ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴

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135話 ダンジョン封鎖計画 3

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 なんというか、串焼きを食ってるだけで満足感がすごい。
 実際にはどんぶりにしたんだが、腹が食うスタイルに完全に切り替わってしまった。

 満足したとは言ったが、腹は加速度的に空腹を訴える。
 罪な料理を開発してしまった気分になる。

「さて、食材はこれで無くなってしまったので」

 ミンサー、腸詰めでの加工はあの大量な切り身を瞬く間に手頃なサイズに変化させてしまった。
 旨くはなったが食材ロスも加速度的。

「え、もうねーの?」

「もちろんここでお開きなんてしないさ。そのためのダンジョン探索だからな」

「いえー!」

 <コメント>
 :難易度未知数のダンジョンです、ここ
 :まーた前みたいなファンガスクラスの激強ボスがいるんじゃねぇ?

 そうなのか?

『旦那様のお眼鏡に叶う子たちをご用意してます』

 ジュリからの合いの手に、期待しないでおこうかねと心のうちに留めておく。
 なんせ、前回のダンジョンですら接待モードだったのだ。
 そりゃ食材や調味料の本を稼ぎに無理な攻略を進めようとするわけだ。

 考え方の違いはとことん大きい。
 その上で笑って許してもらえる難易度だと思ってる節まであるからな。

 俺達じゃなかったらお仕置きどころでは許されんぞ?

「キュ(ジュリ殿は契約者殿を接待しようと思っとるから、それ以外の能力など度外視じゃぞ? 契約者に喜んでもらえれば良い、という考えじゃ。それ以外の有象無象は、大してエネルギーに貢献せんからのぅ)」

 ここにきて迷宮管理者のエネルギー至上主義論が出てくるのか。
 そりゃ、マイクさんやリンダさんにとっては踏んだり蹴ったりだな。

 というわけで散策コーナーへと移る。
 さっきまでのテントや焼き台、アルコール専用冷蔵ラックなどは全てオリンの中に取り込んでいる。
 こういう時、荷物持ちがいると便利でいいよな。

 俺たちは攻撃専門だからな、荷物持ちは専門外なんだ。

「第一食材発見ですね。あれは一体なんだろう?」

 <コメント>
 :崖から覗き込んだ状態で、崖下に蠢く物体ちゃんですか?
 :ねぇ、サイズおかしくない?
 :サイズは今更だろ
 :北海道のフライングオニオンぐらいはあるな
 :あれ、あんなデケェの?
 :オリンが着地する前にキャッチしたから函館市は崩壊せずに済んだんやで
 :カボチャとか山ぐらいのサイズあったから
 :《菊池大輝》俺が街に落とすなって言った意味わかんだろぉ?
 :あれは正解
 :《菊池大輝》いや、ナビが生きてるのに道が潰えるのきついって意味で
 :あー
 :札幌まで送り届けるのに道の切断はきちーな
 :でもこの人達、海を横断して登別方面まで渡ったんだよな?
 :あれは頭おかしかった、搭乗者もこっち側だったか
 :運転手がまだ正常な判断下せてるのが救い
 :《菊池大輝》今でも生きてるのが不思議だよ
 :海に落とせもその後の産業全滅だけどな
 :結果空に上がって産業どころじゃねーけど
 :そういやそうじゃんwww
 :笑い事じゃないんだよなぁ

「とりあえず形状的にすり鉢状だし海水流し込んで茹で上げるか?」

 <コメント>
 :自然の地形を生かして料理ですか?
 :サバイバルってそういう意味じゃねーんだわ
 :この子、あまりにも発想が野蛮
 :ヨッちゃんだしなぁ
 :そういえば中身ヨッちゃんだった
 :北海道の海路横断規模の魔法をまた魅せてくれるのか?
 :まーた自然破壊ですか?

