疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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お勉強

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セリ先生とリタさんが来て3ヶ月ごろ、
リリアは驚異的なスピードで知識を身につけていた。

今やこの国の経済分野への知識も蓄えているところだ。
セリ先生が臨時で貴族の家庭教師を担っていたこともあり、
最低限のマナーも教えてもらえた。
「ダンスや魔法の実技は難しいですね。すみません。」


「妊婦のセリ先生にそれは求めません。
ここまでわたしの学力や知識量を増やしていただき本当に感謝しています。
先生の体調も安定してきているようで私も嬉しいです。」

「リリア様もかなり健康的にお痩せになりましたね。」

リリアの容姿はまだ巨体だが、
体臭はなくなり元々が太りすぎていたので
今は巨大な肥満から少し歩いても息切れしない肥満になった。

「ありがとう。でもまだ動きにくいわ。
このまとわりついている贅肉がなくなれば駆け足でも球投げでもできそうよ。」
とからりと笑う。

「ふふふ。リリア様ったら。」

その時、リリアの屋敷にデリスがやって来た。

「リリア様ご無沙汰しております。
リリア様のご様子を伺うためにやってまいりました。」

「あら、デリスがやって来たみたいね。セリ先生、少し動けますか?」

「大丈夫です。リリア様。どのように対処しましょう。」

「私はベッドに行くわ。
セリ先生はデリスに『あのお嬢様はなかなか勉強に身が入らず文句を言って寝てばかり。
今もベッドから起きてこられない。』とでも言ってもらいたいわ。」

「分かりました。では後ほど。」




「デリスさんお久しぶりです。」
お腹の膨らみを隠すようストールでふんわり体を覆って対応した。

「ああ、あなたが家庭教師の人ね。リリアお嬢様はどこかしら。」

「あの、お嬢様なら私が作った問題が答えられずに自室で不貞腐れていますよ。
勉強はやるにはやっていますがどうも理解が遅いので
スローペースでなんとかお嬢様のご機嫌を損ねないよう進めています。」

「やっぱりね。あなた、大変でしょう。
まあ、住み込みの家庭教師になってさらに給料はアップしたようだから
辞めるにやめられないわよね。

体臭もきついしすぐ大泣きするし、自分が美しいかばっかり聞いてくるのよね。
あんな人仕事じゃなかったら絶対相手したくないわ。」

「…そうですわね。体も大きいままだし。
私がここに来てからも特段変化はありませんよ。」

「やっぱりそうよねー。
ケント様が様子を見に行けっておっしゃるもんだから来てみたけど、
やっぱり私の予想通りね。じゃあ、このことケント様に報告しておくわ。
あのデブによろしく伝えておいて。お疲れ様ー。」

デリスはリリアの顔を見ることもなく去っていった。


「リリア様、デリスさんはもういなくなりました。
かなり浅はかで失礼な人でした。」

「ありがとう。そうね。あの人はまだ25、6歳だろうけど向上心が欠けているのよ。
もったいなわよね。あの歳ならいつでもやり直しが効くって言うのに。」

「リリア様、失礼ですが、リリア様は16歳でいらっしゃるのに、
どこか人生を俯瞰してるようなところがございますね。」

セリ先生は不思議そうな表情でリリアを見つめる。

「そ、そんなことはないわ。セリ先生考えすぎです。」
と苦笑するリリア。

(少し前まで60歳の現役仕事人だったし、管理職ゆえの分析をどうしてもしてしまうわ。
セリ先生を巻き込まないためにもあまり妙な事は言わないほうがいいわね。)

その後もセリ先生の家庭教師は続いた。




前世とこの世界で決定的に違うのは『魔法』の有無だ。

各個人で魔法の力つまり魔力の程度は異なる。

 魔力は男女関係ないと言われているが男性に強い魔力を持っている人は多いという。

女性でも強い魔力を保持できる人もいるが、
この国も男性社会なので魔力の強い女性は敬遠されるらしい。
また、差別や理不尽な攻撃の対象にもなるので女性が日頃強い魔法を出すことはほぼない。

魔法の種類も異なる。
ちなみにセリ先生は水に関する魔力は持っているとのこと。
魔力の属性により見え方も変わるらしい。

「本当はお見せできれば良いのですが、
今この体なのでお腹の子供に影響することは避けたいと思います。申し訳ありません。」

「気にしないでください。私は兄から魔力なしと言われています。
器(うつわ)なしとも。器とはなんでしょうか?」

「私の水魔法と言っても小さな結界を張ることだけしかできないので参考にならないかもしれません。防御だけで範囲もこの食卓テーブル一つ分程度しか結界は張れませんから。
ほとんど魔力はないに等しいです。
私も器はありません。
そうですね、器の説明が必要ですね。」

「ええ、知っておきたいです。」

「魔力の持ち方ですが、一つは血統による魔力の継承です。

魔力の強い先祖からは魔力の強い子孫が生まれます。
代々魔法を生業としている貴族様も多くおられます。
より強い魔力は権力の象徴ともなります。

そして、もう一つは器(うつわ)という概念です。

魔力を持っていなくても器を体内に宿していれば魔力を持つ機会があります。
器を持っているから器持ちと表現します。
魔力を持っているものが自身の魔力を、対象の器持ちに授けたいと念じればその魔力を継承できます。
渡した魔力はその分だけ減ります。
若い、健康など素質があれば鍛錬にて魔力の増幅は可能ですが、
かなり努力が必要と聞きます。
ほとんどの人は生まれてから人生を終えるまで魔力は変わらないと聞いています。
また、血統により受け継がれた魔力と器を両方兼ね揃えている者もいます。」

「そうなのね。
では魔力がない、器もないものはどんな手を使っても魔法は使えないのね。」

「あまり良い方法ではないのですが、あるにはあります。
魔契約もその類の一つです。

魔力がなくても特殊に魔力を練り込まれた紙で人工的に魔力を操作します。

しかし、どのような場合も自身の肉体に不相応な魔力を人工的に手に入れると魔力によって精神を破壊されたのち肉体も朽ち果てます。
かなり恐ろしい状態です。
命が果てる際悲しみや苦しみにより他者を巻き込むこともあります。」

「無差別に道連れにするということね。」

「はい。なのでリリア様そのような事はされぬようお願いします。」

「人は欲をかきすぎると己を滅ぼすのはどの世界も通じるのね。
いえ、何もありません。私は魔力、器がないことに悲観はしていません。
教えてくれてありがとう。」

リリアは残念がることもなく、
むしろ魔力を持たないことにどこか安心したような表情を見せていた。

(やはり、リリア様は歳不相応な精神をお持ちだわ。
でも、よかった。自分の生徒も数名魔力に取り込まれてしまい
悲惨な死を招いたしまった子たちもいた。リリア様はそうならないような気がする。
心の安定感がすごい方。修道院でもうまく立ち回ってほしい…。)

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