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第四章 人狼編
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ウェルカムキャンプから数週間後、俺達はすっかり日常に戻っていた。
学園はたいそうな騒ぎとなっており、俺達はクラスメイトから感謝された。
怪我の功名とでも言うべきか、入学時は距離があった他国出身のクラスメイトとも、打ち解けることができた。
そうして、公務やら学園生活やらを送っていくうちに夏休みとなった。夏休みを満喫していきたいと思う。
あ、そうそう。重大なイベントが1つあった。
それは、俺が回復魔導士試験に合格したことだ。
座学試験と薬学実技試験を突破して、晴れて最年少の回復魔導士となった。
これには、あのアルベルト殿下もにっこりだった。
曰く、「使い勝手のいい回復魔導士を手に入れることができた」だそうだ。大変ありがたい言葉で、これには俺とキルもにっこりだった。
冗談はさておき、夏休みを満喫しようとしていた俺は、現在アルベルト殿下に呼ばれている。
キルの側近としてではなく、回復魔導士としての任務らしい。
「夏休み中に悪いな、アース。」
「とんでもございません。回復魔導士自体が少ない中で、このような事態が発生しているのです。俺がお役に
立てるのでしたら、何でも致します。」
「ああ、助かる。事情はなんとなく把握しているだろうが、しっかりと説明する。」
そうして、アルベルト殿下が説明を始めた。
人狼虫。
人に寄生し、人の凶暴性や殺人衝動を極限まで高める魔物の一種だ。寄生された人間は、人狼となりサイコパスな殺人者となり果てる。ただし、月が出ている時だけ、という性質がある。
人が集まっている個所にとどまる性質があり、よくあるパターンとして村人や町人に寄生し、そこの住民を1人ずつ殺していくのだ。
厄介なことに、寄生された人間はそれが正しいと思って行動している。普段の生活に溶け込みながら、プチプチと殺人を繰り返していく。記憶もそのままのため、言動から寄生されているか判断するのはとても難しい。
加えて、殺すことに意味を求めていないことも厄介だ。食事を必要とするように、自然に殺人を繰り返すのだ。
発生件数は極まれである。
これまでは、何年かに一度発生していた。
しかし、今回に至ってはすでに2か所で人狼発生の疑いがある。
そして、とうとう3か所目が見つかったという。
「ルーラル村では、今までの殺人の手口と異なっているため、アースを派遣することに決めた。」
「手口が異なっている、ですか……。確か、従来の人狼の手口は、外傷を与えるというものでしたよね?」
「そうだ。刃物や鈍器による被害しか確認されていなかった。しかし、今回に限っては毒物による犯行だ。」
「毒物ですか!? 今までとは、まったく異なっているようですが……。人狼ではなく、単純に人による犯行ではないのですか?」
「最初は騎士団もそう判断し、捜査を進めていたが、一向に進展がないまま被害者が5人となってしまった。もちろん無差別殺人という線もあるが、他の地域で人狼が発生していることから、その線でも犯人を特定したい。毒は魔物由来の上位の毒が使われているため、上級回復魔法を扱えるアースを向かわせることになった。任務の内容はあくまで治療だ。発見されたときにまだ息があった者もいたことから、アースは村にとどまり被害者が出たときに治療を行ってほしい。あくまで、人狼の特定ではないことから、危険な行動はとらないように。犯人捜しは、別の者を向かわせる。」
人狼が出たからといって、その地域の人たちをすべて処刑することはできない。
非難が殺到することとなるし、なにより国がそんな非道なことをすることはできない。
人狼中に寄生された人間は、脳を侵食されるため、苦痛なく命を奪うことでしか救うことができない
俺はこういう時のために、回復魔導士になったんだ。
俺にできることがあるなら、行かない理由がない。
「承知いたしました。」
「護衛にアルフォンスをつける。今から出発でも問題ないか?」
「はい、問題ございません。」
「わかった。それから、村の食料には一切口をつけるな。毒を盛られる可能性がある。食料から水に至るまで、すべてこちらで手配する。本当は料理人も帯同させたかったが、あまり人員を増やしたくない。すまないな。」
「ご配慮くださりありがとうございます。料理ならば、多少は心得ておりますので大丈夫です。」