「とりあえずやってみよう。全体像が見えなきゃ俺たちも攻撃できない。ファンガスの例もある。あれが食部いつだった場合、茹でても効果がないかもだし」

「埋まってるだけってか? そのためにも炙り出しだな。ほーら海水一丁」

 まるでホースのように練り上げた水の通路で、近くの海からぐんぐん海水を取り込んではすり鉢に流し込んで行く。

 最初こそはジョバーッという感じだったが、直射日光に照らされていたのもあり、次第に熱がこもってぐつぐつと茹で上がって行くではないか。

 そういえばお湯は沸騰させやすくするために塩を入れることがある。

 海水も茹でると沸騰しやすいのだろうか?
 試したことはないので今回で反応を確かめるとしよう。

 すると沸騰した海水から這い上がるように出てきたのは蛸だった。

 規模はだいぶ大きいのでクラーケンサイズだろうか?
 あれは烏賊だが、ゲテモノの類なのでどっちもどっちだろう。

 それに、形状がそっくりなだけで蛸と決まったわけじゃないしな。

「いよっしゃ! たこ焼きパーティだ!」

「ボイルもいいよなぁ。菊池さんの店で食べたタコの頭のボイルは美味かった」

 <コメント>
 :まだ生きてるのにこの余裕
 :もう食う気満々ですか?
 :近くの岩を掴んで投擲体制ですが?
 :こーれはSSSクラスですわ
 :ヒュドラが可愛く見える
 :これヤラセじゃないの?
 :この人たちは現地調達、即座に調理のプロだぞ?
 :やらせだったらよかったねー
 :ここがどこだかわかんない時点でヤラセでしょ
 :ヤラセでクッキングとかすぐにボロが出るんだよな
 :セットどこにあんの?
 :そもそも、今は世界規模でダンジョンの出入りが禁止なのに
 :どうしてこの人たちだけダンジョンいるの?
 :なんだこいつ?
 :落ち着けよ、ここは初めてか?
 :調理すればすぐに黙るさ
 :実際にあんなモンスター見たことないもんな
 :向こうはお気楽だけど、もし同じ状況になったら俺あそこまで楽観視出来ねぇよ
 :なんせ迷い込んだ時点で帰れる見込みねぇしな
 :今ダンジョンを封鎖してんのだって帰りのゲートが停止したからって噂があるからじゃないっけ?
 :今ダンジョンそんなことになってんのな
 :北海道の産業終わった!
 :ダンジョンと地続きなんだっけ?

「ヨッちゃん、足止め頼む。俺は無駄な足を捕獲するから」

「あいよー。今回もクモ足みたいに再生すると楽しみも倍増だけどな!」

 <コメント>
 :あんなにでかいと味も大味じゃね?
 :ポンちゃんの加工スキルで大化けに一票
 :あぁ、熟成乾燥で干物にできるか
 :調味料、今回調味料にはならないんですか?
 :ダンジョンセンターも営業中止になってるからな
 :今そんなことになってんの?
 :国がダンジョンに旨みを感じなくなったらしい
 :旨みを感じないのは嘘
 :それ以上にリスクが上回ったってだけじゃない?
 :ポンちゃんの真似をする輩が増えたしな
 :匂いだけで我慢しとけってあれほど
 :それよりも前からだぞ?
 :今まで封鎖されなかったのがおかしいくらいだよ
 :なんで今になって封鎖とか言ってんの?

 何やらコメントで全く別のお話をしてるみたいだね。
 俺たちに至ってはどう料理しようかで頭の中がいっぱいになってるというのに。

 目視による加工の魔眼によって八つの足が切断される。
 ヨッちゃんは地中から棘状の岩山を射出して巨大タコをその場に縫い付けていた。

 足が無くなってもタコは暴れ続ける。
 その理由は、やはり再生力によるものか。

「お代わり、確認!」

「ひゃあ!」

 <コメント>
 :この二人ときたら食うことしか興味ないのか?
 :さすが色気より食い気コンビやな
 :食い気の権化ですよ
 :見た目が女性になっても変わらない、この食欲
 :それでこそだ!
 :似たもの姉弟ですねぇ
 :そういや兄弟だったな
 :一人女性なんだよなぁ
 :俺の中でヨッちゃんは胡散臭いおじさんで固定されてるから
 :こんなに可愛いのに
 :馬子にも衣装だろ
 :着飾れば女性に見えなくもない
 :それなぁ

 まぁ、ヨッちゃんは昔からこんな人だったし。
 急に女性らしくなっても中身は一緒なのは飲んだ時点でわかってた。

 再生の方は頭を潰さなきゃ無限に食べれるのはいいとして、問題は生の方の味だよなぁ。

 まずは刺身で醤油、塩の二択で提供。
 お供に日本酒を合わせる。

「うーん、大味。塩よりも醤油のほうが好き」

「俺は塩かなぁ? ちょっと塩で水気抜いてから下茹でしてみる」

「煮詰めて大丈夫かぁ?」

 タコは茹でると弾力が増す。適切にした処理すれば、歯切れも良くなり面白い食感を生む特性も持っている。

 この巨大タコに通用するかはともかくとして、そこら辺は食いながら要検証ってところか。

 塩で揉み込んで滑りを落とし、ボイルした。
 簡単に薄切りして味見をする。

「あーこれは山葵醬油」

「うん、俺もそっちかなぁ?」

 ボイルしたことで大味な感じは抜けた。
 さすがはゴーストソルトだ。
 大味なやつにはとりあえずこれ降っても見込めば大体のことは解決する万能具合。

 さて、次はどうするか。
 ミンサーで別の肉に変えるまでに色々試したい。
 包丁でミンチにした後小麦粉と合わせてフライにする。

 用途としては練り物に近い。
 付け合わせにソース、マヨネーズ、塩を合わせる。

「マヨネーズとソース、後青のり」

「紅生姜もつけようか?」

「そこまでしたらたこ焼きでよくね?」

「そうだなぁ、作るか」

「ひゅー! ビール用意しよ」

 <コメント>
 :こんなでかい生物が果たして美味いのかって思うが
 :ちゃんと食えてるあたりでは美味いんやろなぁ
 :肉汁とかとは縁遠いから匂いがあんまり
 :イカ焼きの匂いはうまそうだろうがよ!
 :たこ焼きだってうまそうだろ?

 なんだかんだでこうして、たこ焼きパーティが始まった。
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