疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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これからの事 2

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隣領バスク地区の修道院に行く4日前

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セリ先生、リタさんとの別れの次の日の朝、ケントお兄様とその執事ゲイブが屋敷に訪ねてきた。
なんと、デリスを連れて。

「おはようございます。リリアお嬢様。あまりにもお美しくなられて驚きました。  本日は謝罪に伺いました。」

ゲイブは母がなくなりすぐに兄の執事になった男だ。

歳は兄より10個上。ケントお兄様の兄のような存在だった。
母が亡くなり父も仕事で忙しいのでゲイブがケントお兄様の精神的なケアもしている。

私はこのゲイブが好きではない。幼いリリアの時は兄が私をなじっている後ろで薄く笑っているの何度か見た事がある。
細くて白くて長身の体。おでこが広く髪が少なくて薄い。

ケントお兄様が私に汚い言葉で言いたいことを全て吐き出した後になって白々しく止めに入る。
止めるのなら途中から止めれば良いものを。


リリアの時は幼すぎてケントお兄様からの嫌がらせを受けるだけで余裕がなく、対処も出来なかった。
でも、皐月の人格が同居している今はこの二人が異常であることは分かる。

「リリアお嬢様、メイドのデリスがお嬢様に大変ご無礼なことをしたようで。心から謝罪したいと申しております。」

デリスを見ると、私を睨むような顔つきでふてぶてしい表情だ。

「ほら、デリス!謝罪はどうするのだ!?」

「リリアお嬢様、この度は本当に申し訳ありませんでした。
リリアお嬢様やお世話役のものにも危害を加えようとしたこと心より反省しております。」と深々頭を下げている。

しかし、デリスの前で組んでいる手は小刻みに震えている。何かに腹を立てているのだろう。

この謝罪は不本意だと。

私に対して、多分デリスに今回のことを指示したこの二人どちらかに対して、
それと、思うように結果が出なかったこと全てに不満があるのだろう。

「それだけを言いにお兄様やその執事が揃って来られたのですか?」

「いえね、リリアお嬢様。デリスはあまり覚えていないようで、頭部の傷が二発攻撃を受けたような痕跡なんですよ。
しかも一つは妙な形の火傷です。
リリアお嬢様の家庭教師やメイドの攻撃なのかはっきりしないのです。

リタというメイド役は何か隠しているようでして。家庭教師が結界魔法を使ったことしか説明しないのです。
それにですね、デリスを縛っていた紐も妙な気配がするのですが。」

「リタさんの説明が全てです。それ以上は私は分かりません。話はそれだけですか?
私バスク地区への移住の用意が忙しいのです。お引き取り願います。」

「そのリタと家庭教師のセリとやらはどこへ?」

「解雇しました。」

「は?解雇?では今その者たちはどこに?」

「知りません。あの者たちをこの家の事情に巻き込みたくはありません。
ねえ、ケントお兄様?デリスは何であんなに私と外出したがってたのでしょうね?」

「…。さ、さあな。」

ケントはリリアの変わった姿を見て気持ちが不安定だった。
自分と似た顔の造形。母とよく似た顔、髪の毛、まだ太く、身長も母より大きいが似た体つき。
不機嫌に話す姿は柔らかい表情の母とは別人の人格だった。

想定していない情報が多すぎてケントはまともに話ができない。

「ああ、お兄様明日には魔契約の解約をお願いいたしますわ。」

「な、な、なぜだ、1日早いぞ…。」何とか混乱する頭を働かせてケントが返答した。

「お兄様、魔契約が解除されるまでその印が体のどこかに印されるようです。

私の左手の手の甲に、

ほら。お兄様はこんな物騒な印を見たこともないかしらね。どうですか?見た感想は?

ああ、明日のお父様の会食もこの手を見せようかしら。お父様はどんな思いで私の手を見るでしょうか?」

「何を、何を、何を言っているんだ。」

「ああ、それと、デリスが私に謝罪するために来てくれているのを忘れていたわ。

デリスが何であんなに執拗に私を外出したがっていたのか、丁度本人が居てるので問いただしてみましょうか?

ゆっくり、じっくり、時間をかけて。

まあ、魔契約をすぐ解除していただければそんなことしませんけど。
どうしますか?お兄様。」

デリスはずっと俯いている。どちらに着くか迷っているようだ。

「うるさい!さっきからベラベラと!ようし!今ここで解約してやる!ゲイブ契約書を持ってこい!」

ゲイブは抵抗なく返答した。

ここは引き下がっておいた方が良いと思ったのだろう。


魔契約書を持ってきて解約事項の部分にお互いの血判を押した。契約内容を記した文字がみるみる消えていく。
同時にリリアの手に表れていた印も消えていった。

「どうも。これでお兄様とキッパリ良いお別れが出来そうですわ。

私は修道院に身を寄せますが、お兄様どうかお元気で。
私のようにどうしようもない妹のことはキッパリお忘れになってくださいね。」


「…。もう疲れた。僕は帰る。」

ケントはこれ以上何も出来ないようで、真っ青な顔で屋敷を出て行った。

ケントの執事ゲイブとデリスは何故かまだ屋敷に残った。

「まだ何か?」

「いえね、リリアお嬢さま。
デリスの今後なのですが、今回の騒動の償いとしてお嬢様と一緒にバスク地区の修道院に行ってもらうことになりました。
そのお知らせも兼ねてこの屋敷に来ました。」


「え?デリスもバスク地区に?」

(ゲイブは何を考えているのか…。ああ、私のお目付役ね。デリスにお金を引き換えに交渉したのね。)

「…。分かりました。私も一人ではとても心細かったのです。
デリス、よろしくお願いします」と承諾した。

(ここで断るともっと都合の悪い人物がお目つけ役になりかねない。
デリスは浅はかなのでどうとでもできる。ここで手を打とう。)

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