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お嬢ちゃんおかしいぞ
しおりを挟む「だいぶ薬草が育ったな。」
「はい。師が教えてくださったので、何とか形になりました。」
「はっ。よく言うぜ。まあ、この薬草が栽培の基本だからな。
お嬢ちゃんはこれで大体のものが作れるようになったはずだぜ。
次はどうするか何か考えてるんだろ?」
「ええ。次のステップには私一人ではなく子供たちやシスタージャスミンの協力も必要となります。
策を練っているところです。」
「こんなことオレが言ったら変だが、お嬢ちゃんは面白い。頭もいい。身なりは男みたいになってるが、
元はいいんだろうよ。でもな…。
あんた体と精神が一致してないだろう?」
リリアはドキッとする。
流石に不意打ちだったので目をまるくし、ダン爺さんをじっと見つめる。
「最初から妙だったんだよ。お嬢ちゃん16歳にしては顔つきが熟練の仕事人みたいだ。
隠そうとヘラヘラしているがオレは分かんだよ。
ああ、責めてるわけじゃあねえ。オレの独り言だ。」
「私のような方を見てきたのですか?」
「いいや。お嬢ちゃんみたいな奴はいないが、オレも人生長く生きてりゃ色んなやつに会うんだよ。
頭がイカれてても妙に感が鋭いやつ、
隠れてて見えないのに権力を持ってる奴、
想像を絶するほど痛えことになってるのに笑ってるやつ。
説明がつかないやつなんてゴロゴロいるんだよ。お嬢ちゃんもその一人みたいなもんだ。
おかしくてもなんだって良いんだ。」
「…。ありがとうございます。私も自分自身が分からないのです。
この肉体と精神は確かにバラバラです。おかしいですよね。でも、これが今の私です。
この世界に生きる理由を見つけ出せずにいますが、
今私にできることをするしかないと思って生きています。」
「へっ。生きる理由なんて言ったらオレなんてただの死に損ないだ。
いや、もう生きていてはいけない奴だな。それでもしぶとく生きてる。
人なんてな、一皮剥けば偽善で自分勝手な生き物なんだよ。お嬢ちゃん、あんたをしばらく見てきたが、
あんたは危なっかしい。自分を犠牲にするのが美徳と思っちゃいけねえ。
それが迷惑な奴もいてるんじゃねえか?」
「そうだと思います。私の行動は誰にも求められていないのです。独りよがりです。。」
リリアはダン爺さんに真髄を突かれ無意識に涙が流れていた。
悔しさや怒りではなく、感動していた。
今まで誰かに正面から言って欲しかったから。
皐月である時、誰かに本当にその生き方でいいのかと問うて欲しかった。
立ち止まる機会を作って欲しかったが、周囲から都合よく祭り上げられて一つの人生をがむしゃらに生きてきた。
今リリアの身でダン爺さんから諭されることが嬉しかった。
「お、おい。泣くことじゃねえぞ。ああ、迷惑って言葉は違う。
気持ちが悪いと思う奴がいるってことだ。
だからな、つまりオレが言いたいのはお嬢ちゃんの志は何でもいいんだ。
好きなようにやってくれたら良い。ただ、自分のためにも動け。楽しめよ。
年頃の娘がするようなことしたって良いんだ。
誰も責めねえしそっちの方が自然なんだよ。意味分かるか?」
「よく分かりません。」
「じゃあ、お嬢ちゃんがオレの立場でお嬢ちゃんが目の前にいたらどう思うよ?」
「まあ、不自然な女の子だし、もっと青春を謳歌しなさいと言うでしょうね。」
「だろ?そう言うことだ。」
「なるほど、フフフフ。自分じゃ分からないことばかりですね。」
「何だよ。もう笑ってるのかよ。まあ。わかったなら良いってことよ。」
「ありがとうございます。ダンさんと会えて本当に良かった。
これからも私に色々教えてください。頼りにしています。」
「へっ。やなこった。じゃあな。ああ、もう髪の毛切るんじゃねえぞ。」
「フフフフ。これでも私この髪型気に入ってるんです。もう少しこれでいきます。」
「けっ。まあ、お嬢ちゃんは色々訳ありだからな。あのガキに良かれと思ってな。」
と言いながらダン爺さんはゆっくり歩いていった。
リリアもにっこりと笑顔になりながら持ち場に戻った。
それを見届けたダン爺さんが隠れていたロイに向かって
「おーい。そこのガキ。そこにいるのはバレてるぞ。
まあ、お前みたいななまっちょろい奴は何の話をしていたか聞こえてないだろうがな。」
「分かってたのかよ!チキショー。おい、ジジイ!あの短髪女泣いてただろ。何があったんだ?」
「言うわけねーだろバーカ。お前みたいなクソガキに言う義理はねーよ。」
「何だよそれ!馬鹿にすんなよ!」
「お前は馬鹿だよ。気になる女をコソコソ追っかけ回して嫌味しか言えてねーじゃねえか。
馬鹿以外の言葉がどこにある。」
「なんで俺があの短髪女を気にならないといけないんだよ!」
「あの子はやめとけ。今のお前とは釣り合わない。
お前みたいな中途半端ものは相手になんねーよ。お前とは覚悟が違う。諦めろ。」
「どう言う意味だよ!さっきから何なんだよ!も、も、もしかしてあの短髪女が探してた男ってジジイかよ?」
「何を訳のわからねえこと言ってんだ。さて、どけどけ!オレはお前みたいに暇じゃねえ。邪魔だ。」
「くそっ!もういい!」ロイは不貞腐れながらリリアを追いかけた。
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