異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第二章 初学院編

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「初めまして、皆さん。アース・ジーマルと申します。私は幼少の頃より病弱で、つい先日まで自領の別荘で療養をしておりました。恥ずかしながら私、家族や使用人以外の方との交流の機会があまりなく、非常に緊張しております。しかしそれ故に、この初学院で皆さんにお会いできることを楽しみにしておりました。授業で楽しみな教科は、魔法実技の授業です。是非仲良くしていただけると幸いです。これからよろしくお願いいたします。」



俺がそういってお辞儀をすると、沈黙が訪れた。え、なんだ? 何かミスったか、俺? 

すると、一つだけ拍手が聞こえてきた。拍手のした方向を向くと、そこには赤い髪の少年が………。キルだ。少し成長したようで、ますますかっこよくなっていた。まだ少年味が抜けていないところが、グッとくる。ありがとう、アクションを起こしてくれて。俺はキルに向かって、笑顔で微笑んだ。すると、教室中から声がわき始めた。



「キャー!! 銀色の君よーー!!」

「キャーー!! 何て素敵な銀髪なのーー!! 笑顔が眩しいわ!!」

「あれが、ジーマル家の次男なのか………。病弱と聞いていたが、健康そうな感じだな。」




待て待て、何をそんなに騒いでいるんだ? いろいろ聞こえてくるけど、主に女子が銀髪に過剰に反応していることはわかる。確かに周りを見渡すと、銀髪は一人もいないようだけどそんなに珍しいのか? 父上は銀髪だけど、兄上は母上譲りの桜色の髪をしている。銀髪が珍しいなんて、初耳だ。



「えー、静粛に。アース君は幼少のころから自領で療養していたため、皆色々なことを教えてあげてほしい。ではまず、彼に初学院を案内してあげてほしいのだが………。Aクラスの学級委員長のマーガレット様、お願いできますか?」


すると、マーガレットと呼ばれた少女が返事をし、立ち上がった。うわっ、すごい美少女だな………。きれいなブロンドの巻き髪に青い目を持っている。学級委員長ということで、男女問わず人気者なんだろうな。



「お待ちください、モール先生。その役目、俺が引き受けてもよろしいでしょうか?」


え、キル? 声のした方を見ると、キルが手を挙げていた。それは、キルに案内してもらったほうが嬉しいけど………。


「おや? 殿下とアース君はお知り合いなのでしょうか?」



へ? 殿下? 誰が殿下だって? ま、まさか………。



「モール先生、一つ確認なのですが、今手を挙げている方が第二王子殿下でしょうか?」


「ええ。第二王子殿下の、キルヴェスター殿下ですよ。お知り合いではないのですか?」



………。




「はーーー? キル、王子だったの!」


「貴様!! キルヴェスター殿下を呼び捨てにするとは、いったい何事だ!」


え、誰? 見るとキルの近くに座っていた少年が、俺に向かって吠えていた。

いや、今君に構っている暇はないんだ。キルが、第二王子殿下………。待って、俺、色々失礼なことしたよな? そしてもっとやばいのが、あの別れ際に言ったキルの兄上へのお説教の伝言だ。キルの兄ということはあれだよな、第一王子殿下………。ということは、アルフォンスさんは第一王子殿下の側近で、そのアルフォンスさんを通じて、俺は第一王子殿下を間接的に説教したことになる。終わった………。不敬罪で処罰される………。

吠えている少年をよそに、俺はキルの方を向いた。キルは楽しそうに笑いながら、自分の手首を示していた。え、今度は何? あ、腕時計のこと?


俺は左腕をまくって、腕時計を出した。すると、


「あれは、深紅の薔薇の刻印………。」
「あの見事な腕時計はまさか、バルザンス公爵家の………。」


再び周りの生徒が騒ぎ出した。今度は何に反応したんだ? 赤い薔薇の刻印? これは何を意味して………。


「アースは俺の側近になる予定です。彼の腕時計の赤い薔薇の刻印がその証拠です。」


「えーーー! 俺、いつの間にキルの側近になったんだ?」


「貴様――! 何でお前のようなものがその刻印を持っているんだ! 殿下がこの刻印をどんな思いで使用なさっているのか、お前に分かるのか!」



だからお前は誰だよ! この刻印がキルの側近の証みたいなものだということは、なんとなくわかった。だけど、俺にキルの何がわかるのかって? 今は全く分からないよ! 俺が今までしていたことと言えば、キルの名前がキルヴェスターということと、この魔力腕時計の機能くらいなもんだよ! それだけなんだ………。なんか、無性に腹が立ってきたな。

俺は、吠えている彼の元へと向かって歩き出した。キルから学んだことの代表例がこの妙に格式高い礼儀作法だ。今思うと、キルが王族だから格式が高かったのだ。洗練された礼儀作法は貴族の武器となる。歩き方やお辞儀一つとっても、それは大きな武器となる。相手への牽制、威圧、賛辞等、使い方や場面、場所によって大きな効果を発揮する。キルが教えてくれたのはただの礼儀作法ではなく、宮廷作法だろう。

俺は一挙一動に注意しながら、彼の元へと向かった。このカオスな状況で周りはざわめいていたが、俺が歩き出すとピタッと静寂が訪れた。そして、彼の目の前に立つと俺は流れるようにお辞儀をした。


「初めまして、アース・ジーマルと申します。あなたの名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


彼は唖然としていたが、か細く声を発した。


「………キース・ツーベルク。」



ツーベルクということは、侯爵家か。それに、ツーベルク侯爵は宮廷騎士団団長を務めている方だ。つまり、剣最強のお方だ。なるほど、彼は騎士団団長のご子息というわけか。



「あれから、所作にさらに磨きがかかっているな。流石、アース。」


彼の隣にいたキルが、能天気にそういった。ちょっと待て、他に言うことがいろいろあるんじゃないのか?



「キル、聞きたいことがたくさんあ………」



俺が言う途中で、教室のドアが勢いよく開かれた。そこにいたのは、まぎれもなく俺の兄上だった。


「アース!! 兄上が迎えにきたよーー! 第一王子殿下がお呼びだから、すぐに来てくれるかな?」


兄上はそういうと、俺の元へ駆けつけ俺のことを抱きしめた。ちょっ、ブラコンすぎるよ兄上!

あーついに来てしまったか、処刑宣告が………。第一王子殿下に呼び出されるなんて、あの説教の件しか思い浮かばない………。




「キャー!! マクウェル様よ!!」
「今日も一段と素敵だわ!!」
「素晴らしい兄弟愛ですわ!!」




おい、誰かこのカオスを何とかしてくれ。というか一人、腐女子的な発言が混じっていなかったか? あとでお近づきになりたい。

すると、もう一人教室へと入ってきた。
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