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第四章 南大陸
拾われ子と不死鳥 中編
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『(あの時はびっくりした……)』
落とさない様にと薄紅色の石、元いザクロの卵をアイテムポーチにしまおうとして、スイは違和感を覚えた。
『…………?』
《スイ? どうした?》
『……いや、気のせいかな……? 何でもないよ』
ほんの少しだけ色が濃くなっている気がしたが確信は持てないまま、ポーチに確かに卵を入れたのを目視で認めたスイは前を向く。
熱気と傾斜で体力を奪ってくる上り坂を歩いていると、何かが不規則に跳ねる音が聞こえた。
「この音はスライムですかな」
「火山に出るって事はマグマスライムだね。バーンスライムより危ないから気を付けて」
火山帯に生息するマグマスライムは攻撃性が高く、B-ランクとスライム種の中でも危険な部類と認識されている。
本来、スライム種は体内に酸を持つが、マグマスライムはその名と見た目の通りマグマで満たされており、敵に向かって放出したり、身の危険を感じた際はマグマを固める等防御にも利用する。この時の硬さは、フリージングスライムをも超える。
『私がやります』
「私めも参りましょう」
スライム種に物理攻撃は効きにくい。属性相性の良いスイとソウジロウが遠距離から水属性魔法でマグマスライムの群れを一網打尽する。後には、大きさの不揃いな火の魔石が転がった。
「爽快だねぇ。さっすが……お?」
上位のモンスターを一掃した二人を称賛したアレックスは、空から向かってくる影に双剣を抜いた。
「次はアタシらが前に出よっか。コハク」
グルッ、と短く鳴いて同意したコハクが空に向かって地属性魔法を撃つ。猛烈な速さで飛んでくるそれに反応しきれず、数羽が撃墜された。
躱して急降下してきたモンスター、マグマバルチャーを二本の剣を持つアレックスが二羽同時に迎え討つ。そのまま足を止めずに、地上近くまで降りてきていた個体を斬り捨てた。
「ゲギャッ!?」
マグマバルチャーにとって人間は餌だ。その餌に同族が一撃で殺られるとは思いもしなかったのだろう。驚き戸惑い、降下する速度が緩んだ隙を、コハクは見逃さない。
長くしなやかな四本の脚で駆けて跳び、爪で裂いて牙を穿ち、獲物を屠る。空に逃げた個体は岩の槍が貫いた。
どさりと音を立てて落ちた最後のマグマバルチャー。宙を揺蕩っていた一本の羽根が音もなく亡骸の上に降りた。
「お見事。真に鮮やかでした」
「ふいー、ありがと」
『コハク、魔法速くなったね。身体が前よりも大きくなったから魔力も増えたのかな?』
《オレもびっくりした。何だか、力が有り余ってる感じがする》
「スイ、アタシはアタシは?」
『アレックスさんも力強くて速くて、虎系モンスターみたいでした。格好良かったです』
「ホント? 嬉しいなぁ。スイに褒められるのって気分良くなるよね」
《解る》
『暑い』
左側からアレックスに抱き着かれ、右側にぴったりとコハクに寄り添われたスイの顔や首をダラダラと汗が流れる。
倒れかねないから此処ではやめるようにとソウジロウに叱られて、渋々一人と一匹は離れた。
その後も、火山帯を主な生息地とするモンスターを倒しながら暫く歩いていたが、その数が少なくなったと思うとぱたりとモンスターを見掛けなくなった。
『……空気が変わりましたね。何だか、この感じ何処かで……』
「モンスターがいない事と関係ありそうだね」
「気を引き締めて参りましょう」
警戒しながら歩くが、モンスターの影すら見かける事は無いまま山頂へと辿り着いた。大きく息を吐いたスイが両膝に手をつく。
