50 / 171
第二章 初学院編
49
しおりを挟む
「ではジール、アース様の強みをどう考えている?」
「それはもちろん魔力量ッスね。短期戦はもちろん、長期戦に持ち込まれたらまず勝てないッス。それから属性の相性がいいことッス。氷と水属性で、ほぼすべての属性を相手にできるッス。まあ、奥の手で召喚魔法があるッスけどそれはちょっとよくわからないッスね。」
うん、俺も同感だ。氷と水というのは攻めでも守りでもいい補完がとれている。それに、持久戦に持ち込めば大体勝てそうだ。あとは召喚魔法が奥の手として機能すればさらにいいんだけどな………。カーナイト様は何か知っているかな?
「まあ、良いだろう。ではアース様の課題は、魔力展開をした後にその展開した魔力をどう使うのかを考えること。そして、召喚魔法を試すことです。どちらも私でもアドバイスが難しいので、己との対話となるでしょう。それ以外は基礎訓練を行います。ジールは木属性で戦うイメージの構築と基礎訓練を行う。それでは早速、訓練と行きましょう。」
それから夕方まで訓練を行って、今日は終了となった。多分、前世の部活よりも相当きつい。前世のイメージでは貴族はお茶を飲んだり、舞踏会をしたりというイメージだったけど魔物関係などと戦うことが義務みたいなものだからか、そのための訓練がハードなのだ。民たちを守ることが貴族の務めだ。
夕食とお風呂が終わり、今はリビングでストレッチとまったりタイムを行っている。俺は高校卒業後、スポーツトレーナーを養成する学校に進学しているため、こういう知識は結構ある。ジールにもストレッチの仕方をたくさん教えた。ローウェルは相変わらずバスローブに眼鏡という、グッとくる格好をしている。
「そういえば、主から女子たちとのお茶会のことは聞いているか?」
「別に聞いてないッスけど、毎年のことじゃないッスか。いつも通りのことをするだけッスよね?」
え、何それ………。女子たちとのお茶会を毎年やっているのか? ま、まあキルは王子だし、そういうこともあるのかな………。
「えーと、俺は特に聞いていないから行かなくてもいいのかな?」
「殿下の護衛としても行くことになると思うけど、その前にアースも誘われると思うぞ。心当たりはないか?」
正直ある。ムンナ様とマリア様からキルのことを詳しく聞きたいから、お茶会に誘ってもいいかと聞かれた。ただ、キルが参加するお茶会でそんなことを聞くはずがないので別件なのかな?
「なくもないけど、護衛以外での参加は気のりしないかな。」
「気のりしなくても、異性との定期的なお茶会は推奨されているんッスよ。まあ、子供のころから慣れておこうという意図ッスね。」
そうなのか………。俺からするとませている様にしか思えないけど、貴族には大切なことなのかもしれない。まあ色々な人と話す機会だと思って、頑張ってみよう。
「そうなんだね。毎年開催しているということは、相手とか場所も大体同じなの?」
「まあそりゃー、ガナハット公爵家でマーガレット様たちとだろ。俺からすれば初学院でも結構話しているんだから、別の女子とお茶会をしたいところだけどな。」
確かに初学院では、キルとマーガレット様は毎日話をしている。幼馴染だから普通なのかなと毎日見ていたけど、ローウェルから見てもそう映っているのか。
「………二人は本当に仲がいいよね。」
「まあ、そうだな。というか、マーガレット様は主にしか興味がないと思うぜ。主の側近だから俺達とは多少は会話するけど、他の男子と話しているところはほとんど見たことがないな。基本的に主以外は姓で呼んでいるのがいい証拠だ。だから、アースを名前で呼んだときは正直驚いた。だよな、ジール?」
「そうッスね、殿下以外だと初めてじゃないッスかね? 俺たちも同じくらいからの付き合いだと思うッスけど、名前で呼ばれたことはないッス。昔から殿下は特別って感じッスね。」
………正直これ以上はあまり聞きたくはないけど、二人は普通に話してくれているだけだから止めるわけにはいかない。名前呼びも特別だとは思うけど、「キルヴェスター殿下」ではなく「キル殿下」だから、よりいっそう特別感がある。
「特別っていうか、ぶっちゃけ好きだろ。主のことを?」
それは禁句だよ………。俺の中の何かがポキっと折れた音が聞こえた。うすうすそうではないかと思ってはいたけど、改めて口に出されるときついものがある。まあ前世でも、好きになった男子のあれこれとかはよくあることだったから、初めてというわけではないけれどキツイものはキツイ。
「まったく、人前で言ってはいけないッスからね。殿下のそういう情報には慎重にならなければいけないのは………文官のローウェルが一番わかってるッスよね?」
「もちろんだぜ。お前等しかいないから色々話しているんだよ。どうした、アース? 具合でも悪いのか?」
「あ………う、うん。ちょっと疲れちゃったみたい。明日に備えて、今日はもう寝るよ。」
「俺もそうするッス。回復を怠れば、訓練中に倒れるッスからね。じゃあ、お休みッス。」
「アースが倒れると主に怒られるから、体調が悪い時はすぐに言えよ。じゃあ、お休み。」
俺は二人に挨拶をして、重い足取りの中、自分の部屋へと戻った。そして、待機していたメイドさんにも寝ることを伝えた。部屋から誰もいなくなると、俺はベッドに勢いよくダイブした。
これくらいで気落ちしていれば、今後もたないことはわかっている。だけど、やっぱりキツイな………。マーガレット様がキルのことを特別に思っていること、恋心かはわからないけど親しいのはわかっている。このまま二人がゴールインすれば色々な意味でうまくまとまるのもわかっている。それを見届けて俺は………。
いいんだ、キルの幸せが俺の幸せだから………。
そのまま俺はいつの間にか眠っていた。
――
それから数日、訓練の日々が流れた。俺はとにかく訓練に集中して、色々なことを考えないように過ごした。そして、少しは気持ちに折り合いがついたころにキルとキースがバルザンス公爵家にやってきた。
久しぶりに見るキルは、やっぱりかっこいいな。
「みんなが揃うのも久しぶりッスね。キースは少しやつれたッスか?」
「………別にそんなことはない。ただちょっと、エネルギーが足りていないだけだ。」
それをやつれている、というのではないか?
というツッコミを、俺たちはグッとこらえて、二人を労った。魔導士の訓練とは違い、騎士はガッツリ肉体の訓練が中心だろうからな。食べても食べてもエネルギーが足りないのだろう。
「お前らは元気そうだな。まさか、訓練をサボっているのではないだろうな?」
「失礼ッスね! こっちもこっちで地獄ッスよ! そうッスよね、アース?」
「う、うん! 訓練自体もそうだけど、課題で正解のない問題を考えないといけないから頭も結構使うよね。」
召喚魔法を色々な手段で試したり、魔力展開の方法を考えたりと正解がわからない問題を解くのは楽しくもあり、悩ましくもある。
「まあ、楽しそうに見えるのはこの共同生活が充実しているからだと思うぜ。学院に通うだけではわからないお互いのことを知れたり、刺激を与えあったりと色々と楽しいからな。あ、そうそう、刺激と言えばこの二人なんだけど、なかなか熱い展開になっていて魔導士最強の世代を目指すと同時に、お互いが頂点を目指すライバル関係になったんだぜ。」
ローウェルがそういうと、キースはジーッと俺たちの方を見つめて、キルは少し不機嫌そうに窓の外を見つめていた。
うーん、さっきから少し機嫌が悪そうなところが気になっていたけど、何かあったのかな?
「改めて言われると恥ずかしいッスね。あの時の俺はかっこ悪かったッスから、あまり言わないでほしいッスよ………。」
「まあ魔導士ではライバルかもしれないけど、訓練が終わると濡れた髪をふきふかれの関係だけどな。」
「うるさいッスよ!」
ふきふかれの関係って………初日に俺が一回だけジールの濡れた髪を強制的に拭いただけなんだけどな………。ローウェルのやつ、完全に面白がっているな。すると、ジールも反撃に打って出た。
「それはもちろん魔力量ッスね。短期戦はもちろん、長期戦に持ち込まれたらまず勝てないッス。それから属性の相性がいいことッス。氷と水属性で、ほぼすべての属性を相手にできるッス。まあ、奥の手で召喚魔法があるッスけどそれはちょっとよくわからないッスね。」
うん、俺も同感だ。氷と水というのは攻めでも守りでもいい補完がとれている。それに、持久戦に持ち込めば大体勝てそうだ。あとは召喚魔法が奥の手として機能すればさらにいいんだけどな………。カーナイト様は何か知っているかな?
「まあ、良いだろう。ではアース様の課題は、魔力展開をした後にその展開した魔力をどう使うのかを考えること。そして、召喚魔法を試すことです。どちらも私でもアドバイスが難しいので、己との対話となるでしょう。それ以外は基礎訓練を行います。ジールは木属性で戦うイメージの構築と基礎訓練を行う。それでは早速、訓練と行きましょう。」
それから夕方まで訓練を行って、今日は終了となった。多分、前世の部活よりも相当きつい。前世のイメージでは貴族はお茶を飲んだり、舞踏会をしたりというイメージだったけど魔物関係などと戦うことが義務みたいなものだからか、そのための訓練がハードなのだ。民たちを守ることが貴族の務めだ。
夕食とお風呂が終わり、今はリビングでストレッチとまったりタイムを行っている。俺は高校卒業後、スポーツトレーナーを養成する学校に進学しているため、こういう知識は結構ある。ジールにもストレッチの仕方をたくさん教えた。ローウェルは相変わらずバスローブに眼鏡という、グッとくる格好をしている。
「そういえば、主から女子たちとのお茶会のことは聞いているか?」
「別に聞いてないッスけど、毎年のことじゃないッスか。いつも通りのことをするだけッスよね?」
え、何それ………。女子たちとのお茶会を毎年やっているのか? ま、まあキルは王子だし、そういうこともあるのかな………。
「えーと、俺は特に聞いていないから行かなくてもいいのかな?」
「殿下の護衛としても行くことになると思うけど、その前にアースも誘われると思うぞ。心当たりはないか?」
正直ある。ムンナ様とマリア様からキルのことを詳しく聞きたいから、お茶会に誘ってもいいかと聞かれた。ただ、キルが参加するお茶会でそんなことを聞くはずがないので別件なのかな?
「なくもないけど、護衛以外での参加は気のりしないかな。」
「気のりしなくても、異性との定期的なお茶会は推奨されているんッスよ。まあ、子供のころから慣れておこうという意図ッスね。」
そうなのか………。俺からするとませている様にしか思えないけど、貴族には大切なことなのかもしれない。まあ色々な人と話す機会だと思って、頑張ってみよう。
「そうなんだね。毎年開催しているということは、相手とか場所も大体同じなの?」
「まあそりゃー、ガナハット公爵家でマーガレット様たちとだろ。俺からすれば初学院でも結構話しているんだから、別の女子とお茶会をしたいところだけどな。」
確かに初学院では、キルとマーガレット様は毎日話をしている。幼馴染だから普通なのかなと毎日見ていたけど、ローウェルから見てもそう映っているのか。
「………二人は本当に仲がいいよね。」
「まあ、そうだな。というか、マーガレット様は主にしか興味がないと思うぜ。主の側近だから俺達とは多少は会話するけど、他の男子と話しているところはほとんど見たことがないな。基本的に主以外は姓で呼んでいるのがいい証拠だ。だから、アースを名前で呼んだときは正直驚いた。だよな、ジール?」
「そうッスね、殿下以外だと初めてじゃないッスかね? 俺たちも同じくらいからの付き合いだと思うッスけど、名前で呼ばれたことはないッス。昔から殿下は特別って感じッスね。」
………正直これ以上はあまり聞きたくはないけど、二人は普通に話してくれているだけだから止めるわけにはいかない。名前呼びも特別だとは思うけど、「キルヴェスター殿下」ではなく「キル殿下」だから、よりいっそう特別感がある。
「特別っていうか、ぶっちゃけ好きだろ。主のことを?」
それは禁句だよ………。俺の中の何かがポキっと折れた音が聞こえた。うすうすそうではないかと思ってはいたけど、改めて口に出されるときついものがある。まあ前世でも、好きになった男子のあれこれとかはよくあることだったから、初めてというわけではないけれどキツイものはキツイ。
「まったく、人前で言ってはいけないッスからね。殿下のそういう情報には慎重にならなければいけないのは………文官のローウェルが一番わかってるッスよね?」
「もちろんだぜ。お前等しかいないから色々話しているんだよ。どうした、アース? 具合でも悪いのか?」
「あ………う、うん。ちょっと疲れちゃったみたい。明日に備えて、今日はもう寝るよ。」
「俺もそうするッス。回復を怠れば、訓練中に倒れるッスからね。じゃあ、お休みッス。」
