異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

文字の大きさ
31 / 170
第二章 初学院編

30

しおりを挟む
「ご丁寧にありがとうございます。お初にお目にかかります。アース・ジーマルと申します。こちらこそよろしくお願いします。………それから、マリア様、ムンナ様、先程はありがとうございました。」


「「いえ、とんでもないですわ。」」


「まあ、お二人とジーマル様はお知り合いでしたのね。よろしければわたくしのこともマーガレットとお呼びくださいませ。」


「ありがとうございます。では、俺のこともアースと是非お呼びください。それからキル、今週の王都案内はまた別の機会で大丈夫だよ。」


俺がそういうと、キルは微妙な顔をした。最近キルのこの微妙な顔をよく見るけど、大体は俺に異議を申し立てたいときにこの顔をしているように思う。



「………それはできない。アースの約束の方が先だからな。俺に約束を破らせないでくれ。」


それはものすごくうれしいけど………。俺達でそうして譲り合っていると、マーガレット様が小さく笑った。


「うふふふふふ。キル殿下とアース様は本当に仲がよろしいみたいですね。では、こうするのはいかがでしょうか? クラスメイトや他の皆さんもお呼びして、王都のレストランでアース様の歓迎会を致しましょう。アース様とお話しできる機会をうかがっている方も多いようですし、どうでしょうか?」



歓迎会か………少し緊張するけど大変魅力的な提案だな。

王都のレストランということで王都内の様子を知ることができるし、同時にキルたちも参加できるようにするために歓迎会を提案したわけか。なかなかの妥協案である。俺はうれしいけど、キルたちは………って、みんな俺のことを見ているようだ。俺の返答次第というわけだな。



「大変魅力的な提案をありがとうございます。キルヴェスター殿下がよろしければ、是非お願いしたいと思います。」


「………わかった。俺も協力するから、何か役割があったら言ってくれ。」


「キル殿下は来ていただけるだけで十分ですけど………。では、皆様への声掛けをよろしく願いいたします。わたくしがレストランをおさえておきますので、運営に関してはお任せください。アース様、お呼びするのは生徒だけでよろしいでしょうか? お望みでしたら、先生方や大人の方々をお呼びすることも可能ですわよ?」

「生徒の皆さんだけで十分です! ご配慮いただきありがとうございます。」


公爵家のマーガレット様が声をかけまくったら、誰が登場するかわからない。歓迎会というよりはむしろ、一種のパーティーに変貌してしまう。お茶会すら出たことのない俺にはハードルが高すぎる。俺は少し食い気味にお願いした。



「かしこまりましたわ。では、当日を楽しみにしていてくださいませ。ごきげんよう。」



そういうと、マーガレット様一行は颯爽と教室をあとにした。すると、教室内外からの話し声が大きくなった。特に女性陣からの黄色い声が聞こえてきたが、きっと気のせいだろう。




「なんか大事になったッスね。アースは、こういうパーティーとかに出たことはあるッスか?」


「ないよ! お茶会すら出たことなかったのに、歓迎会だなんて………。だからさっき、キルにお茶会について教えてほしいと頼んだばかりなんだよ。パーティーのマナーって難しいの?」


「特に難しいことはないと思うぜ。アースなら、あの宮廷作法を貫いておけば大丈夫さ。なあ、キース?」


「………ローウェル、後で覚えてろよ。まあ、あれなら大丈夫だ。」


なるほど。しかし、あれをずっと続けるのは結構きついんだよな。少しやってみようかな。俺は皆に向けてお辞儀をして微笑んだ。



「今日は私のためにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。皆様と過ごせる時間を楽しみにしておりました。本日はよろしくお願いいたします。

  ――――


こんな感じでどう? これなら乗り切れそう?」




すると、息をのむ音が聞こえてきた。え、何か失敗したかな? キルたちの方を見ると、ため息をつかれてしまった。



「アース、それはわざとやっているのか?」

「それって、どれだよ?」

「その笑顔のことだよ!」

「俺の笑顔? キルが笑っておけばいいって教えてくれたから、笑顔を張り付けているんだけど何か変だった? あ、もしかして不気味だったとか?」

「………もういい。ローウェル、おすすめの店まで案内してくれ。なんか疲れたから、早く甘いものが食べたい。」

「俺も同感ですね。じゃあ、いきましょうか………。」


何だよみんなして、ため息ばかりついて。ため息をつきたいのは、今週慣れないパーティーの主役に抜擢された俺の方だぞ!









――







それから、放課後は色々な話を聞けて楽しかった。これで少しはキルについて詳しくなったかな? そうだといいな………。



次の日。俺は朝一番でマリア様とムンナ様にお礼として、ハンカチを渡した。気に入ってもらえるかどうか不安だったけど、喜んでもらえたらしい。そして今日は、ビッグイベントの一つの剣術の授業がある。

いやー、剣術って響きがもうかっこいいよな。男子なら一度は剣を振ってみたいもんだよな! 早速午前の授業から剣術が行われる。ホームルーム終了後、俺たちは訓練場へと移動した。


すると、騎士と思われる人たちが大勢いた。この人数だともしかして、生徒一人につき先生役が一人付くのだろうか? 相当力を入れているようだ。俺のイメージだと先生が何人かいて、後は生徒通しで打ち合いをしたり素振りをしたりするものだと思っていた。マンツーマンの授業なら、二年遅れている俺でも参加しやすいので非常にありがたい。だけど、こんなに力を入れているのには何か理由があるのだろうか?




「キル、騎士団の皆さんは大盤振る舞いだね。生徒一人一人についてくださるなんて。もしかして、魔法実技の授業もそんな感じなの?」


「最近こうなったんだ。まあそれには理由があってだな、一番の理由は騎士と魔導士の質を高めるためだ。だからこうして、初学院の授業から力を入れているんだ。この背景として挙げられるのはやはり、交流戦での成績不振だろう。貴族院に上がると周辺五か国との交流戦に出場することになるんだが、最近のこの国は、最下位をとり続けているんだ。だからこうして、騎士と魔導士の育成が急務となっているんだ。」


こ、交流戦!
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

『アルファ拒食症』のオメガですが、運命の番に出会いました

小池 月
BL
 大学一年の半田壱兎<はんだ いちと>は男性オメガ。壱兎は生涯ひとりを貫くことを決めた『アルファ拒食症』のバース性診断をうけている。  壱兎は過去に、オメガであるために男子の輪に入れず、女子からは異端として避けられ、孤独を経験している。  加えてベータ男子からの性的からかいを受けて不登校も経験した。そんな経緯から徹底してオメガ性を抑えベータとして生きる『アルファ拒食症』の道を選んだ。  大学に入り壱兎は初めてアルファと出会う。  そのアルファ男性が、壱兎とは違う学部の相川弘夢<あいかわ ひろむ>だった。壱兎と弘夢はすぐに仲良くなるが、弘夢のアルファフェロモンの影響で壱兎に発情期が来てしまう。そこから壱兎のオメガ性との向き合い、弘夢との関係への向き合いが始まるーー。 ☆BLです。全年齢対応作品です☆

処理中です...