異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第四章 人狼編

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村長の案内で、俺とアルフォンスさんは小さな村の診療所にやってきた。
診療所の周辺はシンと静まり返っており、人の気配がまるで感じられなかった。



「現在、毒に侵されているのは3名です。村の薬師では解毒ができず、毒を恐れた者たちが病院から逃げ出してしまったのです。」


アルベルト殿下からは、被害者は5人だと聞いている。
毒に侵されているのが現在3名ということは……。
いや、今は自分のやるべきことに集中しよう。



「その毒というのは、人にうつる様なものなのですか?」


「そういうわけではないのですが……。」



俺の質問に対して、村長は曖昧に言葉を濁した。
毒と一口に言っても、感染症のように人から人にうつるタイプのものもある。
特段そのような傾向がみられないということは、人にうつる心配はないのだろう。
しかし、人は未知のものを恐れる。薬師でも手が付けられない未知の毒となれば、逃げだしたくなる気持ちも理解はできる。




「解毒薬の製作を行う薬師では対処できない毒ということは、魔物由来の毒の可能性があります。回復魔法が使える魔導士ではないと対処が厳しいでしょう。そうですよね、アース君?」


「ええ、そうですね。もちろん、実際に看てみないとわからいですが、全力で任務に当たります!」


「心強いです。」



アルフォンスさんと会話をしながら人の気配のない診療所の内部を進んでいくと、廊下の突き当りとある部屋の扉前で村長が立ち止まった。


「患者はこの中にいます。」



俺達が頷くのを確認すると、村長はゆっくりと扉を開いた。
扉が開かれてまず初めに感じたのは、鼻をつくこもったにおい。
そして、血がにじむベッドの上に横たわっている3名の成人男女たちの姿が目に飛び込んできた。




「アルフォンスさん。まずは、俺が毒物の種類を確認します。人にうつる類のものでないことが確認できたら、部屋の清掃を行いたいので、人手の確保の指示をお願いできますか?」



「指示ですね? わかりました。」



アルフォンスさんは俺の護衛であるため、俺のそばを離れるわけにはいかない。
アルフォンスさんならば、村長に対して人手を集めるようにうまく指示してくれるだろう。




俺は扉の近くに横たわっていた男性の側へと駆け寄った。
状態をよく確認してみると、意識はほとんどないようで、俺に気づいているのかいないのかもわからない状態だ。



外傷が特にみられないのに、ベッドに血がついているということは体内で出血しているんだ。
体中の穴という穴から血が出ている。内部から身体を破壊するタイプの毒だ。
あと、外見の様子で気になるところは……爪の色が変色している。それも、鮮やかな緑色に。

明かに異様な存在感を放つこの症状で、おおよそ毒の方向性に検討がつく。
変色を起こす毒は、主に水中に生息する魔物に多い症状だ。さらに絞り込むために、他の特徴は……においかな。
部屋の空気がこもっていて嗅ぎ分けが難しいけど、近くで患者のにおいを確認してわかった。
バニラのような甘い匂いがかすかにする。

うん……毒の持ち主がわかった。



「アルフォンスさん、毒の種類がわかりました。体液を経口摂取しない限りは問題ないので、部屋の清掃をお願いします。」


「わかりました。村長が現在、この村にいる冒険者を集めているところですのもう少しお待ちください。この者たちの家族を集めようと思ったのですが、どうやらこの村にはいないようです。」


「……この村の住人ではないということでしょうか?」


「そうみたいですね。この村の住人ではないこともそうですが、どうやらこの者たちや亡くなった者たちは全員冒険者を生業としている者のようです。」


「冒険者ですか……。」



冒険者。公私問わずに様々な依頼を受け、生計を立てる者たちを冒険者という。
主に平民がなるものであるが、貴族の次男以下が魔法や剣の腕を生かして大金を稼ぐことも珍しくはない割とポピュラーな職種だ。



「全員が冒険者ということは、同じ任務を受けていて同じ毒を受けたということ……」


「アース君。」



俺が全員が冒険者というところに引っかかりを覚えて思案しようとすると、アルフォンスさんが諫めるように俺の名前を呼んだ。



「アルベルト殿下から言われているはずです。今回のアース君の任務は犯人探しではなく、回復魔導士として治療に当たることだと。お忘れですか?」




……アルフォンスさんのいうとおりだ。
自分の役目を忘れるところだった。今やるべきことをやるんだ。



「すみません、自分の役目を忘れるところでした。すぐに上級水回復魔法を発動します。」


「わかりました。人手が確保出来次第、こちらも作業に入ります。」




俺は毒の内容を頭にしっかりとイメージしながら、詠唱を始めた。













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