『ふはぁ……着いた……!』
俯いた鼻先や顎から汗を滴らせて、呼吸を整えるスイをコハクが心配そうに見つめ、ソウジロウが水を渡して更に汗を拭ったりと世話を焼こうとしたが、やんわりと断られる。
その横で、アレックスは腕を空に突き出して上体を伸ばした。
「此処がティヴァフランマの頂上かー……!」
『アレックスさんも初めて登ったんですか?』
「うん。ドラゴンがいるって有名な山だからね。道中のモンスターも当時Dランクの身には辛い奴等ばっかだし、本当にドラゴンに遭ったらどうなるかなんて火口に落ちる鳥を見るよりも明らかだから登った事無かった」
火口周辺に柵なんて物は無い。赤々としている大穴下部に落ちたら目も当てられないので、スイ達は火口から充分離れてから山頂一帯を見回す。
「火口の中以外は一面灰色で無味な景色だねぇ」
『此処で良いんだよね? コハク』
《頂上で待ってるってザクロは言ってたぞ。その後、小さな火になっちゃったけど》
『…………でも、死なないって言ってたんだよね?』
《うん。眠るだけだって》
『……じゃあ、まだ寝てるのかな……』
「そうだ。彼奴は寝坊助だからな」
『「「!?」」』
頭上から聞こえた重低音に、全員が空を見上げて即座に臨戦態勢に入る。翼を鳴らして赫き龍がスイ達の前に降り立った。
『…………!!』
赫い巨体に赫い眼。厳かな雰囲気を強く持つ龍に、スイは北大陸で逢った月白色の龍と似たものを感じた。
「何だ、北の氷とは既知の仲か」
『!』
「あぁ、人間相手だとつい読んでしまう。言葉を交わさねばな」
『あの、北の氷とは、氷の力を持つ月白色の真龍の事ですか?』
「そうだ。南のこの地で火の力を司る余と同じ様に、北の地にも水の力を司るドラゴンがおる。彼奴はその眷族の氷龍だ」
『「え?」』
南大陸で火属性を司る存在、つまりは。
『……五大古龍の一柱、炎龍……』
「如何にも、人間達からはそう呼ばれておる。その炎龍相手に警戒するとは、貴様等中々気骨があるな」
スイの前に出たコハクと、さりげなくスイの護りに入っているソウジロウに炎龍は目を細める。暑さとは別の原因から浮かんだ汗が、ソウジロウのこめかみを流れた。
見つめ合うスイ達と炎龍。その沈黙を破ったのは、申し訳なさそうな声をあげたアレックスだった。
「……皆、もしかしなくても何か視えてるよね……?」
『え?』
「アレックス殿には視えておらぬのですか?」
「うん……。声は聞こえてるし、何かとんでもない気配を其処に感じてもいるんだけどね……。ごめん、雰囲気ぶち壊して……」
「ああ、こっちのヒトは視る力が弱いのか。ちと待て」
スイとコハクが、しおしおとしょぼくれているアレックスを慰める。そのアレックスの額に炎龍は爪先で触れると、「ふむ」と呟いた。
「な、何か今おでこ触られた!」
「このくらいか」
「うわぁっ!?」
パッと突然眼の前に現れた炎龍に、アレックスは仰け反りすぎてひっくり返った。限界まで見開かれた蜂蜜色の眼が満月の様になっている。
「き、急に出てきた……。デッカ……! 強そう……!! てかアタシ今何されたの……?」
「……無遠慮過ぎてヒヤヒヤしますな」
礼儀の欠片も無いアレックスに、ソウジロウの本音が零れ出たが当の炎龍自身は気分を害した様子は無い。
「貴様に何かしたのではなく、余が貴様の眼にも見える様に調節したのだ。これで話も続けられよう。さて、其処の甦りし者から話は聞いておるな? 天の子よ」
北大陸の氷龍からもそう呼ばれた事をスイは思い出す。意味は解らないが、自分の事かと確認する前に炎龍は気付いた様に声をあげた。
「あぁ、ヒトはそれぞれ、付けられた個体名で呼ぶのだったな。天の子よ、名は何と言う」
『スイと申します』
「スイ、不死の源は持ってきておるな?」
『……これですか? コハクからは、ザクロの卵だと聞きましたが……あれ?』
アイテムポーチから取り出したザクロの卵を炎龍に向けて見せる。その色は、薄紅色から見る見る内に紅みを増していく。スイの眼に不安が浮かんだ。
『え? え……!?』
「案ずるでない。力が蓄えられているだけだ。此処は火の力が強いからな。その色が濃くなる程、孵化、つまりは再誕の時が近い証となる」
『再誕……あの、解らない事があるんです』
「答えよう。申せ」
快諾した炎龍に、スイはずっと疑問に思っていた事を言葉にする。
『ザクロの卵をファイヒの洞窟で手に入れた時、ザクロは既に生まれていて私達と一緒にいました。だから、これがザクロの卵だと言うのがどう言う事なのか、よく解らないのです。教えていただけませんか?』
「簡単な事だ。貴様等の言うザクロとやらと不死のは同一の存在ではないからよ」
『………?』
《??》
「???」
「(……真龍は彼方も此方も同じらしい……)」
真龍という存在に慣れているソウジロウだけが困惑せずに受け入れている。
色々思いそうにはなるが、龍は心を読むのでソウジロウは無心である事に努める。
「……む、解らぬか。これ以上解りやすくするとなると、どう説明したものか……」
「(もしかして炎龍って結構脳筋なのかな)」
「脳筋とやらの詳細な意味は解りかねるが、何やら無礼な事なのは解るぞ」
「わわわわ、ご、ごめんなさい!!」
慌てふためくアレックスを睨んだ炎龍が、スイの手にある卵に眼を向ける。
「余から話すより、不死のから聞いた方が良いな。もう再誕しようとしておる」
『え? あっ!』
濃紅色の殻に小さなヒビが入り、魔力とも霊力とも異なる火の力が漏れ出る。ヒビは音を立てて縦に広がると、卵がぱかりとふたつに分かれた。
「ぴゅるっ!」
「《小さ》」
コハクから聞いていた話とは裏腹に、スイの片手に収まる程の小さな小さな紅い雛が誇らしげに短い前肢を広げた。
落とさない様にと薄紅色の石、元いザクロの卵をアイテムポーチにしまおうとして、スイは違和感を覚えた。
『…………?』
《スイ? どうした?》
『……いや、気のせいかな……? 何でもないよ』
ほんの少しだけ色が濃くなっている気がしたが確信は持てないまま、ポーチに確かに卵を入れたのを目視で認めたスイは前を向く。
熱気と傾斜で体力を奪ってくる上り坂を歩いていると、何かが不規則に跳ねる音が聞こえた。
「この音はスライムですかな」
「火山に出るって事はマグマスライムだね。バーンスライムより危ないから気を付けて」
火山帯に生息するマグマスライムは攻撃性が高く、B-ランクとスライム種の中でも危険な部類と認識されている。
本来、スライム種は体内に酸を持つが、マグマスライムはその名と見た目の通りマグマで満たされており、敵に向かって放出したり、身の危険を感じた際はマグマを固める等防御にも利用する。この時の硬さは、フリージングスライムをも超える。
『私がやります』
「私めも参りましょう」
スライム種に物理攻撃は効きにくい。属性相性の良いスイとソウジロウが遠距離から水属性魔法でマグマスライムの群れを一網打尽する。後には、大きさの不揃いな火の魔石が転がった。
「爽快だねぇ。さっすが……お?」
上位のモンスターを一掃した二人を称賛したアレックスは、空から向かってくる影に双剣を抜いた。
「次はアタシらが前に出よっか。コハク」
グルッ、と短く鳴いて同意したコハクが空に向かって地属性魔法を撃つ。猛烈な速さで飛んでくるそれに反応しきれず、数羽が撃墜された。
躱して急降下してきたモンスター、マグマバルチャーを二本の剣を持つアレックスが二羽同時に迎え討つ。そのまま足を止めずに、地上近くまで降りてきていた個体を斬り捨てた。
