3 / 88
一章 ゴミ拾いと冒険者生活
3 採取って難しい
しおりを挟む
詳しく話を聞くと、今回の問題点は明確にヒリング草だと判断できる『目利き』が出来る人が居らず、うろ覚えで採取したもんだから予想した報酬を大きく下回ったらしい。
ヒリング草とポイズ菜はよく似ており、判断するには葉の形が丸みを帯びているか、微妙に尖っているか見極めねばならない。
素人目にはどちらも同じように見えるため、すごく扱いの難しいクエストとも言われていた。
そして査定額で大きな差を放つ。
ポイズ菜は一束40ゼニスなのに対し、ヒリング草は一束300ゼニス。差は大凡八倍である。
「兄さん、僕ヒリング草の特徴覚えておこうか?」
僕に出来るのはそれくらいだ。そう思って提案したのだが。
「悪い、言ってなかったな。お前はクエストには連れてかない」
「え、どうして?」
「まぁ、そうよね。道中危険でモンスターの対抗手段もなし。簡単に死ぬ未来が見える。そんで、こいつはあんたを大切に思ってる」
ミキリー・ハッシャさんがグラスを傾けながら代弁してくれた。それは残念。
「ゴミは大量に出るから居てくれたら助かるというのも本音です」
ストック・ナインさんがパーティ内の愚痴をこぼす。居てほしい反面、戦力不足だから連れて行けない。ついていくには自分の身は自分で守らなくちゃいけないんだ。
「余計なこと言うな。弟の面倒はオレが持つって話だろ?」
「実際の所、どんなスキルを与えられたんだい? それくらい知っても別にバチは当たんないだろ?」
「そうですよ、せっかくウチのパーティで面倒見るんです。別のクエストを案内するにも、得意分野は聞いておいて損はありません。ミキリー様は大変賢くてらっしゃる」
「テメェ! あたしに喧嘩売ってんのか、ストック!」
「滅相もございません。口より先に手が出るお嬢様にしては明暗だと同意しただけです」
「やめろ、お前ら! 弟の前で。オレの株がみるみる下がるだろ!」
兄さんは今まで築き上げた地位が、下がってると思ってるけど。
外の世界で働いて、僕たちの食生活に大きく貢献してくれた。そんな兄さんを誰がみっともないと思うだろうか?
それと同時に僕の方でもスキルの説明をする。
ゴミ拾いの能力は、まず拾うゴミの設定から始まる。
拾う対象を選択し、コストを稼ぐ事で選択肢が増えていくようだ。初期段階で選べるゴミは多くない。
埃、カビなどだ。
設定したらあとは勝手に拾ってくれる。僕が手を伸ばした範囲に効果が適用されるみたい。
そう話すと、兄さん達は深く考え込む。
僕はそわそわしながら答えをまった。
「取り敢えず、宿に戻ろうぜ。アルコールが回っちまってうまく考えがまとまらねぇ」
「お嬢様の仰る通り、これは難しい問題です。ですが選べるゴミの選択肢によっては、化ける可能性もございます」
「本当か、ストック!」
「すべてはルークさんのスキル次第ですよ、アスターさん」
「そりゃそうだがよ、でも、道はあるんだな? 良かった、本当に良かった」
兄さんは僕の問題を自分のことのように向き合ってくれた。
この恩には報いたいな。
案内された宿は埃が溜まっていた。兄さん達はしょっちゅう遠征しており、掃除の類は料金に含まれていないとのことだ。僕は早速ゴミに埃を選択して室内をうろうろした。
思った通り、スコアが上がった。
これが本当に強くなるのか微妙だが、今はストックさんの言い分を信じる他なかった。
ヒリング草とポイズ菜はよく似ており、判断するには葉の形が丸みを帯びているか、微妙に尖っているか見極めねばならない。
素人目にはどちらも同じように見えるため、すごく扱いの難しいクエストとも言われていた。
そして査定額で大きな差を放つ。
ポイズ菜は一束40ゼニスなのに対し、ヒリング草は一束300ゼニス。差は大凡八倍である。
「兄さん、僕ヒリング草の特徴覚えておこうか?」
僕に出来るのはそれくらいだ。そう思って提案したのだが。
「悪い、言ってなかったな。お前はクエストには連れてかない」
「え、どうして?」
「まぁ、そうよね。道中危険でモンスターの対抗手段もなし。簡単に死ぬ未来が見える。そんで、こいつはあんたを大切に思ってる」
ミキリー・ハッシャさんがグラスを傾けながら代弁してくれた。それは残念。
「ゴミは大量に出るから居てくれたら助かるというのも本音です」
ストック・ナインさんがパーティ内の愚痴をこぼす。居てほしい反面、戦力不足だから連れて行けない。ついていくには自分の身は自分で守らなくちゃいけないんだ。
「余計なこと言うな。弟の面倒はオレが持つって話だろ?」
「実際の所、どんなスキルを与えられたんだい? それくらい知っても別にバチは当たんないだろ?」
「そうですよ、せっかくウチのパーティで面倒見るんです。別のクエストを案内するにも、得意分野は聞いておいて損はありません。ミキリー様は大変賢くてらっしゃる」
「テメェ! あたしに喧嘩売ってんのか、ストック!」
「滅相もございません。口より先に手が出るお嬢様にしては明暗だと同意しただけです」
「やめろ、お前ら! 弟の前で。オレの株がみるみる下がるだろ!」
兄さんは今まで築き上げた地位が、下がってると思ってるけど。
外の世界で働いて、僕たちの食生活に大きく貢献してくれた。そんな兄さんを誰がみっともないと思うだろうか?
それと同時に僕の方でもスキルの説明をする。
ゴミ拾いの能力は、まず拾うゴミの設定から始まる。
拾う対象を選択し、コストを稼ぐ事で選択肢が増えていくようだ。初期段階で選べるゴミは多くない。
埃、カビなどだ。
設定したらあとは勝手に拾ってくれる。僕が手を伸ばした範囲に効果が適用されるみたい。
そう話すと、兄さん達は深く考え込む。
僕はそわそわしながら答えをまった。
「取り敢えず、宿に戻ろうぜ。アルコールが回っちまってうまく考えがまとまらねぇ」
「お嬢様の仰る通り、これは難しい問題です。ですが選べるゴミの選択肢によっては、化ける可能性もございます」
「本当か、ストック!」
「すべてはルークさんのスキル次第ですよ、アスターさん」
「そりゃそうだがよ、でも、道はあるんだな? 良かった、本当に良かった」
兄さんは僕の問題を自分のことのように向き合ってくれた。
この恩には報いたいな。
案内された宿は埃が溜まっていた。兄さん達はしょっちゅう遠征しており、掃除の類は料金に含まれていないとのことだ。僕は早速ゴミに埃を選択して室内をうろうろした。
思った通り、スコアが上がった。
これが本当に強くなるのか微妙だが、今はストックさんの言い分を信じる他なかった。
316
あなたにおすすめの小説
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
【完結】聖獣もふもふ建国記 ~国外追放されましたが、我が領地は国を興して繁栄しておりますので御礼申し上げますね~
綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放? 最高の褒美ですね。幸せになります!
――いま、何ておっしゃったの? よく聞こえませんでしたわ。
「ずいぶんと巫山戯たお言葉ですこと! ご自分の立場を弁えて発言なさった方がよろしくてよ」
すみません、本音と建て前を間違えましたわ。国王夫妻と我が家族が不在の夜会で、婚約者の第一王子は高らかに私を糾弾しました。両手に花ならぬ虫を這わせてご機嫌のようですが、下の緩い殿方は嫌われますわよ。
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放。すべて揃いました。実家の公爵家の領地に戻った私を出迎えたのは、溺愛する家族が興す新しい国でした。領地改め国土を繁栄させながら、スローライフを楽しみますね。
最高のご褒美でしたわ、ありがとうございます。私、もふもふした聖獣達と幸せになります! ……余計な心配ですけれど、そちらの国は傾いていますね。しっかりなさいませ。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
※2022/05/10 「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過
※2022/02/14 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2022/02/13 小説家になろう ハイファンタジー日間59位
※2022/02/12 完結
※2021/10/18 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2021/10/19 アルファポリス、HOT 4位
※2021/10/21 小説家になろう ハイファンタジー日間 17位
追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される
希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。
すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。
その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる