疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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隣領バスク地区の修道院に行く当日



隣領のバスク地区は場所で丸4日かかるので食料や寝具を詰め込んでいた。

途中宿に泊まることもあるが万が一もある。

ケントお兄様が事前に護衛を雇っていたが、
お父様が心配し急遽、信頼のおける事業所からエリートの護衛を複数人手配してくれていた。

護衛する馬車は少ない方が安全を確保しやすいのでリリアはデリスと同じ馬車に乗ることになった。

リリアは4日で読みたい本を大量に馬車に積んでいるので同席者が誰であろうと構わなかった。

お父様は涙ながらに別れを惜しみ、

ケントお兄様は早く行ってしまえと言いたいところを我慢しているような複雑な顔で無言だった。



道中お兄様が雇った護衛などに命を狙われる心配が大きかったが、

お父様が手配してくれた護衛のおかげで向こうも妙な動きが取れなかったようだ。


順調にバスク地区に近づいている。

馬車の中でデリスに聞きたいことがあった。

「ねえ、デリス。」

「は?何でしょうか?」

馬車に常に揺られて腰が痛いのか不機嫌丸出しのデリスが応じた。


リリアは皐月の頃海外旅行で辺境の地を長時間バスに揺られたり、

道なきみちを歩き続けて目的地を目指すこともザラにあった。

ましてや今は16歳の肉体なのであまり気にしていない。

涼しい顔をしているリリアがまたデリスは気に食わない。

「ねえ、デリスはどのような男性が好みなの?」

「は?男性の好み?ですか?」

「ええ、色々あるでしょう。細身が好きとか筋肉質が好きとか、
身長がどのくらいがベストとかスポーツが得意そう、勉強ができそうとか色々。」


「ええー?それを聞いてそうするんですか?」

「いいの聞きたいの。教えてほしいわ。」

「うーん。そうですねえ。身長は178センチ顔は綺麗な顔。髭なんかは絶対NGですね。
清潔感があって声がいい人かなあ。」

「なるほど。綺麗で髭はNGね。分かりました。ありがとう。」

「はあ。どういたしまして…。」
変なやつ。ちょっと前は豚だったのに。豚じゃなくなったじゃない。

まあ、まだ贅肉は隠しきれてないけど。クククク。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リリアは修道院に着く最後の休憩所で悪趣味なドレスに着替えていた。

わざと派手に着飾り、妙な化粧も施した。
デリスはノリノリで手伝った。

「これがリリアお嬢様ですー。」といいながら。



馬車が止まる。

「さあ、長旅お疲れ様でした。修道院につきましたぜ。」

馬車から外を見ると寂れた修道院が目の前にあった。
街はなんだか暗い雰囲気で目つきの悪い大人達が馬車をジロジロと見ている。

以前住んでいた地区とは大違いだ。


わざとドレスを見せつけるように馬車を出た。

白々しく大きな声で

「なーんて薄汚い場所なの!これが私の住む場所?信じられない!

こんなところ嫌よ!管理者を呼んで!別の建物を手配するのよ!

荷物もそこに運んで!いやとは言わせないわ!」


出迎えに来ていたシスターが明らかに怪訝な表情で対応している。

「あなたが管理者のシスター?名前は?」

「…ジャスミンです。」

シスタージャスミンは顔全体にうっすらシワががある。
シスターの服で体の露出は少ないが、スカートから見える足は痩せていて足は棒のようだ。

眉間のシワは年季が入っているのか一番深く刻まれている。

リリアの態度でさらに深いシワになっている。


「シスタージャスミン!小さくてもいいわ!
この町で一番安全な建物の部屋を手配して!

分かったわね!今日はそこで寝るわ!」


シスタージャスミンもリリアを受け入れることで、
隣領から多額の金銭援助を受けていることは知っているので無下に断れない。


「分かりました。少々お待ちを…。」

修道院に戻るシスタージャスミンをリリアは追いかけ、

シスタージャスミンの耳元でこっそり注文をした。

「身長178センチで髭ひとつない綺麗な顔立ちのイケメンボイスのいい男も部屋に用意して。」

シスタージャスミンは呆れながら「少々お待ちを。」と言い修道院の建物の中に入って行った。






すぐに部屋は用意された。スラリと長身で綺麗な顔立ちの男も部屋にいる。

「こちらに荷物をどうぞ。」

と男が声を出した時デリスは顔を赤らめ鼻血が出そうになっている。


「お、お、お嬢様!これは一体どう言うことですか?」

「ふふふ。デリス。ここまで一緒について来てありがとう。長旅だったわね。
ここなら安全だしゆっくり休めるわよ。

ああ、彼にデリスの執事役をお願いしているの。あまり彼を困らせないでね。」

「リリアお嬢様、お嬢様も一緒にこの部屋で過ごすのですか?」

「いいえ、私はこれからまた修道院に戻って生意気そうなシスタージャスミンに文句を言ってくるわ。

しばらくここには戻ってこないわ。修道院の人たちを指導しないといけないから!」


まだ贅肉がついて悪趣味なドレスを着ているリリアが言うと本気のように見える。

「じゃあ、私はいつまでこの部屋で過ごさせてもらえるのですか?」

「そうね、私が戻ってくるまでよ。外は危険だから出ちゃダメよ。

必要なものは執事の彼を通して何でも手に入るわ。

お金のことは気にしなくていいから。分かったわね。」

「は、はい!喜んで!お嬢さまお気をつけなさいませー!」

デリスは飛び上がって目を輝かせていた。


「では、よろしく。」


リリアはゆっくりと扉を閉めた。

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