確かにそうだが……。しかし、ラミーリア嬢、この婚約は国のためになる重要なものだぞ。それを破棄するとは……」
国のため?ラミーリア公爵家の財が欲しいだけではなくて?
「しかし、この書類にサインがある以上、婚約破棄はかなったものとなります。どんなに陛下がおっしゃっても覆るものではございません。王族のサインはそれほどの効力を持つのですもの」
「む……。分かった、婚約破棄を認めよう。しかし、公爵はそれで良いと言ってるのか?」
「はい、もちろんですわ」
お父様はもともと、この婚約は反対ですもの。それを忘れているのかしら。
「だが、王家と公爵家の縁組は必要だ。よって、そなたは第1王子と婚約せよ」
「そうね、それが良いわ。でも、エディが王太子にはなるのよね?」
「ああ、もちろんだ。王妃よ。あの女の息子に俺の跡は継がせん。俺の跡を継ぐのはエディヤだけだ」
ふざけているのかしら、この2人は。わたくしたち公爵家からしたら、縁組は不必要なものだわ。それに婚約破棄した直後に他の男性を、しかも兄をすすめるなんて人の気持ちをなんだと思っているの。

第1王子マキアス・ウクリナの母は前王妃であったが、マキアス殿下を産んだ際に亡くなられた。そのため、マキアス殿下とエディヤ殿下は母が異なる。
前王妃は隣国の王女で、国王陛下とは政略結婚であった。しかし、当時の陛下にはすでに愛する人がいた。それが現王妃である。伯爵令嬢であった現王妃は身分的に王妃になれず、側室となったが、国王陛下は前王妃には一切目もくれず、側室を愛した。
前王妃が亡くなられると、周囲の反対を抑えて側室であった伯爵令嬢を王妃にした。その後すぐにエディヤ殿下が生まれたので、マキアス殿下は冷遇され、不遇な少年時代を過ごすことになる。学力は十分であったが、学園に通うことを許されず、母親の祖国である隣国に留学した。

幼い頃、わたくしとマキアス殿下はよく王立図書館に通っていたので仲良くしていた。しかしそれも、エディヤ殿下との婚約が決まってからは会うことが許されなくなった。
「ラミーリア嬢はあの子と仲良くしてたわね。ちょうど良いじゃない。だから、わたくしのエディには二度と手を出さないでよね」
本当に勝手だわ。
「よし、そうと決まればマキアスを呼んでこい。先月、留学から帰ってきてただろう」
わたくし、まだ何も返事をしていませんのだけど……。マキアス殿下、留学からお帰りになっていたのね。


「失礼します、マキアスです」
「マキアス、お前と婚約することになったラミーリア嬢だ。幼い頃仲良くしていたからよく知っているだろう」
「アリア……。しかし、彼女はエディヤの婚約者ではなかったのではないですか?」
「婚約破棄した。だから、お前は何も気にしなくて良い。正式な婚約はエディヤの方が決まってからだ。それと、エディヤとラミーリア嬢の婚約破棄はまだ口外しないでくれ」
「かしこまりました。ただ、ラミーリア嬢はそれでよろしいのですか?」
「殿下の方こそわたくしなんかでよろしいのでしょうか?殿下がよろしければ、わたくしは全く問題ありませんわ。ありがたいぐらいですもの」
「問題があるわけないだろう」
「それなら、いいな。くれぐれも婚約破棄は口外するなよ」
エディヤ殿下の恥になることだけは避けたいのね。マキアス殿下も同じ陛下のお子なのに。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?

カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。 フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

処理中です...