「ゲギャッ!?」
マグマバルチャーにとって人間は餌だ。その餌に同族が一撃で殺られるとは思いもしなかったのだろう。驚き戸惑い、降下する速度が緩んだ隙を、コハクは見逃さない。
長くしなやかな四本の脚で駆けて跳び、爪で裂いて牙を穿ち、獲物を屠る。空に逃げた個体は岩の槍が貫いた。
どさりと音を立てて落ちた最後のマグマバルチャー。宙を揺蕩っていた一本の羽根が音もなく亡骸の上に降りた。
「お見事。真に鮮やかでした」
「ふいー、ありがと」
『コハク、魔法速くなったね。身体が前よりも大きくなったから魔力も増えたのかな?』
《オレもびっくりした。何だか、力が有り余ってる感じがする》
「スイ、アタシはアタシは?」
『アレックスさんも力強くて速くて、虎系モンスターみたいでした。格好良かったです』
「ホント? 嬉しいなぁ。スイに褒められるのって気分良くなるよね」
《解る》
『暑い』
左側からアレックスに抱き着かれ、右側にぴったりとコハクに寄り添われたスイの顔や首をダラダラと汗が流れる。
倒れかねないから此処ではやめるようにとソウジロウに叱られて、渋々一人と一匹は離れた。
その後も、火山帯を主な生息地とするモンスターを倒しながら暫く歩いていたが、その数が少なくなったと思うとぱたりとモンスターを見掛けなくなった。
『……空気が変わりましたね。何だか、この感じ何処かで……』
「モンスターがいない事と関係ありそうだね」
「気を引き締めて参りましょう」
警戒しながら歩くが、モンスターの影すら見かける事は無いまま山頂へと辿り着いた。大きく息を吐いたスイが両膝に手をつく。
『ふはぁ……着いた……!』
俯いた鼻先や顎から汗を滴らせて、呼吸を整えるスイをコハクが心配そうに見つめ、ソウジロウが水を渡して更に汗を拭ったりと世話を焼こうとしたが、やんわりと断られる。
その横で、アレックスは腕を空に突き出して上体を伸ばした。
「此処がティヴァフランマの頂上かー……!」
『アレックスさんも初めて登ったんですか?』
「うん。ドラゴンがいるって有名な山だからね。道中のモンスターも当時Dランクの身には辛い奴等ばっかだし、本当にドラゴンに遭ったらどうなるかなんて火口に落ちる鳥を見るよりも明らかだから登った事無かった」
火口周辺に柵なんて物は無い。赤々としている大穴下部に落ちたら目も当てられないので、スイ達は火口から充分離れてから山頂一帯を見回す。
「火口の中以外は一面灰色で無味な景色だねぇ」
『此処で良いんだよね? コハク』
《頂上で待ってるってザクロは言ってたぞ。その後、小さな火になっちゃったけど》
『…………でも、死なないって言ってたんだよね?』
《うん。眠るだけだって》
『……じゃあ、まだ寝てるのかな……』
「そうだ。彼奴は寝坊助だからな」
『「「!?」」』
頭上から聞こえた重低音に、全員が空を見上げて即座に臨戦態勢に入る。翼を鳴らして赫き龍がスイ達の前に降り立った。
『…………!!』
赫い巨体に赫い眼。厳かな雰囲気を強く持つ龍に、スイは北大陸で逢った月白色の龍と似たものを感じた。
「何だ、北の氷とは既知の仲か」
『!』
「あぁ、人間相手だとつい読んでしまう。言葉を交わさねばな」
『あの、北の氷とは、氷の力を持つ月白色の真龍の事ですか?』
「そうだ。南のこの地で火の力を司る余と同じ様に、北の地にも水の力を司るドラゴンがおる。彼奴はその眷族の氷龍だ」
『「え?」』
南大陸で火属性を司る存在、つまりは。
『……五大古龍の一柱、炎龍……』
「如何にも、人間達からはそう呼ばれておる。その炎龍相手に警戒するとは、貴様等中々気骨があるな」
スイの前に出たコハクと、さりげなくスイの護りに入っているソウジロウに炎龍は目を細める。暑さとは別の原因から浮かんだ汗が、ソウジロウのこめかみを流れた。
