異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第三章 ウェルカムキャンプ編

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「ザール様、私がローウェルの魔力源に魔力を送り込んでローウェルの魔力と一体化させてから回復魔法をつかえば、治療できるのではないでしょうか?」


「可能性はないとはいえません。しかし、魔力を一体化させてもアース様の魔力だけがはじかれる可能性がありますし、なにより他人の魔力と一体化させることは難しいと言わざるを得ません。先程述べたように、通常、他人と魔力が交わることはありませんから。たとえできたとしても、回復魔法を行使し治療するには、精神的負担があまりに大きすぎるでしょう。」


「………で、でも、あきらめることはできません。とにかく、可能性がゼロでないなら試して」


「まあ、お待ちください。私は先ほど、通常は他人と魔力は交わらないと申しました。つまり、例外があるのですよ。」



俺が強行しようとすると、ザール様は穏やかな笑みで俺の腕を掴んで、理由を述べながら俺を制した。
例外がある………? つまり、ザール様には心当たりがあるということだろうか?
すると、アルベルト殿下が納得した表情で、あごに手を当てながら声を発した。



「あー、なるほど。サリーヴェか。」

「その通りです、アルベルト殿下。ただ、今から調合するのは現実的ではありませんね。」

「そうだな。今から調達するとなると………尋問部に掛け合うしかないだろうな。俺の権限で用意させよう。………アルフォンス、行け。」


アルベルト殿下に指名されたアルフォンスさんは、了解の意味を込めて跪いた後、颯爽と部屋を出ていった。
………なにやら、上の世代の皆さんでわかり合っているようだけど、俺にはさっぱりわからない。俺は視線をキルに送ってみたが、キルもわからないようで小さく首を振った。



「ザール様。サリーヴェとは何でしょう?」

「サリーヴェとは、貴族院の高学年で調合の仕方を習う液体です。効果は、他人を自分の魔力で染めやすくし、さらに言うと支配下に置くことができます。主な使用用途は2つあります。1つは省きますので、ご自身で習うときに確認してください。もう1つは、犯罪者に対して使います。精神関与系の魔法を直接身体に流したり、記憶をのぞいたりするために用います。」


なるほど。サリーヴェは、今の状況にぴったりの薬のようなものか。これを使えば、ローウェルの魔力回路に俺の魔力を流すことができるようになるから、治療することができるということか。それにしても、もう1つの使用方法とはいったい何だろうか? この場で言わない又は言えない使用方法で、成人間際に調合方法を学ぶことから考えると………いわゆるR18系だろうか? 成人間際ということから考えると、閨関係のことだろう。
………たしか、貴族の子を産むためには父親と母親の両方の魔力を注がなければいけないときいたな。
あー、わかった。夫婦がお互いにサリーヴェをつくって、お互いのサリーヴェを飲んでから、行為に及ぶということか。俺は成人後の記憶があるからなんとなく推測できたけど、キルたちは何のことか多分わからないんだろうな。
もちろん俺も、純粋無垢な貴族院1年生であるから、何もわからないですというような微笑みを浮かべておこう。









ーー









少しすると、アルフォンスさんが優雅かつ素早い身のこなしで戻ってきた。アルベルト殿下にサリーヴェを見せた後に、ローウェルに手渡した。
ローウェルは少し視線をさまよわせた後、ザール様に、「飲めばよろしいのでしょうか?」と尋ねた。
確かに、いきなりよくわからない液体を手渡されても困るよな。



「ええ、すべて飲み切ってください。効果は一日たてば消えるので、日常生活に支障はございません。ちなみに、尋問対象にサリーヴェを使うときは、強制的に投与するのですよ。飲ませるのも一苦労ですからね。」


途中まで感心して聞いていたが、後半部分の話を聞いて俺たちは微妙な顔でお互いを視線を交わし合った。
ザール様には時々、少年のような幼い容姿と発言内容が一致しないことが多いので戸惑ってしまう。



「サリーヴェの話はもういい。ローウェル、サリーヴェ単体では特段意味のないもので水と同じようなものだ。早く飲んでしまえ。」



アルベルト殿下は、パタパタと手を振りながらローウェルに飲むように促した。ローウェルは「かしこまりました。」と言ったあとに、一気にサリーヴェをあおった。
アダルト組の言う通り、サリーヴェを飲んだローウェルには特に何も起こらなかった。


よし、ここからは俺の仕事だ。俺はもう一度ローウェルに上級魔法をかけた。


「お!  今回は回復魔法がはじかれずに、しっかりと魔法回路が治療されてる!」



俺はうれしさのあまり、思わず大きな声を出してしまった。俺が思わず口に手を当てると同時に、キルたちが近くにきて氷鏡を覗き込んだ。



「………本当だ。これを見ると、魔力が溢れずに魔力回路の中を流れているのがよく見える。」

「そうッスね。魔力回路が可視化されていることで、勉強にもなるッスよ。」

「ああ、そうだな。………ローウェルの裸体が見えることが若干気に障るが。」

「気に障るなら、あっちに行ってろよ!」



無事に回復がされたことで、周りの雰囲気も柔らかくなった。
キースとローウェルが、いつものように憎まれ口をたたき合っている。
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