「すまないな。では、よろしく頼む。」
そうして俺は、馬車で1週間の道のりの任務へと繰り出した。
学園はたいそうな騒ぎとなっており、俺達はクラスメイトから感謝された。
怪我の功名とでも言うべきか、入学時は距離があった他国出身のクラスメイトとも、打ち解けることができた。
そうして、公務やら学園生活やらを送っていくうちに夏休みとなった。夏休みを満喫していきたいと思う。
あ、そうそう。重大なイベントが1つあった。
それは、俺が回復魔導士試験に合格したことだ。
座学試験と薬学実技試験を突破して、晴れて最年少の回復魔導士となった。
これには、あのアルベルト殿下もにっこりだった。
曰く、「使い勝手のいい回復魔導士を手に入れることができた」だそうだ。大変ありがたい言葉で、これには俺とキルもにっこりだった。
冗談はさておき、夏休みを満喫しようとしていた俺は、現在アルベルト殿下に呼ばれている。
キルの側近としてではなく、回復魔導士としての任務らしい。
「夏休み中に悪いな、アース。」
「とんでもございません。回復魔導士自体が少ない中で、このような事態が発生しているのです。俺がお役に
立てるのでしたら、何でも致します。」
「ああ、助かる。事情はなんとなく把握しているだろうが、しっかりと説明する。」
そうして、アルベルト殿下が説明を始めた。
人狼虫。
人に寄生し、人の凶暴性や殺人衝動を極限まで高める魔物の一種だ。寄生された人間は、人狼となりサイコパスな殺人者となり果てる。ただし、月が出ている時だけ、という性質がある。
人が集まっている個所にとどまる性質があり、よくあるパターンとして村人や町人に寄生し、そこの住民を1人ずつ殺していくのだ。
厄介なことに、寄生された人間はそれが正しいと思って行動している。普段の生活に溶け込みながら、プチプチと殺人を繰り返していく。記憶もそのままのため、言動から寄生されているか判断するのはとても難しい。
加えて、殺すことに意味を求めていないことも厄介だ。食事を必要とするように、自然に殺人を繰り返すのだ。
発生件数は極まれである。
これまでは、何年かに一度発生していた。
しかし、今回に至ってはすでに2か所で人狼発生の疑いがある。
そして、とうとう3か所目が見つかったという。
「ルーラル村では、今までの殺人の手口と異なっているため、アースを派遣することに決めた。」
「手口が異なっている、ですか……。確か、従来の人狼の手口は、外傷を与えるというものでしたよね?」
「そうだ。刃物や鈍器による被害しか確認されていなかった。しかし、今回に限っては毒物による犯行だ。」
「毒物ですか!? 今までとは、まったく異なっているようですが……。人狼ではなく、単純に人による犯行ではないのですか?」
「最初は騎士団もそう判断し、捜査を進めていたが、一向に進展がないまま被害者が5人となってしまった。もちろん無差別殺人という線もあるが、他の地域で人狼が発生していることから、その線でも犯人を特定したい。毒は魔物由来の上位の毒が使われているため、上級回復魔法を扱えるアースを向かわせることになった。任務の内容はあくまで治療だ。発見されたときにまだ息があった者もいたことから、アースは村にとどまり被害者が出たときに治療を行ってほしい。あくまで、人狼の特定ではないことから、危険な行動はとらないように。犯人捜しは、別の者を向かわせる。」
人狼が出たからといって、その地域の人たちをすべて処刑することはできない。
非難が殺到することとなるし、なにより国がそんな非道なことをすることはできない。
人狼中に寄生された人間は、脳を侵食されるため、苦痛なく命を奪うことでしか救うことができない
俺はこういう時のために、回復魔導士になったんだ。
俺にできることがあるなら、行かない理由がない。
「承知いたしました。」
「護衛にアルフォンスをつける。今から出発でも問題ないか?」
「はい、問題ございません。」
「わかった。それから、村の食料には一切口をつけるな。毒を盛られる可能性がある。食料から水に至るまで、すべてこちらで手配する。本当は料理人も帯同させたかったが、あまり人員を増やしたくない。すまないな。」
「ご配慮くださりありがとうございます。料理ならば、多少は心得ておりますので大丈夫です。」
「すまないな。では、よろしく頼む。」
そうして俺は、馬車で1週間の道のりの任務へと繰り出した。
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