「アースが倒れると主に怒られるから、体調が悪い時はすぐに言えよ。じゃあ、お休み。」
俺は二人に挨拶をして、重い足取りの中、自分の部屋へと戻った。そして、待機していたメイドさんにも寝ることを伝えた。部屋から誰もいなくなると、俺はベッドに勢いよくダイブした。
これくらいで気落ちしていれば、今後もたないことはわかっている。だけど、やっぱりキツイな………。マーガレット様がキルのことを特別に思っていること、恋心かはわからないけど親しいのはわかっている。このまま二人がゴールインすれば色々な意味でうまくまとまるのもわかっている。それを見届けて俺は………。
いいんだ、キルの幸せが俺の幸せだから………。
そのまま俺はいつの間にか眠っていた。
――
それから数日、訓練の日々が流れた。俺はとにかく訓練に集中して、色々なことを考えないように過ごした。そして、少しは気持ちに折り合いがついたころにキルとキースがバルザンス公爵家にやってきた。
久しぶりに見るキルは、やっぱりかっこいいな。
「みんなが揃うのも久しぶりッスね。キースは少しやつれたッスか?」
「………別にそんなことはない。ただちょっと、エネルギーが足りていないだけだ。」
それをやつれている、というのではないか?
というツッコミを、俺たちはグッとこらえて、二人を労った。魔導士の訓練とは違い、騎士はガッツリ肉体の訓練が中心だろうからな。食べても食べてもエネルギーが足りないのだろう。
「お前らは元気そうだな。まさか、訓練をサボっているのではないだろうな?」
「失礼ッスね! こっちもこっちで地獄ッスよ! そうッスよね、アース?」
「う、うん! 訓練自体もそうだけど、課題で正解のない問題を考えないといけないから頭も結構使うよね。」
召喚魔法を色々な手段で試したり、魔力展開の方法を考えたりと正解がわからない問題を解くのは楽しくもあり、悩ましくもある。
「まあ、楽しそうに見えるのはこの共同生活が充実しているからだと思うぜ。学院に通うだけではわからないお互いのことを知れたり、刺激を与えあったりと色々と楽しいからな。あ、そうそう、刺激と言えばこの二人なんだけど、なかなか熱い展開になっていて魔導士最強の世代を目指すと同時に、お互いが頂点を目指すライバル関係になったんだぜ。」
ローウェルがそういうと、キースはジーッと俺たちの方を見つめて、キルは少し不機嫌そうに窓の外を見つめていた。
うーん、さっきから少し機嫌が悪そうなところが気になっていたけど、何かあったのかな?
「改めて言われると恥ずかしいッスね。あの時の俺はかっこ悪かったッスから、あまり言わないでほしいッスよ………。」
「まあ魔導士ではライバルかもしれないけど、訓練が終わると濡れた髪をふきふかれの関係だけどな。」
「うるさいッスよ!」
ふきふかれの関係って………初日に俺が一回だけジールの濡れた髪を強制的に拭いただけなんだけどな………。ローウェルのやつ、完全に面白がっているな。すると、ジールも反撃に打って出た。
232
あなたにおすすめの小説
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に1話ずつ更新
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
王子に彼女を奪われましたが、俺は異世界で竜人に愛されるみたいです?
キノア9g
BL
高校生カップル、突然の異世界召喚――…でも待っていたのは、まさかの「おまけ」扱い!?
平凡な高校生・日当悠真は、人生初の彼女・美咲とともに、ある日いきなり異世界へと召喚される。
しかし「聖女」として歓迎されたのは美咲だけで、悠真はただの「付属品」扱い。あっさりと王宮を追い出されてしまう。
「君、私のコレクションにならないかい?」
そんな声をかけてきたのは、妙にキザで掴みどころのない男――竜人・セレスティンだった。
勢いに巻き込まれるまま、悠真は彼に連れられ、竜人の国へと旅立つことになる。
「コレクション」。その奇妙な言葉の裏にあったのは、セレスティンの不器用で、けれどまっすぐな想い。
触れるたび、悠真の中で何かが静かに、確かに変わり始めていく。
裏切られ、置き去りにされた少年が、異世界で見つける――本当の居場所と、愛のかたち。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる