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第二章 初学院編
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筆者より
皆様のおかげで、100話を迎えることができました!
これからも引き続きよろしくお願いします!
ーー
いつものことだけど、殿下の固有魔法(仮)で俺の思考を読まれてしまったようだ。
まあ、それはおいておくとして………
アルベルト殿下がこんなにも謝罪の言葉を述べるなんて、本当に申し訳ないと思っているのだあろう。ということは、殿下の決定ではなくそれ以外の人の考えということだろう。アルベルト殿下にとっては、辛い役目だったのかもしれない。
俺個人としては、特に異はない。上層部側も、キルに教えるいい機会と思ったのだろう。あの場には、王子とその側近しかいなかった。対外的には、俺のことを療養あつかいするというのも本当のことだろう。………もしかすると、キルに考えさせるのと同時に、ウェル殿下にも伝える意図があったのかもしれない。
「アルベルト殿下、何度も謝罪する必要はございませんよ。私は、殿下の説明を聞いて納得しています。………私のこともよりも、殿下にとってはとても辛いお役目だったのではないですか?」
「………第一王子として、兄として当然の役目を果たしただけだ。俺個人としても、キルの教育のためという父上のお考えに一理あると考え役目を果たしたんだ。だから、俺のことを気遣う必要はない。」
うーん、一割くらいは本当のことかな。ここで、食い下がっても殿下に余計な気遣いをさせてしまうから納得することにしよう。
「………かしこまりました。」
俺がそういうと、アルベルト殿下は一つ息を吐いて、ためらいがちに言葉を発した。
「………俺は、キルに対して試練を与たり、何か試すようなことをしたりすることでしか、罪滅ぼしができないんだ。アースは知っていると思うが、俺達の母上はキルを生んですぐに亡くなってしまった。母上からの最後の言葉は、「この子を……弟をよろしく頼みます」、だった。俺は子供ながらにその言葉を守ろうとした。しかし、情けないことに俺はまだまだ子どもだった。どの国にも王家に協力的でない貴族はいる。そういう貴族たちや他意のない貴族からの「キルのせいで母上は亡くなった」というふざけた言葉を俺は、「そうかもしれない」と思ってしまっていたんだ。それからの俺は、母上の最後の言葉を守ろうとする傍ら、キルに対してどう接したらいいのかわからなくなってしまった。………当時、キルに笑顔を向けられのが辛かった。血のつながった唯一の弟をかわいがりたいと思う反面、この弟のせいで母上が………と考えてしまう俺もいた。当時、父上は忙しくしていたため、俺も含めて家族の時間を十分に取れなかったのも現状をさらに悪くしていた。そして、あのうわさが何の根拠もないふざけたうわさに過ぎないと気づくことができたたろには、俺とキルの間の溝は簡単には埋まらないものとなっていた。………俺は今もなお、キルへの接し方に迷っているのかもしれないな。こんな俺が、どの面下げてキルに接したらいいのかと考えてしまう。だから、こういうやり方でキルの成長を願うしか俺は、キルの力になれないんだ。」
アルベルト殿下は、空を見上げながらまるで独り言かのようにつぶやいた。
アルベルト殿下視点で聞くキルとの関係は、俺が思っていたものとはまるで違っていた。まさか、アルベルト殿下がキルに対して引け目を感じていたとは思わなかった。まあ俺も、キルとアルベルト殿下の関係を、今が良ければいいかなと曖昧に結論付けてしまっていた。
アルベルト殿下が、キルに対して、「もしかして………」と考えるのは責められないだろう。殿下も初学院の低学年くらいだっただろうし、いくら親しいものがそういわなくとも周りからそういう話が聞こえて来れば、母親を失った悲しみと合わせて、心の中にくすぶってしまうのも充分に想像できる。父親も国王陛下ということで、当時忙しかった事情も相まってなかなか父親に相談することもできなかった事情もある。そういう悩みを持ちながら、母親の遺言と合わせて、弟をかわいがりたいと葛藤していた当時の殿下の苦悩は相当のものだろう。そして和解した今もなお、キルとのかかわり方に迷っているということにも驚きだ。そういうことを一切感じさせないように、第一王子として兄として細心の注意を払っていたのだろう。
「………殿下は、確かに昔、キルと距離をとっていたのかもしれません。しかし、キルが厄介と思うほど、ご自身の側近をキルに張り付かせていたのでしょう? 出会った当時のキルが、アルフォンスさんのことを邪険にしていましたからね。それは、キルのことが心配で気にかけたい思いの表れだと私は解釈しています。本当にどうでもいいのなら、適当な人を護衛につけるでしょうからね。」
俺は笑顔でそう言った後に、一旦言葉を区切った。そして、何か言いたげなアルベルト殿下を遮るように再び言葉を紡いた。
「殿下は、今のご自身の言動がキルにどう受けとられているのか自信がないご様子とお見受けします。私個人としては、少々びっくりして顔を引きつらせてしまうこともございます。まあ、キルもそう感じることも少々あるのかもしれません。しかし、殿下に対してキルが負の感情をもったことは私が見る限りでは一度もありませんでした。殿下との食事も楽しそうでしたし、殿下の御助言も邪険にしてはおりません。むしろ、殿下に認められたい追いつきたいという思いでしっかりと受け止めていると思います。私も、殿下の御助言に助けられてばかりです。殿下の視野はかなりお広いので、一度ではその意図をはかりかねてムッとしてしまうこともあるかもしれません。今回のようにです。しかし、最終的には今回のように我々を思ってくださってのことだと納得します。………だから、このままでよいと私は思いますよ。それに、今の殿下とキルの関係が私は好きですよ。」
俺がそういうと、殿下は目を見開いて固まってしまった。そして、数秒の沈黙の後、手のひらを額に当てて天を仰いだ。
皆様のおかげで、100話を迎えることができました!
これからも引き続きよろしくお願いします!
ーー
いつものことだけど、殿下の固有魔法(仮)で俺の思考を読まれてしまったようだ。
まあ、それはおいておくとして………
アルベルト殿下がこんなにも謝罪の言葉を述べるなんて、本当に申し訳ないと思っているのだあろう。ということは、殿下の決定ではなくそれ以外の人の考えということだろう。アルベルト殿下にとっては、辛い役目だったのかもしれない。
俺個人としては、特に異はない。上層部側も、キルに教えるいい機会と思ったのだろう。あの場には、王子とその側近しかいなかった。対外的には、俺のことを療養あつかいするというのも本当のことだろう。………もしかすると、キルに考えさせるのと同時に、ウェル殿下にも伝える意図があったのかもしれない。
「アルベルト殿下、何度も謝罪する必要はございませんよ。私は、殿下の説明を聞いて納得しています。………私のこともよりも、殿下にとってはとても辛いお役目だったのではないですか?」
「………第一王子として、兄として当然の役目を果たしただけだ。俺個人としても、キルの教育のためという父上のお考えに一理あると考え役目を果たしたんだ。だから、俺のことを気遣う必要はない。」
うーん、一割くらいは本当のことかな。ここで、食い下がっても殿下に余計な気遣いをさせてしまうから納得することにしよう。
「………かしこまりました。」
俺がそういうと、アルベルト殿下は一つ息を吐いて、ためらいがちに言葉を発した。
「………俺は、キルに対して試練を与たり、何か試すようなことをしたりすることでしか、罪滅ぼしができないんだ。アースは知っていると思うが、俺達の母上はキルを生んですぐに亡くなってしまった。母上からの最後の言葉は、「この子を……弟をよろしく頼みます」、だった。俺は子供ながらにその言葉を守ろうとした。しかし、情けないことに俺はまだまだ子どもだった。どの国にも王家に協力的でない貴族はいる。そういう貴族たちや他意のない貴族からの「キルのせいで母上は亡くなった」というふざけた言葉を俺は、「そうかもしれない」と思ってしまっていたんだ。それからの俺は、母上の最後の言葉を守ろうとする傍ら、キルに対してどう接したらいいのかわからなくなってしまった。………当時、キルに笑顔を向けられのが辛かった。血のつながった唯一の弟をかわいがりたいと思う反面、この弟のせいで母上が………と考えてしまう俺もいた。当時、父上は忙しくしていたため、俺も含めて家族の時間を十分に取れなかったのも現状をさらに悪くしていた。そして、あのうわさが何の根拠もないふざけたうわさに過ぎないと気づくことができたたろには、俺とキルの間の溝は簡単には埋まらないものとなっていた。………俺は今もなお、キルへの接し方に迷っているのかもしれないな。こんな俺が、どの面下げてキルに接したらいいのかと考えてしまう。だから、こういうやり方でキルの成長を願うしか俺は、キルの力になれないんだ。」
アルベルト殿下は、空を見上げながらまるで独り言かのようにつぶやいた。
アルベルト殿下視点で聞くキルとの関係は、俺が思っていたものとはまるで違っていた。まさか、アルベルト殿下がキルに対して引け目を感じていたとは思わなかった。まあ俺も、キルとアルベルト殿下の関係を、今が良ければいいかなと曖昧に結論付けてしまっていた。
アルベルト殿下が、キルに対して、「もしかして………」と考えるのは責められないだろう。殿下も初学院の低学年くらいだっただろうし、いくら親しいものがそういわなくとも周りからそういう話が聞こえて来れば、母親を失った悲しみと合わせて、心の中にくすぶってしまうのも充分に想像できる。父親も国王陛下ということで、当時忙しかった事情も相まってなかなか父親に相談することもできなかった事情もある。そういう悩みを持ちながら、母親の遺言と合わせて、弟をかわいがりたいと葛藤していた当時の殿下の苦悩は相当のものだろう。そして和解した今もなお、キルとのかかわり方に迷っているということにも驚きだ。そういうことを一切感じさせないように、第一王子として兄として細心の注意を払っていたのだろう。
「………殿下は、確かに昔、キルと距離をとっていたのかもしれません。しかし、キルが厄介と思うほど、ご自身の側近をキルに張り付かせていたのでしょう? 出会った当時のキルが、アルフォンスさんのことを邪険にしていましたからね。それは、キルのことが心配で気にかけたい思いの表れだと私は解釈しています。本当にどうでもいいのなら、適当な人を護衛につけるでしょうからね。」
俺は笑顔でそう言った後に、一旦言葉を区切った。そして、何か言いたげなアルベルト殿下を遮るように再び言葉を紡いた。
「殿下は、今のご自身の言動がキルにどう受けとられているのか自信がないご様子とお見受けします。私個人としては、少々びっくりして顔を引きつらせてしまうこともございます。まあ、キルもそう感じることも少々あるのかもしれません。しかし、殿下に対してキルが負の感情をもったことは私が見る限りでは一度もありませんでした。殿下との食事も楽しそうでしたし、殿下の御助言も邪険にしてはおりません。むしろ、殿下に認められたい追いつきたいという思いでしっかりと受け止めていると思います。私も、殿下の御助言に助けられてばかりです。殿下の視野はかなりお広いので、一度ではその意図をはかりかねてムッとしてしまうこともあるかもしれません。今回のようにです。しかし、最終的には今回のように我々を思ってくださってのことだと納得します。………だから、このままでよいと私は思いますよ。それに、今の殿下とキルの関係が私は好きですよ。」
俺がそういうと、殿下は目を見開いて固まってしまった。そして、数秒の沈黙の後、手のひらを額に当てて天を仰いだ。
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