見つめ合うスイ達と炎龍。その沈黙を破ったのは、申し訳なさそうな声をあげたアレックスだった。
「……皆、もしかしなくても何か視えてるよね……?」
『え?』
「アレックス殿には視えておらぬのですか?」
「うん……。声は聞こえてるし、何かとんでもない気配を其処に感じてもいるんだけどね……。ごめん、雰囲気ぶち壊して……」
「ああ、こっちのヒトは視る力が弱いのか。ちと待て」
スイとコハクが、しおしおとしょぼくれているアレックスを慰める。そのアレックスの額に炎龍は爪先で触れると、「ふむ」と呟いた。
「な、何か今おでこ触られた!」
「このくらいか」
「うわぁっ!?」
パッと突然眼の前に現れた炎龍に、アレックスは仰け反りすぎてひっくり返った。限界まで見開かれた蜂蜜色の眼が満月の様になっている。
「き、急に出てきた……。デッカ……! 強そう……!! てかアタシ今何されたの……?」
「……無遠慮過ぎてヒヤヒヤしますな」
礼儀の欠片も無いアレックスに、ソウジロウの本音が零れ出たが当の炎龍自身は気分を害した様子は無い。
「貴様に何かしたのではなく、余が貴様の眼にも見える様に調節したのだ。これで話も続けられよう。さて、其処の甦りし者から話は聞いておるな? 天の子よ」
北大陸の氷龍からもそう呼ばれた事をスイは思い出す。意味は解らないが、自分の事かと確認する前に炎龍は気付いた様に声をあげた。
「あぁ、ヒトはそれぞれ、付けられた個体名で呼ぶのだったな。天の子よ、名は何と言う」
『スイと申します』
「スイ、不死の源は持ってきておるな?」
『……これですか? コハクからは、ザクロの卵だと聞きましたが……あれ?』
アイテムポーチから取り出したザクロの卵を炎龍に向けて見せる。その色は、薄紅色から見る見る内に紅みを増していく。スイの眼に不安が浮かんだ。
『え? え……!?』
「案ずるでない。力が蓄えられているだけだ。此処は火の力が強いからな。その色が濃くなる程、孵化、つまりは再誕の時が近い証となる」
『再誕……あの、解らない事があるんです』
「答えよう。申せ」
快諾した炎龍に、スイはずっと疑問に思っていた事を言葉にする。
『ザクロの卵をファイヒの洞窟で手に入れた時、ザクロは既に生まれていて私達と一緒にいました。だから、これがザクロの卵だと言うのがどう言う事なのか、よく解らないのです。教えていただけませんか?』
「簡単な事だ。貴様等の言うザクロとやらと不死のは同一の存在ではないからよ」
『………?』
《??》
「???」
「(……真龍は彼方も此方も同じらしい……)」
真龍という存在に慣れているソウジロウだけが困惑せずに受け入れている。
色々思いそうにはなるが、龍は心を読むのでソウジロウは無心である事に努める。
「……む、解らぬか。これ以上解りやすくするとなると、どう説明したものか……」
「(もしかして炎龍って結構脳筋なのかな)」
「脳筋とやらの詳細な意味は解りかねるが、何やら無礼な事なのは解るぞ」
「わわわわ、ご、ごめんなさい!!」
慌てふためくアレックスを睨んだ炎龍が、スイの手にある卵に眼を向ける。
「余から話すより、不死のから聞いた方が良いな。もう再誕しようとしておる」
『え? あっ!』
濃紅色の殻に小さなヒビが入り、魔力とも霊力とも異なる火の力が漏れ出る。ヒビは音を立てて縦に広がると、卵がぱかりとふたつに分かれた。
「ぴゅるっ!」
「《小さ》」
コハクから聞いていた話とは裏腹に、スイの片手に収まる程の小さな小さな紅い雛が誇らしげに短い前肢を広げた。
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